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次がある。その安心が、今日を雑にする。

こんにちは、長期投資家@VOOです。

「まあ、次があるからいいか。」

仕事で失敗したとき。

勉強をサボったとき。

家族との時間を後回しにしたとき。

そして、投資でも。

私たちは意外と、この言葉に助けられています。

次がある。

明日がある。

またチャンスは来る。

これは、とても優しい考え方です。

一度の失敗ですべてが終わるわけではありません。

私自身、何度この言葉に救われてきたか分かりません。

でも最近、少し違うことも思います。

「次がある」という安心が、今日を雑にしてしまうこともある。

そんなことを考えていたとき、吉田兼好の言葉に出会いました。

二つの矢を持つことなかれ。
後の矢を頼みて初の矢になおざりの心あり。

吉田兼好

700年近く前の言葉なのに。

これ、人間はあまり変わっていないんだなと思いました(笑)

二本目の矢が、一本目を狂わせる

この言葉は『徒然草』に出てきます。

弓を習う人が、二本の矢を持って的に向かおうとした。

すると師匠は、

「二本の矢を持つな」

と言います。

二本持っていれば、

「一本目を外しても、もう一本ある」

という気持ちが生まれる。

本人はそんなつもりがなくても、心のどこかで逃げ道を作ってしまう。

だから一本だけ持て。

そんな話です。

面白いですよね。

問題なのは、二本目の矢そのものではありません。

「まだ次がある」と思ってしまう、人間の心です。

これは仕事でも、人生でも、よくあります。

「明日やればいい」

「来月から頑張ろう」

「もう少し落ち着いてから始めよう」

私もあります。

というか、普通にあります(笑)

頭では「今日やったほうがいい」と分かっている。

それでも人間は、未来の自分に仕事を任せるのが本当に上手です。

未来の私は、ずいぶん働き者らしい(笑)

でも、その未来の自分も、

その日になれば同じことを考えているんですよね。

投資にも「二本目の矢」がある

投資をしていると、この心理はさらに分かりやすくなります。

「もっと下がったら買おう」

「次の暴落で買おう」

「もう少し円高になってから」

「来年から積立額を増やそう」

そう考えているうちに、株価が上がってしまう。

そして今度は、

「あのとき買っておけばよかった」

となる。

私自身、何度も経験しています。

暴落が来れば、

「もっと下がるかもしれない」

と思う。

上がり始めれば、

「また下がるかもしれない」

と思う。

結局、二本目の矢どころか、

三本目、四本目、五本目まで待ってしまう(笑)

相場は、人間のこういう心理を本当にうまく突いてきます。

だから私は、長期投資における積立には大きな意味があると思っています。

積立は、

「未来の完璧な一日」を待つ投資ではありません。

今日という一日に、一本の矢を射る。

来月になったら、また一本射る。

高くても。

安くても。

不安でも。

楽観的でも。

淡々と射ち続ける。

振り返ってみれば、それが資産形成という長い時間を作っていきます。

複利とは、お金が増える仕組みであると同時に、

「今日を雑にしなかった人」に時間が味方する仕組み

なのかもしれません。

でも、ここで少し矛盾する

ただ、この話を書きながら、

「ちょっと待てよ」

とも思いました。

投資では、二本目の矢を持っていたほうがいい場面もあります。

余剰資金。

生活防衛資金。

暴落時に買える現金。

リスクを取りすぎないポートフォリオ。

「一本しかない。全部いけ!」

では、長期投資ではなくなってしまいます。

人生だって同じです。

一度の試験。

一度の仕事。

一度の投資。

そこに人生のすべてを賭ける必要はありません。

逃げ道が人を救うことだってあります。

では、兼好の言葉と矛盾するのか。

私は、そうではないと思っています。

ここで大切なのは、

矢の本数ではなく、心の置き場所なのではないか。

資金には、二本目の矢を残しておく。

でも、

心は、今の一本に集中する。

この違いは大きいと思います。

「また今度」が増えた社会

今の社会は、ある意味で「二本目の矢」だらけです。

見逃した番組は配信で見られる。

欲しいものは明日届く。

分からないことはAIに聞けばいい。

連絡も、あとから返せる。

便利になりました。

本当にありがたいことです。

でも便利になればなるほど、

「今じゃなくてもいい」

も増えていきます。

これは少し怖いことでもあります。

仕事もそうです。

AIがあるから後でまとめればいい。

検索すればいつでも調べられる。

データは残っているから覚えなくてもいい。

それ自体は悪くありません。

むしろ、どんどん使えばいいと思っています。

私も使っています(笑)

ただ、道具が便利になるほど、

「今、自分の頭で考える」という一本目の矢まで雑にしてはいけない。

これは意識しておきたいと思っています。

投資も同じです。

情報はいくらでも手に入ります。

チャートもニュースも企業分析も、昔とは比較にならないほど簡単に見られる。

それでも最後に、

「私はどうするのか」

を決めるのは自分です。

便利な時代だからこそ、

一本の矢に向き合う力は、むしろ価値が上がっているのかもしれません。

人生には、何本の矢が残っているのか

ここまで書いていて、少し考えてしまいました。

投資なら、次があります。

来月も積立できます。

暴落も、おそらくまた来ます。

市場は明日も開きます。

でも人生には、

本当に「次」があるのか分からないものもあります。

子どもと過ごす時間。

親と話す時間。

元気なうちに行ける旅行。

友人との食事。

何気ない家族との休日。

その瞬間には気づかないけれど、

あとから振り返れば、

「あれが最後だったんだ」

ということもあります。

だからといって、

毎日を「今日が人生最後の日だ!」なんて気合いを入れて生きるのも、私はちょっと疲れます(笑)

たぶん、そんなに立派には生きられません。

ただ、

「次があるから」

という理由だけで、今日を雑にしない。

それくらいなら、私にもできる気がします。

今日の一本を、ちゃんと射る

長期投資というと、

10年後。

20年後。

老後。

そんな遠い未来を考えるものだと思われがちです。

でも実際に長期を作っているのは、

今日という短い時間の積み重ねです。

今日積み立てる。

今日仕事をする。

今日家族と話す。

今日少しだけ学ぶ。

その一本一本は、小さなものです。

的を外す日だってあります。

私も外しまくっています(笑)

それでもいい。

大切なのは、

「次があるから、今日は適当でいい」

にしないこと。

資金には余力を残す。

人生にも逃げ道を残す。

失敗したら、またやり直せばいい。

でも、

今日の一本は、今日しか射てない。

相場も人生も、構造は同じなのかもしれません。

未来を信じることと、

今日を大切にすることは、

きっと矛盾しない。

むしろ長期で生きるからこそ、

目の前の一本を丁寧に射つ。

そんな毎日が、

気づいたときには大きな複利になっているのだと思います。

私もこの記事を書きながら、自分自身に言っています。

「まあ、明日やればいいか」

……たぶん今日も言います(笑)

でも、その回数を一つ減らせたら。

それだけでも、十分なのかもしれません。

次がある。

それは希望です。

でも、

今日もある。

そのことも、忘れずにいたいですね。


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