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怒っちゃダメなの?

「子どもは怒らずに褒めて伸ばしましょう」

「部下は叱るのではなく、良いところを認めて伸ばしましょう」


最近は、そんな考え方を耳にする機会がずいぶん増えました。

子どもを持つ親御さん。

教育現場で子どもを指導する先生。

会社で部下や後輩を指導する上司や先輩。

おそらく多くの人が、「怒るよりも褒める」ということを意識しているのではないでしょうか。

私自身は昭和生まれなので、小中学校では先生から厳しく指導されることもありましたし、部活動でスパルタに鍛えられた経験もあります。

もちろん、たくさん怒られました。

ところが今では、「怒ることにはデメリットがある」「怒ることで子どもや部下との信頼関係が壊れるかもしれない」といったことが言われるようになり、

「怒ってはいけない」

という考え方が、ある意味では当たり前のようになってきました。

では、本当に怒ってはいけないのでしょうか。


今日は、このことについて少し考えてみたいと思います。

「怒ってはいけない」で困っている先生たち


以前、私は学習塾のコンサルタントをしていた時期があります。

そこで教室責任者の先生方から、こんな相談を受けることがよくありました。

「怒っちゃいけないと思って、できるだけ褒めるようにしています」

「優しく言うようにもしています」

「でも、いくら言っても子どもが言うことを聞いてくれないんです」

「なんだか子どもたちに舐められているような気がして……」

「教室の雰囲気も、だんだんなあなあになっている気がします」

「ふざけたり、言うことを聞かなかったりする子には、どう接したらいいのでしょうか?」

私は、そんな相談を受けたとき、ある質問をすることがありました。

「もし、○○くんが教室でふざけているのに、先生が何も注意しなかったとします。

その様子を、○○くんのお母さんが教室の後ろから見ていたら、どんなふうに思うと思いますか?」

そう聞くと、

「うちの子に腹が立つと思います」

「うちの子が迷惑をかけて申し訳ないと思うと思います」

そんな答えが返ってきます。

そして、さらに考えていくと、

「もしかしたら、先生にもっと厳しく注意してほしいと思う保護者もいるかもしれません」

という話になることもあります。

もう一つ、こんな場面を考えてみます。

教室で子どもがふざけています。

今にも転んで怪我をしそうです。

あるいは、ふざけた結果、お友達に怪我をさせてしまいそうです。

そこに、その子のお母さんがいたとしたら。

お母さんは、その子に対してどう思うでしょうか。

「優しく言ってあげてください」

と思うでしょうか。

それとも、

「危ない!何やってるの!」

と思うでしょうか。

おそらく後者ではないでしょうか。

ここに、「怒ってはいけない」という言葉の落とし穴があるように思います。

「怒らない」ことが正解とは限らない

私は、

「怒ってはいけない」のではなく、「怒る必要がある場面もある」


と思っています。

特に、大きく分けると2つあります。

① 命に関わる危険などがあるとき


例えば、子どもが道路に飛び出そうとした。

そんなときに、

「○○くん、道路に出たら危ないですよ」

と優しく注意するだけで、本当に次から絶対に飛び出さなくなるでしょうか。

もちろん、それで理解できる子もいるでしょう。

でも、場合によっては、

「何やってるの!危ないでしょう!」

と、声を荒らげてでも止めなければいけないことがあります。

それくらい、「これは絶対にやってはいけないことだ」と強く伝える必要がある場面があるからです。

② 周りの人に迷惑をかけるとき


もう一つは、周りの人に大きな迷惑をかけるような場合です。

これは子どもだけではありません。

会社でも同じです。

例えば、

「その作業方法では、誰かが怪我をする可能性がある」

「その対応をすると、取引先に重大な迷惑をかける可能性がある」

「その行動を続けると、周囲の人に大きな負担がかかる」

そんな場合、上司が部下に対して強く注意することは、むしろ必要なことではないでしょうか。

だから私は、

「怒っちゃダメなの?」と聞かれたら、「怒らなければいけない場面もあります」と答えます。教育現場での子どもへの関わり方でいうと、「その子のお母さんが後ろに立っていることを想像する」と怒らなすぎず、怒りすぎも防げると思います。

ただし、ここで一つ大切なことがあります。

それが、

「怒る」と「叱る」は違う

ということです。

「怒る」と「叱る」は何が違うのか


私は、この2つの違いを、

「感情が入っているかどうか」


だと考えています。

「怒る」は、自分の感情を相手にぶつけること。

「叱る」は、相手に正しい行動をしてもらうために、必要な注意をすること。


つまり、

怒る=自分の感情が中心

叱る=相手の成長や正しい行動が中心


という違いです。

例えば、子どもがお風呂に入らずに遊んでいるとします。

「早くお風呂に入りなさい!」

と言っているのに、なかなか入りません。

この程度のことで、

「何回言ったら分かるの!」

「いい加減にしなさい!」

と毎回感情を爆発させる必要はないでしょう。

「もうお風呂の時間ですよ。遊びたい気持ちは分かるけど、そろそろ入りましょう」

と、冷静に注意すればいい。

これは「叱る」で十分だと思います。

一方で、道路に飛び出す。

人を傷つける。

命に関わる危険なことをする。

そういう場面では、強い口調で止める必要があることもあります。

スーパーで寝転がる子どもは?

では、こんな場面はどうでしょう。

スーパーで子どもがお菓子を買ってほしくて、

「買って!」

「嫌だ!」

と駄々をこね、床に寝転がってしまう。

これは怒るべきでしょうか。

それとも叱るべきでしょうか。

私は、基本的には「叱る」でいいと思います。

「買ってもらえないからといって、床に寝転がるのはやめようね」

と伝える。

もちろん、何度も繰り返して周囲に大きな迷惑をかけているのであれば、強く注意する必要があるかもしれません。

でも、少なくとも、

「言うことを聞かない=すぐ怒る」

ではありません。

ここを間違えないことが大切だと思います。

何でも同じように怒ると、子どもは「物事の重さ」が分からなくなる



親が何でもかんでも感情的に怒ってしまうと、子どもからすると、

「何をしても同じくらい怒られる」

という状態になります。

例えば、

「道路に飛び出す」

ことと、

「お風呂に入らない」

こと。

本来、この2つには大きな違いがあります。

道路に飛び出せば、命に関わるかもしれません。

一方で、お風呂に入るのが少し遅れたところで、命に関わるわけではありません。

ところが、

「何やってるの!」

「早くしなさい!」

「いい加減にしなさい!」

と、どちらも同じような強さで怒られたらどうでしょう。

子どもからすると、

「どっちも同じくらい悪いことなんだ」

となってしまいます。

だからこそ、親や先生、上司や先輩には、

「これは絶対にダメ」ということと、「できれば直してほしい」ということを区別して伝える力

が必要なのではないでしょうか。

「怒らない」ではなく「使い分ける」

今日のテーマ、

「怒っちゃダメなの?」

への私の答えは、

「いいえ。怒っていい場面もあります」

です。

大きく分けるなら、

① 命や身体に関わる危険があるとき

② 周りの人に大きな迷惑をかけるとき

です。

ただし、それ以外のすべての場面で怒っていいわけでもありません。

だからこそ、

「怒る」と「叱る」を使い分ける。

これが大切なのだと思います。

感情を込めて、強く伝えなければならない場面では、しっかり伝える。

そこまでではない場面では、感情をぶつけず、冷静に叱る。

そして、何より大切なのは、

「何がどれくらい大切なことなのか」を、相手に分かるように伝えること。

これは子どもの教育だけではありません。

学校でも。

家庭でも。

そして会社でも。

人を育てる立場にいる人には、とても大切なことなのではないでしょうか。

「怒ってはいけない」

ではなく、

「怒るべきときと、叱るべきときを見極める」

そんなことを、今日は考えてみました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

このnoteでは、私が教育の現場で18年以上、さまざまな方と関わる中で経験してきたことや、そこから得た学びを、自分なりの言葉で共有していきたいと思っています。

「こんなときはどうしたらいい?」

「これはどう考えればいい?」

など、気になることがあれば、ぜひコメントで教えてください。

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