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あこがれのミニーちゃん。だけど、私のミニーちゃんは違った

私と姉は年子。
小さい頃は、同じ服を買ってもらうことがあった。

姉がピンクなら私は赤。
色違いで、同じデザインの服を着ることも多かった。

年子の姉妹だから、親にとってもお揃いの服は選びやすかったのだと思う。

ただ、キャラクターのついた服は、あまりなかった。

今ほど売られていなかったのか、母の好みではなかったのか。
理由はよく覚えていない。

だから、
キャラクターのついたものは特別だった。

持っているだけで、心がおどる。
身につければ、おめかししているような。

そんな気がしていた。

ある日、母がお揃いの靴下を買ってきてくれた。

なんと、
ミニーちゃんが大きくプリントされているハイソックスだった。

「えっ、本当に! ありがとう!」

この世に、こんなにかわいい靴下があったなんて。
私たち姉妹は、大喜びした。

すぐにでも履きたかった。
でも、履くのがもったいない。

いつもの靴下と一緒にしてはいけない。
これは特別な日のための靴下。

幼稚園に履いていくのはやめた。
次のおでかけの日まで、大事に取っておくことにした。


ついに迎えた、ミニーちゃんの日。

朝から気持ちが落ち着かない。
ウキウキしながら、ハイソックスに足を通した。

靴下を引き上げると、ミニーちゃんが現れた。
うれしくて、すぐに母のところへ見せに行った。

「ねえ、見て!」

母は一瞬、動きを止めた。


そして、大笑いした。

なぜ、母が笑っているのか。
まったくわからない。

「ねえ、ミニーちゃん、可哀想だよ」

「え?」

自分の足元を見た。

白いハイソックスは、私のふくらはぎを包むために、懸命に横へ伸びていた。

プリントされていたミニーちゃんも一緒に。
顔はすっかり横長になっていた。

思い描いていたミニーちゃんは、そこには居なかった。

隣にいる姉の足を見た。
姉の足には、私が思い描いていたとおりのミニーちゃんがいた。


同じ日に買ってもらった、同じ靴下。

姉の足では、かわいいミニーちゃんのままだった。
なのに、私の足では違った。

並んで立つと、その違いはよくわかった。

母が笑った理由を理解した。
もう一度、自分の足を見た。

たしかに、可哀想かな。
でも、脱ぐ気にはならなかった。

この日のために、ずっと取っておいた靴下。
少しくらい横に伸びたからといって脱ぐ理由にならない。

ようやくキャラクターの靴下を履けたのだ。

待ちに待ったミニーちゃんの日。
こんなところで終わらせるわけにはいかなかった。


それから、あの靴下を履いた記憶はない。

母には聞いたところ、
ミニーちゃんは「あまりにも可哀想だから」という理由で、近所の子の家へもらわれていったらしい。

なぜかがっかりしなかった。
自分でも可哀想だと思っていたのだろう。

近所の子の足で、きっと本来の姿を取り戻せたことだと思う。

あなたにも、
くすっと笑える、親子の思い出はありませんか?


私も写真を撮るとき、何気ない光や、風に揺れる草花に心を留めています。

写真を通して、そんなふうに心が少し休まる景色を届けられたらと思っています。

日常のなかで、ほんの少し立ち止まりたくなったときに。
よかったら、私のKindle写真集ものぞいてみてください。


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