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コールドコールから合意と信頼へ。

■ベトナム政府は迷惑電話を厳罰化。
・最近のニュース、「ベトナムが迷惑電話を厳罰化、広告電話は時間制限で、違反者には最大約61万円の罰金も」。
・ベトナム政府は「サイバーセキュリティーと個人データ保護分野の行政処分を定めた政令第330を施行し、広告電話や迷惑メッセージへの規制を強化した」。
・8月19日に発効した同政令では「広告電話は原則として毎日8時から17時まで、広告メッセージは7時から22時までに限って送信できると定め、違反した場合は個人に約18万~31万円、法人には最大約61万円の罰金を科す」。
・同政令では「利用者との別段の合意がない限り、同じ電話番号への広告電話は24時間以内に1回まで、広告メッセージと広告メールはそれぞれ24時間以内に3件までに制限される。時間外の発信や送信、あるいは回数制限を超える行為は処分の対象となる」。

■警告やサービス停止などの義務付け。
・また「広告受信を拒否した利用者を登録した『広告拒否リスト』に対して広告電話や広告メッセージを送った場合は、個人に約49万~55万円、法人に約98万~110万円の罰金を科す」。
・違反者には「識別名の使用停止(1~3ヶ月)や違反に使用した電話番号の回収といった追加措置が適用される場合もある。通信事業者に対する責任も強化された」。VoIPやSIP Trunkサービスを提供する事業者は「有効な発信者識別名が付与されていない公衆通信網向けの発信を自動的に遮断する仕組みを導入・維持し、不審な通信量を監視して迷惑電話や詐欺、なりすましの疑いがある利用者に対し、警告やサービス停止などの対応を取ることが義務付けられた」。
・これらの技術的義務に違反した場合は「約31万~43万円の罰金に加え、SIP TrunkやVoIPサービスの提供停止(1~3ヶ月)が科される。さらに、事業者には利用者が迷惑電話や迷惑メッセージを通報し、自ら受信を遮断できるツールやアプリを提供する義務がある」。提供しなかった場合は「12万~18万円の罰金が科されるほか、広告受信への同意や拒否に関する記録を照会・保存できる仕組みを整備し、監査や苦情処理に対応できるようにすることも求められる」。

■厳罰化に至った背景。
・余談、私自身ベトナムビギナーだった頃から現在に至るまで、自動音声によるスパムコールや営業マンからの直接の勧誘、ベトナム語で埋め尽くされた迷惑SMSを幾度となく受け取ってきた。日常的に強い煩わしさを抱いたこの感覚は、かなり前から社会問題化していたにもかかわらず、なぜ「今」ようやくここまでの厳罰化に至ったのだろうか。
・背景を紐解くと、従来の規制(2020年施行の政令第91号/2020/NĐ-CP)では罰金上限が数千万ドン程度と低く、通信事業者側への自動遮断義務も不十分だったため、抑止力として機能しきれていなかった実態がある。さらに近年、個人情報の違法売買やSIMボックスを用いたフィッシング詐欺が急増したことを受け、ベトナム政府は2023年の個人情報保護政令(政令13号)に続き、今回「サイバーセキュリティ・個人データ保護の行政処分に関する政令第330号」を施行するに至った。
・つまり、単なる「迷惑電話の規制」にとどまらず、国のデジタル経済を守るための「総合的なサイバー犯罪・個人情報保護の厳罰化枠組み」として、ようやく実効性のある法制度が整ったのだと言える。いずれにしても、一時期に比べて迷惑系の連絡は体感としてだいぶ減ったが、今回の最大約110万円(拒否リスト違反時)に及ぶ高額罰金やSIP Trunk提供停止といった強力な処分が盛り込まれたことで、今後はより一層減少していくと確信している。
・一方で、営業をする側からしてみれば、従来の無差別なコールドコール(冷たい電話≒新規の飛び込み電話営業)やランダムなSMS送信という消費者へのアプローチ手法が完全に制限されたことになる。では、今後どのような手法を使い、消費者にアプローチして来るのだろうか。考えられる変化として、第一に「明確な事前同意(オプトイン)」の取得が前提となる点だ。今後は無差別なアウトバウンド営業が崩壊し、Zaloの公式認証アカウント(Zalo OA)や自社SNS広告を通じたインバウンド型のリード獲得へのシフトが急速に進むだろう。第二には、信頼性を担保するための「登録済み発信者識別名(Brandname)」の利用や、顧客からいつ同意を得たかを管理・証明するデータガバナンスツールの導入が必須となるだろう。
・そういう意味では、ベトナムの営業手法は今まさに大きな岐路に立たされており、従来の泥臭いアウトバウンド手法から、合意と信頼をベースにした高度なデジタルマーケティングへと進化していく入口に立ったようにも感じているーーーいずれにしても、この厳しい規制とそれに伴う市場のダイナミックな適応を見つめながら、ベトナムという国の進化と未来を引き続きウォッチしていきたい。

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