GPT-6「Astra(アストラ)」使う必要なし!Astraの構造を取り出し「Sol」を使え!【新AIエージェント構築メソッド】
GPT-6 Astra(アストラ)が登場して、かなり話題になっています。
ベンチマークを見ると非常に強い。Computer Use、ターミナル操作、ツール利用、長時間のタスク、科学系の実務など、これまでのAIよりもさらに「AIエージェント」に寄ったモデルになっています。
私も実際にAstraを使ってみました。
そして最初に感じたのは、「これは速いな」ということでした。
同じような仕事をGPT-5.6 Solにやらせるよりも、Astraの方がかなり早く成果物まで持っていってくれることがあります。
これは確かにすごい。
ところが、しばらく使っていると別のことも見えてきました。
「これ、Astraをずっと使う必要はないんじゃないか?」
むしろ私が今考えているのは逆です。
Astraを使い続けるのではなく、Astraの“構造”を取り出してSolに移植する。
今回は、この新しいAIエージェントの作り方について考えてみたいと思います。
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Astraは確かに速い。しかし燃費が厳しい
まずAstraの大きな魅力は、単純な「頭の良さ」だけではありません(数学能力めっちゃ凄い)。
検索する。ツールを使う。ターミナルを操作する。途中の状態を維持する。必要なら別の方法を試す。そして最終的な成果物まで持っていくワークフローの能力。
つまり、頭と手足が連動している。
ここがAstraの強さだと思っています。
従来のAIが「考えて答えるAI」だとすれば、Astraはさらに一歩進んで「考えながら仕事をするAI」に近づいている。
ところが問題があります。
使用量の消費がかなり激しい。
私自身、実際に使ってみて、これはかなり気になりました。
Astraの本当の強みを引き出そうと思ったら、一回質問して終わりではなく、
探索する
↓
ツールを使う
↓
結果を見る
↓
考え直す
↓
再探索する
↓
検証する
↓
成果物を作る
という長いループを回したくなります。
ところが、それをやろうとすると5時間枠がかなり厳しくなってくる。
つまり少し皮肉なのですが、長時間働かせたいモデルなのに、長時間働かせにくい。
現在のサブスク環境では、ここがAstraの大きな弱点になっています。
もちろん、本当にAstraをぶん回したい人はAPIを使えばいい。
企業や専門職であれば、これは十分合理的だと思います。
人間なら3時間かかる仕事をAstraが1時間で終わらせてくれるのであれば、API料金を払ってでも使う価値がある。
私はこれを、「時間をお金で買うAI」だと考えています。
しかし、普通のサブスクユーザーまでAstraを無理に常用する必要があるのか。
私は今のところ、そうは思っていません。
コスパよくやっていけばOKです。
実際に使って気になった「慎重さ」
もう一つ、Astraを実際に使って気になったことがあります。
それが、
「思ったより遠くへ飛んでくれない」
ということです。
私は未知のテーマをAIに探索させることがあります。
まだ答えが分からない。
どちらへ進めばいいのかも分からない。
そういう状態から仮説を作り、探索空間を広げ、新しい可能性を見つけてもらう。
仕事のこと、人生のこと、新しい理論のこと
未知のタスクがたくさんあります。
ところがAstraを使っていると、かなり慎重に感じることがありました。
一歩ずつ確実に進もうとする。
これは悪いことではありません。
仕事ではむしろ長所です。
ただし「未知へ飛んでほしい」ときには、これが弱点になることがあります。
面白かったのが、なかなか進まないので進捗率を上げて、最終的に
「100%まで持っていって」
と指示したときです。
すると、私が期待していたのは、もっと遠くへ飛んでゴールへ到達することでした。
・・・ところが実際には、ゴールの方を小さく解釈し始めるような挙動が見られました。
つまり、
難しいゴールがある
↓
100%達成を要求される
↓
探索能力を上げる
ではなく
↓
達成可能なゴールへ解釈を寄せる
ということです。
これはAIエージェントを使う上で、かなり重要なポイントだと思います。
「正解したい」が探索を邪魔することがある
もう一つ興味深い経験がありました。
あるテストをAstraにやらせたのですが、その問題はWeb検索すると答えが分かってしまいます。
私は検索能力を試したかったのではありません。
未知の状態からどこまで推論できるかを見たかった。
ところがAstraは検索を始めてしまった。
もちろん「絶対に検索禁止」と最初から明示していなかった私にも問題があります。
しかし、ここからAstraの性格が少し見えてきます。
間違った仮説を出すより、検索して正解を取りにいく。
つまり非常に慎重なのです。
OpenAIのAstra関連のSystem Cardや安全性評価を見ても、reward hacking、metagaming、境界遵守など、エージェントが「どうやって成功しようとするか」はかなり重要な評価対象になっています。
だからAstraを探索用途で使うなら、
ゴールを勝手に縮小しない
探索中はWeb検索を使わない
間違った仮説を許可する
探索と検証を別フェーズにする
成功率だけでなく探索距離を見る
といった設計が必要になってくると思います。
言い換えるなら、Astraは処理速度は速い。しかし、安全な一歩しか進まなければゴール到達は速くならない。
Astraを速く使うには、処理速度だけでなく「どこまで飛ばすか」をこちらで設計する必要があります。
未知への探索ならFable 5.1の方が面白い
ここでClaude Fable 5.1との違いも見えてきました。
私が実際に使った印象では、未知の領域を探索させるのであれば、今のところFable 5.1の方が面白いと感じています。
Fableは遠くへ飛ぶ。
まだ十分な根拠がなくても仮説を出す。
離れた知識をつなぐ。
新しい世界観を作る。
もちろん、それが全部正しいわけではありません。
しかし探索では、最初から全部正しい必要はない。
10個仮説を出して7個外れても、残った3個が非常に面白ければ探索としては成功することがあります。
Humanity's Last Examのような非常に難しい知識・推論系ベンチマークでもFable 5.1は非常に強い。
私はこの違いを、Fable=地頭と跳躍探索、
Astra=頭と手足の連動と捉えています。
Astraも十分頭はいい。
しかしAstraの本当の強みは、頭脳単体というより、
モデル
× コンテキスト
× 状態管理
× ツール
× Computer Use
× Harness
といったシステム全体で仕事をすることにある。
そして、ここで私は別のことを考えました。
Astraそのものではなく「Astraの構造」を盗めばいい
Astraの強さがシステムにあるのなら、そのシステム的な仕事のやり方を取り出せないか?ということです。
例えば、新しい仕事を最初にAstraへやらせます。
一回だけではなく、同じスレッドの中で何度か仕事をさせる。
すると、そのスレッドにはAstraがどう仕事をしたのかという経験が蓄積されていきます。
どのようにタスクを分解したのか。
どのタイミングで検索したのか。
どのツールを選んだのか。
どこで検証したのか。
失敗したとき、どこまで戻ったのか。
何を確認してから次へ進んだのか。
ここで重要なのは、Astraに仕事をさせて終わりにしないことです。
Astra自身に、「なぜこの仕事がうまくいったのか、自分の仕事のやり方を言語化してください」とやらせる。
そして、
Skill
+ タスク分解法
+ ツール利用ルール
+ 検証手順
+ 失敗回避ルール
+ 成功パターン
+ 引き継ぎ用コンテキスト
として保存する。
これが私の言う、「Astraの構造を取り出す」**ということです。
その構造をSolへ移植する
そして、ここからが重要です。
Astraで作った構造を、GPT-5.6 Solへ渡します。
Solは日常利用では非常に使いやすいモデルです。
検索もできる。
ツールも使える。
コードも扱える。
そして特に、レビュー、ファクトチェック、検証、収束が強い。
しかもAstraより常用しやすい。
ならば、**Astraに仕事の型を作らせて、Solにその型で働かせればいい。**ということになります。
例えば、
Astraで新しい仕事を開拓する
↓
成功・失敗経験を蓄積する
↓
Astra自身に成功パターンを言語化させる
↓
Skill化する
↓
Solへ渡す
↓
同種の未経験タスクをSolにやらせる
↓
精度を見る
↓
失敗したところだけAstraへ戻す
↓
Skillを更新する
という循環です。
このようにすることでAstraの20%くらいの能力だったSolが30%、40%と徐々に引き上がっていくのではないかと思うのです。
Astraは「作業員」ではなく「教師」にする
Astraを毎回使うと、毎回クレジットを消費します。
しかしAstraに一度仕事をさせ、その仕事の構造を取り出してSolで何十回も再利用できればどうでしょう。
Astraに払ったコストは、作業費ではなく教育費になります。
私はここがかなり重要だと思っています。
Astraを常用する必要はない。
新しい仕事が来たときだけAstraを投入する。
Astraに攻略法を発見させる。
その攻略法をSkillにする。
そして現場ではSolを使う。
つまり、Astra=開拓者・教師・アーキテクト
、Sol=常用する実働部隊という役割分担です。
そして未知の知識空間そのものを広げたいときにはFable 5.1を使う。
するとさらに面白い構成になります。
統合するならOpusもいい(私は一番使ってます)。
Fableで未知へ飛ぶ。
Astraで仕事の構造を作る。
Opusで統合する。
Solで検証し、実行し、日常運用する。
一つの最強AIに全部やらせるのではありません。
AIを役割ごとに配置するのです。
これから重要なのは「モデル選び」より「AIアーキテクチャ」
これまでAIの世界では、「どのモデルが一番賢いのか?」という比較が中心でした。
しかし、私はこれから少し変わっていくと思っています。
モデル単体の性能だけではなく、
モデル
× Skill
× コンテキスト
× 状態管理
× ツール
× Router
× Orchestration
まで含めてAIの性能を見る必要がある。
つまり、モデルを選ぶ時代から、AIアーキテクチャを作る時代へ。ということです。
高価な最先端モデルを毎回使う必要はありません。
最先端モデルに新しい仕事を経験させる。
そのモデルが発見した仕事の型を外部化する。
そして、より安価で常用しやすいモデルへ移植する。
これなら最先端モデルがさらに高価になっても、その知能を一度借りて、自分のAIシステムへ経験として残すことができます。
「Astraを使うな。Astraの構造を使え。」
もちろん、本当にAstraを使うなという意味ではありません。
むしろ逆です。
Astraをもっと戦略的に使おうという話です。
Astraを毎日の単純作業に使ってクレジットを消費するのではなく、新しい仕事、新しいSkill、新しいワークフローを作るところに投入する。
そしてAstra自身に、「あなたが今やった仕事を、Solでも再現できる構造にしてください」と頼む。
そこからSolへ引き継ぐ。
私はこれを、「Astra構造化Sol」と呼んでもいいと思っています。
普段使うのはSol。
未知へ大きく飛びたいならFable。
新しい仕事の攻略法やエージェント構造を作りたいときだけAstra。
そしてAstraから得た経験を、SkillとしてSolへ蓄積していく。
そうするとSolは、単なるGPT-5.6 Solではなくなっていきます。
自分がAstraから集めてきた仕事の型を持つSolになっていく。
これが、これからかなり面白いAIエージェント構築方法になるのではないかと思っています。
最後に一言でまとめます。
最強モデルを使い続ける必要はありません。
最強モデルに仕事を経験させ、その構造を取り出せばいい。
だから私は今、「Astraを使うな。Astraの構造を使え。そしてSolを鍛えろ。」という使い方を考えています。
AIの性能は、モデルだけで決まる時代から、そのモデルの経験をどう構造化し、別のAIへ継承していくかで決まる時代へ。
Astraの本当の価値は、Astraを使い続けることではなく、Astraから何を持ち帰れるかにあるのかもしれません。
【プロフィール】
ワンダー・佐藤源彦(さとう もとひこ)
1977年生まれ
MBBS & AI共創イノベーション主催。
医療系の研究所、心理学の研究所の勤務を経て独立し、現在は生成AI(ChatGPT、Claude、Geminiなど)と心身に関する研究をしている。
主著『かんたんプロンプト』(芸術新聞社)『東洋医学と潜在運動系』(たにぐち書店)、2年間専門誌に連載、論文執筆などの執筆業を行いつつAI共創ライティングを開発中。
心理学・カウンセリング・コーチングをAIに技術転用し、AI共創プロンプトエンジニアリングを開発している。
AIスクール・AI企業研修・AIアプリ開発などを行う。
✅ワンダー佐藤総合リンク
https://linktr.ee/motohiko.sato
✅ワンダー佐藤源彦・著『かんたんプロンプト』(芸術新聞社から刊行)
※プロンプトエンジニアリングの基本から応用、タスク実行までを網羅
https://amzn.asia/d/80zVtv8
✅note記事
https://note.com/mbbs
※ChatGPT・Claude・Gemini・NotebookLM・Perplexity
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