#39 めっちゃ元気やん私!
血流がちゃんともどって、下血無し貧血なしの生活がこんなに楽になるとは思わなかった。声を張って話しても、階段でも息が切れない。年初はこのまま右肩下がりにダメになっていくのかもと、少し悲観的になっていたのに。
めっちゃ元気やん!私!
抗がん剤後の2日間ほどを除いては自分でもびっくりするくらいに元気。
時折、私本当に癌?再発転移してるはずだよね?それとも、これまでのこと手術とか全部悪い夢だった?
とまあ、そこまで言うとそれはあまりにも現実逃避か・・・
家族には笑顔でこう言った。
「癌って診断されてから、これまでで1番調子いいかも〜」
「マジ、自分って死ぬ死ぬ詐欺やったんかと思うわ〜」
でも3月のT先生の最後の診察、現実はそんなに甘くなかったみたい。先生は転勤の前に現状とこれからの見通しを私に伝えたかったんだと思う。
「今後のことですが・・・
下血の後のカテーテル手術があったりで、抗がん剤投与の感覚が飛んでしまったせいかもしれませんが、腫瘍マーカーも少し上昇気味ですし、どこかのタイミングで抗がん剤を変更することになっていくと思います。」
と言われた。つまり今の薬は効きにくくなっているという事。近い将来、次に使うかも知れない薬の説明を簡単に受けた。
「癌の遺伝子検査も早い目に受けておいた方がいいんじゃないかと思います。」
とも言われた。
これまでのお礼を伝え、次回からは新しく赴任してくる先生が主治医になると言われた。
あっけなく、T先生との9ヶ月が終わった。主治医と患者ってそんなものだ。再発疑いで外科の先生から「もう、外科の僕では診れません」って言われた時は号泣だったけど、今回はお別れも淡々としていた。
元気に毎日を謳歌しながら過ごした。新しい主治医の先生の診察日、ドキドキしているとそこには我が息子より少し年上の実直で優しそうな小柄な男性の先生が座っていた。これからお世話になるY先生だ。よかった。話易い感じだ。挨拶をした後、採血結果は問題ないので抗がん剤をこのまま今日受けてもらいます。と言われた。なんだか、この病院のシステムに慣れていない感じが見て取れた。医者として経験を積んでても、きっと職場を変わるのってドキドキしてて気の毒とか余計なお世話なことを考えた。
前回T先生に遺伝子検査を受けた方が良いと言われたことが気になっていたので質問してみる。すると新しく赴任した先生の補助の為なのか後ろに黒子のように居てパソコンと睨めっこしていた別の先生が口を開く。
「大変でしたね〜。出血されている時、僕も内視鏡の止血処置とか全部たちあっていましたよ。元気になってよかった。」
そうだったんだ。あの時はぐったりしてるわ、麻酔かかってるわで、一体どんだけの医療従事者にお世話になっているかなんてわからない。
「そうだったんですね。その節はお世話になってありがとうございました。」
お礼を言う。
その後その先生の説明が続く。気管支鏡で取った肺のは遺伝子の量が少なく不十分なので、膵頭十二指腸切除術の際に取った検体は十分ありそうなのでそれを遺伝子検査に出すことになった。
癌の遺伝子変異の型がわかると確率は3〜5%だけどピンポイントで効く薬が見つかる。また昨今ニュースなどで「膵癌に明るい未来」の見出しで伝えられている治験などにうまくハマるかも知れない。将来が明るいものになるかも知れない事と、新しい主治医に対しての安堵感で、この日は治療後、家に帰る足取りがいつもより心持ち軽かった気がする。
ーーー#40につづくーーー
