グレンフィディック12年:ウイスキーを一周して、結局これに戻ってきた─ ウイスキーが苦手な人にこそ、一度飲んでほしい理由 ─
ウイスキーを一周して、グレンフィディックに戻ってきた話
僕がウイスキーに目覚めたのは、アイリッシュの「ブラックブッシュ」だった。
その滑らかさに驚いて、もっと知りたくなった。スコッチに進んで、最初に手にしたのがグレンキース。そこからハイランド、スペイサイド、ローランド、アイラモルトと、産地を渡り歩くように飲み続けた。特にアイラモルトの頃は、あのスモーキーでピートの効いた個性に完全にハマっていた。
で、一周した。
結局、グレンフィディック12年に落ち着いた。
■ 遠回りしてわかったこと
アイラモルトの強烈な個性は好きだ。今でも好きだ。でも、毎晩飲みたいかと聞かれると、違う。
グレンフィディック12年には、押しつけがましさがない。洋梨や青リンゴのフルーティーな香り、甘く繊細な後味。飲むたびに「これでいい」じゃなく「これがいい」と思う。その差は大きい。
ウイスキーをひと通り知ったうえで選ぶのと、最初からこれしか知らないのとでは、同じ一杯でも意味が違う。僕にとってグレンフィディックは、旅の終着点として選んだ酒だ。
■ 苦手な人が「飲めた」と言った
雷神でグレンフィディックのハイボールを出していると、たまにこう言われる。「ウイスキーって苦手なんですけど、これなら飲めます」「美味しい」って。
正直、その言葉が一番嬉しい。
ウイスキーが苦手な人の多くは、アルコールのトゲや煙っぽさが引っかかっている。グレンフィディック12年のハイボールは、炭酸が加わることでフルーティーな香りがさらに引き立ち、飲み口がとにかく軽やかになる。苦手意識を持って飲んだ人が「これなら」と言う。それがこのウイスキーの懐の深さだと思う。
■ 佐賀でこれを出し続ける理由
難しい話じゃない。好きだから、出している。
ちなみに、僕が普段飲むのはシーバスリーガル12年だ。グレンフィディックは、誰かに飲ませたい酒として、カウンターに置いている。その感覚がずっと変わらない。
ウイスキーを一周してきた人にも、今夜初めて飲む人にも、同じように美味しいと思ってもらえる酒。そういう一杯を置いておきたい店でありたいと、雷神をやりながらずっと思っている。
佐賀の夜、ぜひ一杯飲みに来てほしい。

