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言葉より先に伝わっているもの


― 表情や間、声の調子に心の状態はあらわれる ―

『未来は創られる ― 意図が現実を動かす“小さな実践”の物語 ―』 Vol.186


第七章 ― 未来を育てる小さな実践 ―

大丈夫だよ!

同じ言葉なのに、

ある人から言われると、

なぜかほっとする。

反対に、

優しい言葉をかけてもらったはずなのに、

どこか落ち着かないこともあります。

違うのは、

言葉ではありません。

表情だったり、

声の調子だったり、

言葉と言葉の間だったり。

私たちは、

相手が話している内容だけを、

受け取っているわけではないのでしょう。

そしてこれは、

相手だけの話ではありません。

自分もまた、

言葉にしていないものを、

知らないうちに伝えています。

何を言うかを考える前から、

すでに伝わっているものがある。

そう考えると、

人との関わり方も少し違って見えてきます。



言葉以外から伝わるものは意外に多い

怒ってないよ!

そう言われても、

声がいつもより硬かったら、

本当にそうかなと思うことがあります。

反対に、

何も特別なことを言われていないのに、

そばにいるだけで安心する人もいます。

表情。

声の大きさ。

話す速さ。

沈黙。

相手との距離。

そうしたものも、

会話の一部です。

だから、

言葉だけを整えても、

心の中にあるものとの間に違いがあれば、

その小さな違和感が伝わることがあります。

うまく話すことより、

今の自分がどんな気持ちで相手と向き合っているのか。

そこにも、

少し目を向けてみたいものです。



心の字幕なし放送

自分:
ちゃんと優しい言葉を選んでるのに、
なぜか伝わらない時があるんだ。

心の声:
言葉以外は、
どんな放送になってる?

自分:
放送?

心の声:
顔は忙しそう。
声は急いでる。
目はもう次のことを見てる。

自分:
字幕と映像が合ってないね。

心の声:
ゆっくりでいいよって言いながら、
全身で早くしてって流してる感じ。

自分:
それは確かに落ち着かない。

心の声:
言葉を直す前に、
自分の状態を見てみるといいよ。

自分:
心まで一緒に話してるんだね。

心の声:
むしろ、
そっちが先に伝わることもあるんだよ。



沈黙や間にも気持ちはあらわれる

会話が途切れると、

何か話さなければと焦ることがあります。

けれど、

沈黙がいつも悪いわけではありません。

すぐ答えず、

少し考えてから話す。

相手の言葉を受け取って、

ひと呼吸置く。

そんな間から、

ちゃんと聞いているという気持ちが伝わることもあります。

反対に、

相手が話し終わる前から答えを用意していると、

言葉では丁寧でも、

どこか急かされているように感じることがあります。

間とは、

言葉がない時間ではなく、

相手の言葉がこちらに届く時間でもあるのでしょう。

何も言わない時間にも、

私たちは関わっています。



心の間合い

自分:
会話が止まると、
何か言わなきゃって焦るんだよね。

心の声:
沈黙に弱いタイプだね。

自分:
空気が止まった感じがするから。

心の声:
止まってるんじゃなくて、
相手が考えてる途中かもしれないよ。

自分:
じゃあ、
埋めなくてもいいの?

心の声:
全部の間を言葉で埋めたら、
相手の言葉が入る場所もなくなるよ。

自分:
会話にも間合いが必要なんだ。

心の声:
うん。
聞くことって、
言葉を待つことでもあるからね。

自分:
何も言わないのも、
関わり方の一つなのか。

心の声:
静かに待つことで、
伝わるものもあるんだよ。



在り方は言葉の奥から伝わっていく

人に安心してほしいと思う時、

安心させる言葉を探すことがあります。

けれど、

こちら自身が焦っていれば、

その焦りも一緒に伝わるかもしれません。

相手を尊重したいと思っていても、

心の中では答えを急いでいれば、

その急ぎ方が表情や間にあらわれることもあります。

だから、

伝え方を整えることと同じくらい、

自分の心を整えることも大切です。

相手を変えようとする前に、

まず自分がどんな状態でそこにいるのかを見る。

落ち着いているのか。

急いでいるのか。

本当に相手の言葉を聞こうとしているのか。

言葉より先に伝わるものには、

その人の在り方も含まれているのだと思います。



言葉以外に伝わるものを知るための一冊

会話の中では、

言葉だけではなく、

表情や声、間、距離など、

さまざまなものが相手に伝わっています。

そんな非言語のやり取りについて、

分かりやすく紹介しているのが、

『人は見た目が9割』
竹内一郎 著

です。

タイトルの「見た目」は、

外見の良し悪しだけではなく、

言葉以外から受け取る情報全体を指しています。

何を話すかだけでなく、

どんなふうにそこにいるのか。

人との関わりを、

少し違う角度から見たくなる一冊です。




今日からできる小さな実践

今日は、

誰かと話している時、

言葉以外の自分にも少し意識を向けてみてください。

そして、

今の自分は、
言葉より先に何を伝えているだろう。

と問いかけてみてください。

返事を急いでいないか。

相手が話し終わるまで待てているか。

声や表情に、

今の気持ちがあらわれていないか。

直そうとしなくても構いません。

まず気づくこと。

それだけでも、

人との向き合い方は少し変わっていきます。



まとめ ― 在り方も言葉と一緒に届いている

私たちは、

言葉だけで話しているわけではありません。

表情や声。

沈黙や間。

その場にいる時の心の状態。

それらも一緒に、

相手へ届いています。

だからこそ、

うまい言葉を探すだけではなく、

どんな気持ちで相手と向き合っているのかも、

大切にしたいものです。

安心させようとするより、

まず自分が落ち着いている。

分かってもらおうと急ぐより、

相手の言葉を受け取ってみる。

そんな小さな在り方の違いが、

言葉の届き方まで変えることがあります。

何を言うかより先に、

そこにいる自分から、

すでに伝わっているものがあるのです。



次回は、

安心できる人は何が違うのか

たくさん話さなくても、一緒にいると自然に力が抜ける人がいます。

特別に何かをしているわけではないのに、

その人のそばでは自分らしくいられる。

その安心感は、どこから生まれるのでしょう。

次回は、言葉や行動だけでは説明できない、

人と人の間に生まれる安心について探っていきます。



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