自分は一人でも平気だと思っていた。35歳までは。
僕は昔から、一人でいることがそんなに苦ではなかった。
一人で飯を食べられるし、一人でカフェにも行ける。一人旅も好きだし、写真を撮りに出かけるのもだいたい一人だった。
海外にも5年間住んだ。
だから、自分はかなり「一人でも大丈夫な人間」だと思っていた。
群れるのも好きじゃないしね。
30代や40代になると、独身男性は孤独になりやすい。
友達が結婚して遊べなくなる。
休日に予定がなくなる。
会社以外で人と話さなくなる。
昔から、そんな記事を何度か読んだことがある。
そのたびに「なるほどな」とは思った。
でも同時に、
まあ、自分は大丈夫だろう。
とも思っていた。
友達もいる。
趣味もある。
一人でも楽しめる。
未婚率が上がっているというニュースを見れば、これからは一人で生きる人ももっと普通になるんだろう、となんとなく思っていた。
35歳になった今。
ちょっと思っていたのと違う。
一人で行動できることと、一人で生きていけることは違った
今でも一人でカフェには行ける。
一人旅もできる。
休日に一人で出かけることにも抵抗はない。
そこは昔と変わらない。
でも最近、
一人で行動できることと、一人で生きていけることは、全然違うんだな
と思うようになった。
20代の頃の僕は、一人でいるつもりでも、実際にはいろいろなものに囲まれていた。
親はまだ若かった。
実家に帰れば、いつもの風景があった。
ペットも元気だった。
友達も独身が多く、土日に連絡すれば普通に会えた。
「今日暇? カフェ行かない?」
くらいの雑な誘いでも成立した。
別に毎週誰かと遊んでいたわけではない。
それでも、「会おうと思えば会える人」がいるのと、「会いたいと思ったときに会える人がほとんどいない」のでは、かなり違う。
昔の僕が好きだったのは、一人そのものというより、
一人を選べる状態
だったのかもしれない。
周りの人も、ずっと同じ場所にはいない
35歳になると、自分以外の時間も進んでいることを実感する。
親は歳を取る。
ペットも歳を取る。
友達は結婚する。
子どもができる。
転職する。
家を買う。
住む場所を変える。
もちろん、友達がいなくなったわけではない。
連絡すれば返事は来るし、久しぶりに会えば普通に楽しい。
ただ、昔のように気軽には会えなくなる。
それぞれに家庭や仕事や予定がある。
これは誰が悪いわけでもない。
みんな、自分の人生を生きているだけだ。
むしろ最近少し意外だったのは、
みんな結構ちゃんと自分の人生を進めているんだな
ということだった。
昔は、独身率が上がっているとか、結婚しない人が増えているという話を見て、
40歳くらいになっても今と似たような感じで、独身同士で遊んだり、それぞれ好きなことをしている人が周りに結構残っているんだろうと思っていた。
もちろん、そういう人もいる。
でも、自分の身の回りを見ると、思っていたよりみんな普通に結婚する。
仕事を変える。
暮らす場所を決める。
家庭を作る。
何かしら選択しながら、自分なりの生活を作っていく。
一方で僕は、
「まあ、そのうち考えればいいか」
を結構長い間続けてきた。
ボーッとしていても、現状維持にはならない
これが今、一番怖い。
自分が何も決めなくても、人生は止まってくれない。
親は歳を取る。
友達の生活は変わる。
会社では立場が変わる。
今いる場所がずっと同じ形で残るわけでもない。
僕はどこかで、
何もしなければ、とりあえず今の状態がそのまま続くような感覚を持っていた。
でも実際は逆だった。
ボーッとしていても、現状維持にはならない。
自分が立ち止まっている間も、周りは普通に動いていく。
だからある日ふと、
「あれ、みんな結構先に行ってるな」
と感じる。
人生は競争ではないし、結婚すれば正解という話でもない。
ただ、自分の人生について何も選ばずにいることと、自分の意思で一人を選ぶことは、同じではなかった。
そこは、昔の自分が一番勘違いしていたところだと思う。
25歳の自分が読んでも、たぶん聞かない
もし25歳の自分に会って、
「お前、今は一人で平気だと思っているけど、35歳になると結構しんどいぞ」
と言っても、たぶん聞かないと思う。
「いや、俺は一人でも楽しめるし」
と言うはずだ。
僕自身、昔似たような警告を読んで、そう思った。
だから、今この記事を読んで、
「この人はそうだったんだろうけど、自分は大丈夫」
と思う人がいても、すごくよく分かる。
僕もそうだったから。
別に、若いうちに結婚した方がいいと言いたいわけではない。
今でも、一人で生きること自体が悪いとは思っていない。
ただ、35歳になった自分から一つだけ言えるとしたら、
今、一人で平気だからといって、10年後も同じ条件で一人でいられるとは限らない。
親も、ペットも、友達も、自分自身も変わっていく。
20代の頃の僕は、その前提をほとんど考えていなかった。
「一人が好き」と「一人でも生きていける」。
同じような言葉だけど、僕にとっては全然違った。
そのことを、もう少し早く知って、行動を変えるべきだったかもしれない。
と、お盆最終日に憂鬱になりながら思い耽っている。
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