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私、面接官なのにときめいてます

 面接室の窓から差し込む光を浴びながら、私はいつも小さく微笑む。今日も何人と出会えるだろう。

 午前中に来たのは、元官僚だという四十代の男性だった。丁寧な言葉遣いと、どこか浮世離れした佇まい。「弊社の風土には、少し合わないかもしれませんね」と伝えると、彼は深々と頭を下げて帰っていった。あの深いお辞儀は、きっと私の話し方に何か感じるものがあったからだろう。

 午後は、爽やかな青年がやって来た。スーツの着こなしがよく似合う、いわゆるイケメンというやつだ。彼は終始、私の目をまっすぐに見て話していた。緊張しているのかしらと思ったけれど、案外そうでもないのかもしれない。

 三人目は、素朴な雰囲気の女の子だった。「先輩みたいになりたいです」と言われて、思わず照れてしまう。同じくらい綺麗、なんて言われたら困ってしまうけれど、案外そう思われているのかもしれない。

 一方で、心が痛むこともある。当日になって突然リスケの連絡が来たり、そのまま音信不通になったり。無断欠勤する候補者もいる。「私が採用担当だから、緊張して逃げてしまったのかしら」なんて考えることもあるけれど、まさかそんなはずはない。きっと、みんなそれぞれ事情があるのだろう。

 一時間という限られた時間の中で、会社の魅力を伝えるのは簡単ではない。雑談をしている余裕なんてない――そう自分に言い聞かせながらも、気づけば候補者の表情や仕草に、つい目がいってしまう自分がいる。

 今日も一人、また一人と、個性豊かな人たちに出会う。誰かの人生の分岐点に、こうして立ち会えるこの仕事が、私は嫌いじゃない。

 たまには、私がドキドキするような出会いがあっても良いのだけれど――。

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