1.胸が揺れた瞬間から始まった
職場で過ごしていると、ときどき自分でも説明できない“心の揺れ”に出会うことがある。仕事中なのに、ふと胸がざわつく瞬間。
ある日、同僚が書類を抱えて僕の席に来たとき、胸の膨らみ奥がわずかに揺れた。ドキっとしてしまう僕がいた。
朝のオフィスは、いつもと同じように静かだった。パソコンの起動音、コピー機の低い唸り、誰かのマグカップが机に触れる音。
そんな日常の中で、ふとした瞬間に心が揺れることがある。
彼女を意識し始めたのも、そんな小さなきっかけだった。
■ ふとした瞬間に、心が跳ねた
「おはようございます」
そう声をかけると、彼女は少し驚いたように顔を上げて笑った。
その笑顔が、なぜか胸に残った。
その日、彼女は書類を抱えて僕の席に来た。
「これ、確認お願いできますか?」
身をかがめた瞬間、シャツの布がふわりと動いた。
視界の端で、胸元の膨らみが揺れたように見えた。

その一瞬、心臓がわずかに跳ねた。
――あ、今、何に反応したんだ。
自分でも驚いた。
彼女をそういう目で見たつもりはなかった。
ただ、身体は正直で、心は勝手に揺れる。
その揺れが、少し気まずかった。
■ 意識してしまう自分に気づく
それからというもの、僕は自分の中の“意識”に気づくようになった。
コピー機の前で髪を結び直す姿。
会議で真剣に話す表情。
昼休みに同僚と笑う声。
どれも以前と同じはずなのに、なぜか目が向いてしまう。
もちろん、彼女は何も悪くない。
ただ僕が勝手に意識しているだけだ。
職場という場所は、こういう気持ちを扱うのが難しい。
だからこそ、心が揺れるたびに深呼吸して、気持ちを整えた。
■ “ドキッ”が変わった瞬間
ある日、彼女が少し疲れた顔で席に戻ってきた。
「大丈夫ですか?」と声をかけると、
「ちょっと寝不足で…」と弱々しく笑った。
その笑顔を見た瞬間、胸の奥が静かに温かくなった。
あの日の“ドキッ”とは違う。
もっと穏やかで、もっと静かな感情だった。
――この人の力になりたい。
そう思った。
それは恋なのかもしれないし、ただの好意かもしれない。
名前をつける必要はない。
ただ、彼女の存在が少しずつ大きくなっていることだけは確かだった。
■ 距離を詰めない優しさもある
僕は彼女に特別なアプローチをするつもりはない。
職場という場所で、無責任な距離の詰め方はしたくない。
それに、彼女の気持ちを勝手に想像して動くのは誠実ではない。
だから僕は、ただ彼女を尊重しながら、
自分の中の感情を丁寧に扱うことにした。
胸の膨らみにドキッとしたあの日の自分を否定しない。
それは人として自然な反応だ。
でも、その反応をどう扱うかは、自分次第だ。
■ 心は静かに変わっていく
彼女の「お疲れさまです」という声を聞くたびに、
僕の心は静かに揺れる。
その揺れは、もう戸惑いではない。
自分の中にある“誰かを大切に思う気持ち”を確かめるような揺れだ。
職場の空気は今日も変わらない。
でも、僕の心は少しずつ変わっていく。
その変化を、僕は悪いものだとは思わない。
むしろ、忙しさの中で忘れかけていた“人としての感情”を思い出させてくれた、
大切な出来事だった。
彼女の「お疲れさまです」という声と胸の膨らみにに揺れた心が、この先どこへ向かうのか。
その続きを、もう少しだけ追いかけてみようと思う。
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