ポエム。『ボクノウタ』
歩き続けて、
憧れに追いついた。
声を掛けた。
気持ちを伝えたくて。
笑顔をくれた。
握手をした。
次の日から横に並んで歩いた。
ここに居ても良いと思った。
ゆっくりだけど、歩く方向が変わっていった。
置いていかれまいと必死についていった。
ある日、誰かの呼びかけで足が止まった。
話しているうちに、
憧れの背中は遠くなっていった。
話していた誰かも、やがていなくなった。
一人になった。
また、一人に。
止まったまま、
ふと辺りを見回した。
すれ違うだけの人。
足取り軽く進む人。
大きな荷物を抱えている人。
手を繋いで歩く親子。
みんなそれぞれの道を生きていた。
止まっている僕の肩に、
後ろから来た人がぶつかった。
舌打ちされて、怖くなった。
逃げるように再び歩き出した。
歯がゆいまま、
怖いまま、
闇雲に歩く。
僕は、
誰かの誰かになりたかった。
でも、
誰かの誰かになれなかった。
僕のことは忘れられてしまう。
僕は、
忘れない。
あなたの背中を。
あなたの笑顔を。
僕は歩く。
行き先はわからないまま。
馬鹿にされても、
負けたままでも。
次の場所に、
誰がいても、
いなくても。
