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不幸中の幸いだと思いたい…

幼稚園時代、仲良しの友ちゃんとしょっちゅう遊んでいた。
当時、母からきつく言われていたのが「外で遊びなさい。お友達の家に上がって遊んではだめ」。
これを破ったら叱られたうえ、2~3日母の機嫌が悪いと知っている。

子育てをしている今だったら分かるけれど、知らないうちに子供たちが勝手に家で遊んで、トラブルでもあったら大変だ。母親同士がとても仲が良ければ別だろうけれど。

そんなある日、友ちゃんのお母さんが
「雨が降り出したから、お家で遊んでいいよ」
と言ってくれた。まだ遊びたかったアタシ。母の掟を破って、遊ばせてもらうことにした。

およそのうちは珍しいものがいっぱい。
そこに友ちゃんがほんの少し自慢げに、丸い缶を振り「カランカラン」いわせながら近づいてきた。
「まいまいちゃん。これ何だか知ってる?」
「あ! コマーシャルでみたことある!」
すると友ちゃんは、ふふんといいながら得意げな顔になり
「これね、のどあめって言うんだ。おいしいから食べてみない?」
そう言ってひとつ、アタシの手に出してくれた。

それは黒くて平べったい小さい丸いもの。子供のアタシには、なんだか苦そうに見える。それにどことなく薬くさい。

戸惑っていると、友ちゃんは自分の口にひとつ入れてこう続けた。
「甘くておいしいよ」
恐る恐る口に入れると、まあ不思議。
あんなに薬くさいハズのなのに、甘くてスーッとした–––大人の味だった

「これがコマーシャルしているのどあめかー」

母は、飴玉全般をたいそう嫌っていた。
「虫歯になるから、甘いものはおやつの時間だけ」
これが母の口癖。

でも友ちゃんに言わせると、のど飴はおやつじゃないと。
「ここに漢字で『薬』って書いてあるんだって。お父さん言ってた」

「だったら、おやつとは違うね!」
ふたりで向かい合っておしゃべりしながら、どんどんのど飴を口に放り込んだ。

「あ…」
缶の音が消えた。

「ぜーんぶ食べちゃった…」
アタシはこれで良かったのかと怖くなったのに、友ちゃんは笑っていた。
そういえば、笑っていない顔を見たことないな…。

それ以降、友ちゃんのお家には上がっていない。
なんでだろう。
なんででしょう。

※※

あれからウン十年。
あるものがないときのショック。
今だったら、よーくわかります。

今さらですが友ちゃんのお父さん。
全部食べてしまってごめんなさい。

これが世間でよくトラブルになっているプリンじゃなかったったことだけが、不幸中の幸いだと思いたい。




※※※

この作品は、現在ワタクシが執筆者のひとりとして参加している有料マガジン「カチマガ創刊号」を読み終わって、ふと思い出したエピソードです。
その作品では「トローチ」が作品の肝になっています。
どの作品の事かも含め、お茶1杯飲みながら、楽しんでいただけると嬉しいです(^▽^)/




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まいまいまま(mymymama) サポートありがとうございます!  迷わずお菓子を大人買いしますよ?怒りません? ありがとうございま~~~す  ε=ε=(ノ≧∇≦)ノ