「霧」の本なのに、目次に「霧」がほとんどなかった。
少し前のnoteで、一冊の中心が見えるまでのことを書いた。
最初は、
何を本にしたらいいんだろう。
そこから始まった。
出版をサポートしていただいている方に、これまでのことをいろいろ聞いてもらう中で、「あの頃の自分が読みたかった本」という視点をもらった。
そこから少しずつ、一冊の中心が見えてきた。その中で出てきたのが、「霧」という言葉だった。
テーマが決まり、仮タイトルも決まった。
ここまで来たとき、僕は少し安心していた。
なら、あとは目次をつくって、書いていけばいい。
たぶん、そんなふうに思っていた。
でも、実際はそこからが長かった。
*
最初の目次案は、自分なりにかなり綿密に考えた。
これまで書いてきたことを見返して、何を入れるのかを考える。順番を変えてみる。似ているものをまとめる。
これは前半か、後半か。
これは必要か。
かなり整理したつもりだった。
自分では、それなりに一冊の形になってきたとも思っていた。
その目次案を見てもらうと、いくつか指摘をもらった。
本のタイトルで読者に約束したことに、本文でちゃんと答えていく。
そして、目次に並ぶ一つひとつの見出しも、ただ内容を示すための名前ではなく、そこを読みたくなる言葉にすること。
そんなことを、そのときに教わった。
言われてみれば、当たり前のことなのかもしれない。でも、自分で一冊をつくる側になってみると、僕はそこまで見えていなかった。
そして、もうひとつ指摘されたことがあった。
「霧」だった。
仮タイトルには、すでに「霧」という言葉が入っていた。
僕の中では、当たり前のように「霧」について書いているつもりだった。
ところが、あらためて目次を見ると、
霧の本のはずなのに、目次にはなぜか「霧」がほとんどいない。
……
たしかに。
自分では中身が分かっているから、全部つながって見えていた。
でも、目次だけをパラパラと見る人には、それが分からない。
仮タイトルには「霧」がある。
なのに、目次を見ても、本当に「霧」について書かれている本なのかが、よく分からない。
かなり綿密につくったつもりだっただけに、
あれ。
という感じだった。
*
そこから、最初の目次案をほぼ全面的に作り直すことになった。
ただ、これがなかなか決まらなかった。
一つ直すと、別のところが気になる。順番を変える。見出しを直す。また全体を見る。
これならいけそうだと思っても、少し時間を置いて見ると、やっぱり何か違う。
目次が固まるまで、本当に時間がかかった。
そのうち、
もしかすると、そもそも仮タイトルの方が合っていないんじゃないか。
そんなことまで考え始めた。
一冊の中心を決めて、そこへ向かって目次を直しているはずなのに、進んでいるのか、後退しているのか、自分でもよく分からなくなってくる。
その頃、
「まさに今、僕自身が霧の中にいますね」
と、半分冗談で言ったりしていた。
霧についての本をつくりながら、自分が霧の中にいる。
なんとも妙な話だった。
*
それでも、何度も見てもらい、話しながら、少しずつ目次を組み直していった。
自分ひとりだったら、どこかで「これでいいか」と進めていたかもしれない。
見てもらうたび、自分では気づかなかったところが、またひとつ見えてくる。
そうして行ったり来たりしながら、ようやく目次が固まった。
目次ができた頃には、頭の中に一冊の流れがかなり鮮明に見えていた。
ここで何を書いて、その次に何を書いて、最後にどこへ向かうのか。
あとは、それを文章にしていくような感覚だった。
だから、本文はかなり早く書き進めることができた。
それまで頭の中に溜まっていたものが、一気に流れ出したような感じだった。
*
テーマが決まっても、目次はなかなか決まらなかった。
ずいぶん時間もかかった。
でも今振り返ると、あの時間も、本を書いていた時間だったのだと思う。
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ブランディングディレクター|事業構造パートナー
松本カヅキ

