93歳の母を引きとる14 怒ったら終わり
母は93歳。
血管障害、アルツハイマーの混合型認知症で、要介護2です。
久しぶりに市主催の「認知症家族教室」のことを書きます。
その日は「いろいろな制度につて知ろう」という講演でした。
訪問介護、通所介護、グループホーム、さまざまなサービスについて説明があったのですが、心に残ったのはそれじゃありません。
家族教室は介護している家族の交流も目的の一つで、後半の交流会ではみなさんさまざまな問題を話されます。
うちの父はこうで、困っている。
うちの母はこうで、もう嫌になる。
そんな中、夫が認知症という高齢の女性が言いました。
怒ったら終わり。
女性がそう言ったとたん、その「怒ったら終わり」のひとことが教室にスーッと広がったのです。
女性の言い方もあったのでしょう。女性の、高齢だがしっかりとしたたたずまいもあったでしょう。
ただ本当に不思議なことに、息を飲むぐらい説得力のある言葉でした。
内容はこうです。
冬の寒い夜、女性の夫さんが薄着で起きだしてテレビを見ていました。
女性は、「寒いから何か着て」と怒りました。
しかし、なかなかいうことを聞きません。
無理やり着せようとしました。
夫さんは怒ってしまいました。
また、上着を変な着方で着ていたこともあって、その時も女性は、「何やってるの」と怒りました。
そんなことが続いたある日、女性はまたも薄着でいる夫に優しくおどけた感じで「服を着た方がいい」と言いました。
「お大臣、服を着たらいかがかな」だったかな。
すると夫さんは、すっと言うことを聞きました。
女性は反省したそうです。
認知症の夫にも人格があるのだった。
そして言ったのです。
それは父や母に困っている娘さんに当てての言葉でした。
怒ったら終わりよ。
教室はしんとしました。
何人かが心で拍手をした感じでした。
私もその日はその言葉を大切に持ち帰ろうと思いました。
怒ったら終わり。
介護は怒ったら終わり。
お読みくださりありがとうございました。
