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創作の裏側『バンブーベンダーの姫君〜冥界からの最終通告〜』

 こんにちは、野村葉のむらようです。

 noteに投稿している小説の「創作の裏側」を紹介しています。

 今回は9月6日に投稿した『バンブーベンダーの姫君〜冥界からの最終通告〜』です。短い期間でたくさんのビューをいただきました。ありがとうございます。

 この作品は、日本最古の物語といわれる『竹取物語』の翻案のつもりで書きました。誰もが知っている『かぐや姫』です。

 私はすでに、グリム童話の『白雪姫』の翻案として『鏡の国のスノーホワイト【完全版】〜「私」の中にいるのは誰?〜』を投稿しています。翻案シリーズ第2弾ということになります。

 今回参考にしたのは、室伏信助むろふししんすけ訳注『新版 竹取物語』(角川ソフィア文庫)と星新一ほししんいち訳『竹取物語』(角川文庫)の2冊です。

 やはり星さんは面白いです。SF的なショートショートだけでなく、古典をきちんと訳せる方なんですね。さすがです。

 『竹取物語』を読み解く鍵は、この世とあの世のコントラスト(対比)ではないかと思っています。

 この世(地上の世界)は、人間の欲望で汚濁おだくにまみれた世界になっているのに対して、あの世(オリジナルでは月、本作品では冥界)は、清らかでけがれのない世界なのです。

 本作品の設定(オリジナルからの読み替え)は次のようになります。以下、項目別に紹介します。

1. 登場人物の名前

 竹取のおきなは、竹下昭男たけしたあきおという名前にしました。「竹下」は舞台となる福岡県に多い苗字です。もちろん「竹」にちなんでいます。「昭男」は昭和生まれであることがわかるように70代の男性に多い名前から選びました。

 昭男は、竹林のオーナーなので「竹売たけうりのじいさん」と呼ばれています。「竹売」は、英語に訳すと「バンブーベンダー:Bamboo Vendor」です。私が大好きなギタリストの高中正義たかなかまさよしの曲名にも使われています。曲の方のスペルは「Bamboo Vender」ですけど、意味は同じです。

 かぐや姫は「美琴みこと」。これは行方不明になった昭男の実の娘の名前ですので、作品中では「」付きで使っています。彼女は「ゾンビの女王」とも呼ばれます。

2. かぐや姫の出現と成長

 周知のようにかぐや姫は竹の中から小さい姿で現れますが、本作品では成人の姿でうつ伏せの全裸で発見されます。ちょっとエロいですね。

 オリジナルでは、かぐや姫は3ヶ月ほどで大人になります。本作品でも、初期化された状態のスマホやパソコンのように「最初はまともに体を動かすことができず、しゃべることもできなかった」のに1週間ほどで小学生くらいの状態になります。

 しかし昭男は「美琴」を外に出さず、誰の目にも触れないようにして世話をします。ここもオリジナルと同じですね。

3. ゾンビ

 ゾンビはもちろんオリジナルには出てきません。私のアイデアというか思いつきです。

 本作品の第2章「ウイルス」は、以前投稿した掌編小説『死んでも生きる〜ある「高齢者」の一日〜』を流用しています。九州北部で感染が広がっていく様子をゾンビ側の視点で描きました。

4. 求婚者たちへの課題

 オリジナルでは、かぐや姫の美しさを聞きつけて求婚した5人の貴人が無理難題を押しつけられ、ことごとく失敗するシーンがあります。ここがいちばん笑えて面白いところでしょう。

 本作品ではこれを、「美琴」からの政府への提案=「ゾンビのように生きろ」へと大胆に変更しました。ここはわかりにくかったかもしれませんが大事なところで、このままでは地上の世界が行き詰まってしまうので、それを打開するために「美琴」があの世である冥界から遣わされたのでした。つまり、彼女こそが「最終通告」だったというわけです。

5. 天の羽衣

 オリジナルでは、かぐや姫を迎えにきた使者が彼女に「あま羽衣はごろも」を着せると、地上の世界でのことを忘れてしまうというシーンが出てきます。本作品では、「美琴」がゾンビに食べられて、彼女の肉体がこの世から消えるという表現にしました。ショッキングですが、そうすることで彼女の精神は冥界に戻ることができるのです。

6. 不死の薬

 オリジナルでは、かぐや姫はみかどに不死の薬を残していきます。本作品では、行方不明の昭男の娘を小学生の姿で返すという形にしました。「美琴」と「命」がどちらも「みこと」と読むこと、つまり「美琴」は命(いのち)という意味だったことが明かされて終わりになります。

 翻案は難しいですが、自分の文章修行のためにやってます。プロットをあれこれ考えるのは楽しいです。1年前に発症した脳梗塞のリハビリにもなっていると思います。

(完結)

 短編小説『バンブーベンダーの姫君〜冥界からの最終通告〜』はこちらからどうぞ。

 掌編小説『死んでも生きる〜ある「高齢者」の一日〜』はこちらからどうぞ。


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