「電車のホームは丘の上」
1000字の夢日記
仕事の打ち上げで仲間と街に繰り出した。
皆、かなり飲み、さあ帰ろうというときに女の子の一人が、気分が悪いと言いはじめた。悪酔いしたのだろう。仕方ないので隣にいたオレが介抱しているうちに、他のメンバーは明日の仕事の準備があるというので帰っていった。
居酒屋を出て、駅まで歩くと顔色の悪い彼女は「M駅まで帰るのに、お金が100円足りない」と呟いた。オレは100円くらいならと思い、ポケットをまさぐると、なぜか札束が出てきた。が、ほとんどが東南アジアかどこかの、お札。一瞬、その中に千円札が見えた気がしたけれど、いつの間にか消えてしまった。
窓口で駅員に見せても、これではダメだと首を横に振るばかり。自分の電車の時間が迫ってくるにもかかわらず彼女はオレの体にしがみついている。どうしよう。あっ、そうだ! クレジットカードがある。
これで、足りない100円とオレの分とで切符を買い、急いでプラットホームへ向かった。
彼女は、なんとか間に合ったのだがオレの乗る電車のホームは遠い。同じ駅構内なのに、ずっと先の丘の上にある。そして途中には流れの速い、どぶ川がある。しかも向こう岸に渡るには幅50㎝ほどの、欄干のない、板だけの橋を渡らなければならない。
どぶ川は不気味に濁っているし、橋から落ちたら大変なことになる。他の乗客は一瞬たじろぐも、テンポよくスタスタ渡っていく。意を決してオレも渡ろうとした。しかし、どういうわけかズボンが腰まで下がってきて足が思うように動かせない。
そうこうしているうちに最終電車が強烈なビームライトを照らしながらホームに入ってきた。いかん、急がねば。オレはズボンを捲り上げ、橋を渡りはじめた。
橋の中央付近は、さらに幅が狭くなっていて、しかも板どうしの継目が1本のネジで留められているだけ。グラグラしていて少し怖い。でも、このくらいならなんとか渡れるだろう。途中、橋はボヨンボヨンと揺れに揺れ、まるで水泳の、飛び込み競技の踏切板のよう。
オレはヤジロベイみたいに、両腕を真横に伸ばしバランスを取りながら慎重に進み、最後まで渡りきった。すると、どこからともなく拍手が沸き起こってきた。なんとなく嬉しいとはいえ、喜んでいる場合ではない、急いで丘の上のホームに行かなければ。
幸い、同じように乗り遅れそうな客がいるらしく電車は止まって待っている。ここは日本、時刻表どおりの正確さを誇る電車にしては人情がある…

