「刃物を天秤にかける」
槍をつくりたくて
そのためには
木を削る刃物が欲しくて
小刀を探した

売っているだろうか?
小刀など
昔は当たり前のように
そばにあったのに
今は見かけない
木を削ることなどなくなったし
カッターさえあれば
日常生活は困らない
案の定
見当たらない
百円ショップや
大型スーパーでも
ホームセンターに行けば
あるかもしれないけれど
何故か今日
欲しくてたまらない
それなのに
近場でしか
買う気が起きないのは
天秤にかけていたから
比重の重さではない
目指すのはバランス
釣り合うところでしか
動きたくなかった
カッターでは
明らかに
その重厚感に引けをとり
妥協では釣り合わない
なのに今日という
ふんわりとしたスポンジに含まれた
休息という時間は
見た目のわりに重かった
その釣り合う
微妙なところのアテが
あったから
天秤にかけられた
古くさい何でも屋
昔からの金物屋
帰り道には
楔色の店が二軒もあった
何でも屋には
小刀はなかったけれど
小鎌があったのには
目を疑った

しかも百円
木を削るものではないけれど
鋼が付いていて
思わず買ってしまった
昔からの金物屋に
ドキドキしながら入店し
店主に誘われるままに
包丁コーナーに行ってみたら
まさかの小刀
しかもかなり品が良く
この価格はお買い得と
日焼けした値札シールが言っていた

にんまりしながら
お買い上げ
天秤が釣り合ったときは
運命を感じちゃう
