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【日本リテラシー】「コーヒーではなく体験を売る」と決めた会社の、30年


特別な人たちの物語から始まり、
あなたの物語で締めくくる。

そんな粋な仕掛けの完結編が、先日公開されました。
スターバックスの日本上陸30周年を記念したブランドムービーです。

今年4月から、著名人たちがそれぞれの「スタバ物語」を語るリレー連載が続き、
8月12日、一般のお客様の物語を集めた最終章が公開されました。
30年間、スタバが守り抜いてきた哲学が凝縮されているように感じました。
※動画のURLは記事の末尾をご覧ください。

1杯260円で、何を売るかを決めた日

日本のスタバが一貫して大切にしてきたコンセプトがあります。
それは、「家でも職場でもない、第三の居場所」を提供すること。

日本進出にあたっては、価格をめぐって米国本社と議論になったといいます。
先行していたドトールコーヒーは、1杯180円前後。
一方、スタバは260円ほど。
価格だけで比べれば、明らかに不利です。

しかし、本社の経営陣はこう言い切ったそうです。

"We're not in the coffee business serving people,
we're in the people business serving coffee."

やや意訳すると、こうなります。

「私たちの仕事は、コーヒーを売ることではない。
コーヒーを通じて、お客様に豊かなひとときを届けることだ。」

この言葉が、日本のスタバの哲学となりました。

価格よりも、質のよい体験を。
効率よりも、居心地のよさを。
ここに、こだわり続けてきたのです。

僕のスターバックス物語

そして、僕にも僕なりのスタバ物語があります。

スタバが日本に上陸した30年前、
僕はIT翻訳者としてキャリアを始めたばかりでした。
1号店ができたと聞いたとき、住んでいたのは福岡です。

それでも、根っからの新しもの好き、そしてコーヒー好き。
東京の実家に帰省した折、友人と銀座の1号店を訪れました。

淡いオレンジの外観と、緑色のひさし。
印象的な「STARBUCKS COFFEE」の文字と、
緑のサイレン(人魚)のロゴ。

透明感のある明るい店内。
欧風のオープンテラス。
全面禁煙で、女性を主役に据えた空間。
それでいて、自宅のようにくつろげる居心地のよさ。

それまでの日本のカフェ文化とは、明らかに異なっていました。

注文したのは「カフェラテ」。
「ラテ」という言葉を聞いたのも、そのときが初めてです。

当時、カフェオレ(フランス系、ドリップコーヒーに温めたミルクを加えたもの)はありましたが、
カフェラテ(イタリア系、エスプレッソにスチームミルクを加えたもの)は、
まだほとんど見かけませんでした。

僕は深煎りの苦いコーヒーが好きです。
自宅では、アイスコーヒー用の深煎り豆を挽いてもらい、
ブラックで飲むのがいつものスタイル。
ミルクを入れるなんて、僕の中ではあり得ませんでした。

ところが、エスプレッソの深い味わいには、ミルクがとてもよく合います。
すっかり気に入ってしまい、
今でもスタバに行くと、2回に1回はカフェラテを頼みます。

10年間、僕を支えてくれた「支店」たち

その後、翻訳会社を経営し、中国でビジネスをした約10年間。
上海、北京、大連、青島、成都、西安、広州……。
どの街にも、必ずスタバがありました。

そこでパソコンを開いて仕事をし、長い時間を過ごしました。
ときには、お客様との大切な商談もしました。
いつしか各都市のスタバの写真を撮ってアルバムにするようになり、
心の中でひそかに「アットグローバル○○支店」と呼んでいました。

お店の外観は、街によってさまざまです。
でも、中に入ると、日本のスタバとよく似た居心地のよい空間があります。
これは、なかなか得がたいことだと思います。

スターバックス ジャパン、30周年おめでとうございます。

これからも世界のどこかで、
誰かにとっての「支店」であり続けてください。

「あなたのスターバックス物語」。最終章のムービーはこちらです。
https://www.youtube.com/watch?v=D59Luus8H0o


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