『たまゆらの光が揺れたとき』〜短編詩エッセイ〜
〜 揺れの始まり 〜
あの日、胸の奥で立った小さな波の理由は曖昧で、思い出そうとしても形にならない。
それでも確かに、心のどこかが静かに震えていた。
近くにいた人の影がふいに輪郭を取り戻し、触れられたくなかった記憶がそっと息を吹き返す。
その揺れは悲しみでも怒りでもなく、閉じていた扉の隙間に光が差し込んだような、かすかな温度だった。
〜 離れたいのに離れられない 〜
遠ざけたはずの想いがまだ温度を持っていたことに、自分でも驚いた。
拒んでいたのは、本当は触れられたかったからなのかもしれない。
離れようとするほど胸の奥で灯りが揺れ、その灯りは消えたくないと訴えるように、静かに明滅していた。
たまゆらの光が、まだそこに生きていた。
〜 優しさの形を探す 〜
その揺れる灯りを見つめていると、ひとつの気配がそっと寄り添ってきた。
声ではなく、手のひらの温度のような気配。
急がなくていい。
隠さなくていい。
ただここにいていい。
そんな声なき声が胸の奥にゆっくりと染み込んでいく。
優しさは誰かの言葉ではなく、自分の中に残っていた小さな光だったのだと、そのとき初めて気づいた。
〜 揺れの先にあるもの 〜
あの日の揺れは痛みを呼び起こしたけれど、同時に忘れていた温度も思い出させてくれた。
触れられなかった場所に触れられるようになったのは、強さではなく、優しさの意味が少しだけ変わったからだろう。
今の私は、あの日の揺れをもう怖がっていない。
胸の奥で灯り続ける光が、いつか誰かの暗がりにそっと寄り添える日が来ることを、静かに知っている。
〜 あとがき 〜
【これはフィクションです】
心が揺れた日の記憶は、ときに痛みとして残り、ときに温度として息をしている。
忘れたいと思った想いも、離れたいと願った影も、すべてがあなたの中で静かに形を変えながら今のあなたをつくってきた。
触れられなかった場所に触れられるようになったとき、それは強さではなく、優しさが育った証なのだと思う。
あなたの中に灯った小さな光は、誰かの暗がりにそっと寄り添う力を確かに持っている。
今回はエッセイしりとり企画のバトンを受け取り、本エッセイを紡がせて頂きました。
エッセイしりとり企画のバトンをくださったのは、ほしうめはなんか話したい。さんです。ありがとうございます
ほしうめはなんか話したい。さんからの頂きました
私のバトンは止めさせて頂くことになりました。
本来は紹介した素敵なクリエターさん沢山いらっしゃるのですが
申し訳ございません。
また、本エッセイのコメントはご遠慮ください。
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