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[341文字]人間のざらつき

最近の銀行は、つるんとしている。

人がいない。
紙もない。
朱肉も、ボールペンもない。
音さえ、どこか消されている。

カウンターの向こうで、行員が微笑んでいる。
けれど私は、思う。
この人は本当に人間なのだろうか。精巧なホログラムが、私の用件を処理しているだけではないのか、と。

たしかに便利だ。
待たされない。
無駄もない。
経費も減る。
時代は、そういう方向へ進んでいるのだろう。

それでも、昔の銀行には、もう少し「生」があった気がする。

紙をめくる音。
印鑑を押す音。
朱肉の匂い。
少し不器用な会話。
人が人に向かって、頭を下げる姿。

そういうものが、いつの間にか消えてしまった。

つるんとした床も、つるんとした窓口も、つるんとしたサービスも、すべてが清潔で正しい。

ただ、その正しさの中には、人間のざらつきがない。

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