遠回りした経験が未来につながる時
― 無駄に見えた時間も、あとから人生の一部になる ―
『未来は創られる ― 意図が現実を動かす“小さな実践”の物語 ―』 Vol.172
第七章 ― 未来を育てる小さな実践 ―
あの時間は、何だったのだろう。
振り返った時、
そんなふうに思う経験があります。
うまくいかなかった仕事。
途中でやめたこと。
思うように進めなかった時期。
一生懸命だったのに、
結果につながらなかったこと。
その時には、
遠回りをしているようにしか見えなかった。
けれど何年かたってから、
あの経験があったから、今これが分かる。
と思うことがあります。
当時は役に立たなかった知識が、
思いがけない場面で生きる。
苦労したからこそ、
誰かの気持ちが分かる。
失敗した経験が、
次の判断を助けてくれる。
人生には、
経験した時には分からなかった意味が、
あとから見えてくることがあります。
遠回りは、
必ずしも道を外れた時間ではないのかもしれません。
人生は最短距離だけでは進まない
目的地が分かっていれば、
できるだけ早く着きたいと思うものです。
けれど人生では、
最初から目的地そのものが分からないことがあります。
やってみて、
違ったと気づく。
別の場所へ進んで、
また考え直す。
時には立ち止まる。
そうやって進むうちに、
ようやく自分が大切にしたいものが見えてくることもあります。
その過程だけを見れば、
遠回りに見えるかもしれません。
けれど、
そこで経験したことまで消えるわけではありません。
一見関係のない経験が、
未来のどこかでつながることがあります。

心の最短ルート
自分:
もっと最短ルートで来られた気がするんだよね。
心の声:
人生にもナビが欲しかった?
自分:
できれば最初から、
目的地まで一直線ですって。
心の声:
でも途中で目的地を変えたでしょう。
自分:
……何回か。
心の声:
しかも寄り道して、
知らないことを覚えて、
知らない人にも会った。
自分:
ナビなら何度も再検索してるね。
心の声:
ルートを変更しましたって、
かなり言われてると思う。
自分:
じゃあ、
遠回りも仕方ないのかな。
心の声:
遠回りだったかどうかは、
途中ではまだ分からないよ。
その道で拾ったものが、
あとで必要になることもあるんだから。
経験の意味はその時に決まらない
うまくいかなかった経験を、
私たちはすぐに、
失敗だった
と名前をつけたくなることがあります。
けれど、
その評価は少し早いのかもしれません。
たとえば、
人前でうまく話せなかった経験があったから、
準備する大切さを知った。
仕事で苦労したから、
人に教える時には、
相手の立場を考えるようになった。
何度も迷ったからこそ、
自分が本当に大切にしたいものが見えてきた。
経験そのものは変わらなくても、
その経験から何を受け取るかは、
あとから変えることができます。
過去は、
未来から見た時に、
違う意味を持つことがあるのです。

心の部品箱
自分:
使わなかった経験って、
やっぱり無駄じゃない?
心の声:
心の部品箱を開けてみようか。
自分:
そんなものがあるの?
心の声:
あるよ。
あの時覚えたこと
失敗して分かったこと
なぜか身についたこと、、、
自分:
ずいぶん雑多だね。
心の声:
本人が用途を知らないまま、
長年保管してる部品もある。
自分:
捨てなくていいの?
心の声:
未来で突然、
あ、それここに使うのか
ってなることがあるからね。
自分:
人生って後から組み立て方が分かることもあるんだ。
心の声:
そう。
今は意味が分からない経験でも、
無理に答えを出さなくていい。
あとから別の経験とつながった時、
初めて役割が分かることもあるんだよ。
点と点はあとからつながる
その時には、
何の役に立つか分からない。
けれどあとから振り返ると、
別々だった経験が一本の線につながって見えることがあります。
この感覚を象徴する有名な言葉を残した一人が、
スティーブ・ジョブズです。
そんな彼のスタンフォード大学でのスピーチを収録した、
『スティーブ・ジョブズ 伝説のスピーチ&プレゼン』
があります。
この中で語られる点と点をつなぐという考え方は、
未来を見ながら、
あらかじめすべての点をつなぐことはできない。
けれど振り返った時、
一見関係のなかった経験が、
今につながっていたと分かることがある、
というものです。
遠回りした時間も、
思うようにいかなかった経験も、
まだ意味が見えていないだけかもしれません。
今は離れて見える点が、いつか未来のどこかでつながる。
そんな視点を持たせてくれる一冊です。
今日からできる小さな実践
今日は、
無駄だったかもしれない
と思っている経験を、
一つ思い出してみてください。
そして、
こう問いかけてみましょう。
この経験から、自分に残っているものは何だろう。
身についた知識。
人を見る目。
以前より少し強くなったこと。
まだ答えが見つからなくても構いません。
経験の意味を、
今すぐ決めなくてもいいのです。
未来の自分が、
その続きを見つけることもあります。
まとめ ― 遠回りにも未来へ続くものが残っている
人生には、
思い通りに進まない時間があります。
けれど、
遠回りしたからといって、
その時間がすべて無駄になるわけではありません。
そこで知ったこと。
感じたこと。
失敗から学んだこと。
出会った人。
その一つひとつが、
いつか別の経験とつながることがあります。
だから、
過去をすぐに無駄だったと決めなくてもいい。
今は意味の分からない点も、
未来から振り返った時、
一本の線になっていることがあるものです。
次回は、
過去の経験を強みに変える人の考え方
遠回りにも意味があると気づいた時、
その経験をこれからどう生かすかが大切になります。
失敗、迷い、苦手だったことさえ、
見方を変えると自分だけの強みになることがあります。
過去を引きずるのではなく、未来の力へ変えていくには何が必要なのか。
経験を自分の強みに変える視点について考えていきましょう。
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