『つくるデザイン』図版まとめ
『つくるデザイン 基礎・レイアウト・かたち・文字・色・実践』の宣伝用につくった図版をどこかにまとめようと思ってやってなかったので、ここにまとめます。わたしが知ってる限りのデザインルールをぎゅうぎゅうに詰め込んだものです。たぶんこれ頭に入れておけば、たいがいのケースに対応できます。
図は、そのなかから比較的キャッチーなものを集めました。あんまりキャッチーじゃないけど大事なものは本の中にあります。
全般的なこと
デザイナーの頭の中
デザイナーはいろんなことを考えながらデザインしてます。わたしは頭の中に先に完成図が見えているタイプなので、順番に考えるということをあまりしないんですけど、根拠をひとつひとつ説明していくと、こんな感じになると思います。

スーパーのチラシはこういうのの最終形態みたいな状態になっているので、よく見てみるとデザイナーの意図が汲み取れて楽しいです。パッケージも同様、工夫の宝庫です。

根源的なはなし
なんのためにわざわざデザインするかというと、反応速度が早まればいいんですよね。すぐわかる、ということは、あたまが楽、ということです。

わたしが心理学の本を読んでいて思ったのは、デザイナーが考える理想のデザインと、わかりやすいデザインって違うな、ということです。アップルコンピューターがすっきりさっぱりシンプルデザインをやりだしてから、わざわざやるデザインってそういうもん、という認識が根深いですが、実際のところ最強なのは、いらすとやさんの絵に、角ポップで説明の言葉がついてる状態だと思います。
アップルはアップルで、「ここまで減らしてもいける」という先例をつくってくれたのは大きな功績です。

わかりやすくするいろいろな工夫
手前と奥
「図と地」というのはデザインにおいては有名な概念ですが(美術の教科書にも出てくるかもしれない)、手前にあると「注目すべきもの」として認識されやすい、だから手前にあるように感じさせる工夫をしよう、というそれだけです。


水玉のサイズをだんだん大きくしていくと、ダイヤ柄になるなあと。
鮮明と不鮮明
よく「視認性」とかいいますが、輪郭がくっきりはっきりしていると見やすい、地との境界が曖昧だと見づらい、というそういうことです。でも、曖昧が悪かというとそうではなく、目立ったら困るものはその処理が必要だし、あまりにもわかりやすすぎるとダサい、という場合は、ちょっと曖昧にしたほうがおしゃれに見えます。ロゴなんかで、よくひび割れが入ってたりわざと欠けてたりするの、意味をとるのにワンクッションかかって、ちょっと曖昧になるからかっこよく見えるんだろうと思います。英語のタイトルとかもそう。
で、その感覚に正直に従ってやりすぎると「わかりにくい」って吊し上げられる。どのくらいまでならやっていいかな、という加減を知ってるのもデザイン力だと思います。

視力検査で「C」の字で測ることがありますが、「C」のアキが広いとどっち向きかすぐわかるけど、狭いと迷いますよね。ユニバーサル書体でも、アキを広くとって視認性を上げているものを多く見ます。加えてアシンメトリーにすると、文字の見分けもつきやすくなる。

このへんよく考えられているはずの甲子園のボードでも、わたしは見間違えました。
ただ、わたしの好みもあるんですが、シンメトリーのほうが安定して見えるんですよね。このへんはケースバイケース。
角と丸み
丸みは、なんとなく親しみやすさが欲しいときに頼りがちですが、なんで親しみやすくなるのかというと、角よりは目立たなくなるから。あと実際、若干小さくなります。

角は目を引く、といいうのを覚えておくと、見せたい方向に角を向ければいいので楽です。

わたしはポカリスエットのデザインが大好きなのですが、よくよく眺めていると、一度見たら最後、絶対に視線を外に出さないようになっていて、おそろしいなと思いました。

丸みは隙間をつくる用途でも使えます。谷ができて区切りがわかりやすくなります。
わたしがこの効果を実際に体感したのは、NHKラジオのWeb用のプレイヤーがリニューアルしたときです。あそこは何回かリニューアルしてるんですが、あるとき、下の図の左側の最上段の状態から、右側の上から2番目の状態に変わって、めちゃくちゃわかりやすくなったんですよね。他にも、色の使いかたがかなりよくなってたのを覚えています。


錯視
錯視の話もあちこちで書いています。コンピューターで数値をきっちり揃えられるようになって、かえって錯視を呼びやすくなったと思います。ただ、微妙な調整は、最後に誰かが責任持ってやるのがいいと思います。中途半端になるくらいなら、あえてやらないか。

色
色を使うときは、目立つ/目立たないという性質と、同色でグループ化する力、色の持つ意味、それはさておき個人の好みなど、考えることがいろいろあります。

教科書とかよくこうなってますよね。色がついてないときは自分で蛍光ペンひいたり。黄色とピンクと水色の蛍光ペンでは黄色が一番文字が鮮明に見えるなーどうしてだろう、と学生時代は思っていたんですが、黄色はほかの色相とは明度が段違いに違うのでそれはそうだな、というのが後になって納得できました。

『つくるデザイン』はカラフルな図が多い本ですが、うるさくならないように、淡めの色で統一しています。

色の調子の比較。セールス目的だと最下段でいくことが多いです。

大きさ
大きさの違いも色同様、いろいろな側面を持っています。
文字の大きさの違いでわからせる方法、無印良品のタグがいいサンプルになります。

細めの文字は小さくすると極細になるので、本文にはちょっと太いかも、と思うくらいの適度な太さのフォント(下図の真ん中)を選ぶと、見出しにも本文にも使えて汎用性高いです、という学び。

隣の影響、間隔
レース素材をつくっているときによく思ったことです。単品で見るとよくても、連続させると違うものに見えることがあるなと。

気をつけていないとこうなりがちな例。できあがったら、全体を見て、関係ないものがまとまって見えないかチェックするといいです。

行が数文字で終わるかみっちり埋まって終わるかでも見た目が変わります。本ではここまで気にしなくてもいいけど、おしゃれなフライヤーだとばらついて見えないほうがいいかもしれない。

行間分あいているから大丈夫、と思っていると、隙間が足りないように見える件。

基本的には、隙間をあける方向で調整していくとすっきり見えます。慣れてない人がつくったな、というのを見てると、狙っているわけではなく、境界ぎりぎりに文字を置いてることがけっこうあるんですよね。

よく、タイトル周辺に引いてある謎の線、これにもまとめ効果があります。

構図
よくいわれる構図の基本がこの3つ。

下から上はあんまり見ないですね。

カメラアプリを使うとき、この3分割線を出すと構図が決まりやすいです。

デザイン全体
文字のサイズや間隔
文字関連のところはかなり具体的です。
なぜかというと、コンピューターで文字を扱うとき、どのみち設定で文字を配置することになるから。行間とかカーニングとか、アプリに共通する操作なら具体的に説明したほうがどのみち実用的だろう、という観点から。サイズ感とかは大きさの節のところで解説しているし。

最近のおしゃれなフォントは小さめにできているものが多いので、ワンサイズ上くらいで使うといいかもしれない。ユニクロの服を買うときはワンサイズ上、みたいな感じ。


文字の並べかた
ぜんぶやろうとするとAdobeソフト使うしかないですが、トラッキングやプロポーショナル組みなどは他のソフトでも機能として用意されていることがあります(名前は違うかもしれないですが)。そのどれが効いているのかは、いっぺん設定をすべて「なし」にして、ひとつずつ試してみないとわからないと思います。

文字の組みかたは大きく分けて「正方形のマス目で並べる」と「文字のかたちで並べる」の2通りあるんですが、デザイナーが後者をやりたがる件についてはこの記事に書きました。わたしもそうだったし、しゃーないと思います。

文字の間隔は、複数の設定が効いていてその状態をつくっていることが多いので、見分けるポイントをまとめてみました。ここの隙間をどうにかしたいんだけど、と思っても、何の影響でそうなってるか判別つかないと、解決が難しいです。

表紙のつくりかた
お困りのかたが多そうな表紙のつくりかたですが、中央、辺、その中間、に注目して考えると、そんなにやれることはない、というのがわかって気が楽になります。この視点で書店の棚を眺めてみるのもいいです。

辺を使うと中央も使えてお得です。


困ったら白地が便利です。最近は右上の、文字が越境タイプをよく見ますね。大きくできるし、一味違う感じも出せるし。

という感じの図が盛りだくさんの本です。
