海と三日月 《詩》

「海と三日月」
月、月だよ
君は車のフロントガラス越しに
空を指差した
まだ薄明るい空に三日月があった
窓から見える街は曇っていて
空気は湿って重く今にも
雨が降り出しそうな
気配をしていた
三日月の周りだけ妙に
明るく輝いて見えた
もう直ぐ海が見えてくるはず
彼女が海が見たいと言ったから
夕暮迫る道を走り続けた
知っているよ
本当は何処までも
走ってくれたらいいのに
そう君が思ってる事くらい
このままずっと走ると
きっと必ず海に出る
海の見える場所が僕等の
行き止まりの場所なんだ
後はもう先には行けない
僕等はもう何処にも
行けない事を知っている
逃げ場を失くした世界の終わり
潮の香り 波の音
海と共に 風と共に
三日月と共に 君と共に

