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右側の列しか知らない人

夏休みに、ディズニーに行った。

ディズニーには、右側の列がある。

少しお金を払えば、 長い列を通らず、 すぐにアトラクションへ案内される。

いつも、 少し複雑な気持ちになる。

本当は、 少し困っている人ほど、 右側の列を使えたらいいと思う。

でも、 誰が困っている人なのか、 決めることは出来ない。

子どもなのか。
高齢者なのか。
疲れている人なのか。

そこに正解はない。

先着順にしても、 今度は何時から並ぶかの競争になる。

抽選にしても、 当たりやすい方法論は、 すぐに確立される。

そもそも、 今の入園者数では、 一本の列だけでは捌ききれない。

結局、 企業としては、 より課金した人を優遇する仕組みが、 一番分かりやすい。

ふと思った。

世の中には、 生まれてからずっと、 右側の列しか知らない人がいる。

待たないことが、 当たり前になっている人。

逆に、 左側の列しか知らない人もいる。

同じ場所にいても、 人によって、 見えている景色は、 最初から違うのかもしれない。

ディズニーでは、 その景色の違いが、 右と左の二つの列として、 きっぱりと可視化される。

普段の生活では、 もっと曖昧だ。

病院でも。
銀行でも。
仕事でも。

右側の列と左側の列は、 きっとある。

でも、 はっきり見えないだけだ。

夢の国なのに、 ここは妙に現実的だと思う。

そして、 人生の場面ごとに、 立場が入れ替わることもある。

才能では、右側。
仕事では、 左側。
恋愛では、 右側。
子育てでは、 左側。

ずっと右側の人も。

ずっと左側の人もいる。

でも、 多くの人は、 右と左を行き来しながら、 生きているのかもしれない。

SNSなど、 世の中に出回る記事の結論は、 だいたい、以下のどれかに集約される。

右側に並ぶために、 お金を稼ぐ方法。
少しでもうまく回るための、 攻略法。
右側と左側の格差について、 問題提起する記事。
左側にも良さがある、 という考え方。
右側を見ないで生きよう、 という生き方。
右側は最高だった、 という自慢話。
左側で苦労した、 という体験談。

たぶん、 結論は、 このどれかになる。

私も、 この記事をどう終わらせようか考えながら、 列に並んでいた。

格差論にもできる。
努力論にもできる。
攻略法にもできる。
メンタル論にもできる。

でも、 そのどれか一つにすると、 何かがこぼれる気がした。

どの結論もしっくりこない。

表現によっては、 センシティブでもある。

私には、 まだ扱うのが難しいテーマだった。

そう考えているうちに、乗り物の順番が来た。

だから、この記事は、 ここで止めます。

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