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「霧」の本なのに、目次に「霧」がほとんどなかった。


少し前のnoteで、一冊の中心が見えるまでのことを書いた。

最初は、

何を本にしたらいいんだろう。

そこから始まった。

出版をサポートしていただいている方に、これまでのことをいろいろ聞いてもらう中で、「あの頃の自分が読みたかった本」という視点をもらった。

そこから少しずつ、一冊の中心が見えてきた。その中で出てきたのが、「霧」という言葉だった。

テーマが決まり、仮タイトルも決まった。

ここまで来たとき、僕は少し安心していた。

なら、あとは目次をつくって、書いていけばいい。

たぶん、そんなふうに思っていた。

でも、実際はそこからが長かった。

最初の目次案は、自分なりにかなり綿密に考えた。

これまで書いてきたことを見返して、何を入れるのかを考える。順番を変えてみる。似ているものをまとめる。

これは前半か、後半か。

これは必要か。

かなり整理したつもりだった。

自分では、それなりに一冊の形になってきたとも思っていた。

その目次案を見てもらうと、いくつか指摘をもらった。

本のタイトルで読者に約束したことに、本文でちゃんと答えていく。

そして、目次に並ぶ一つひとつの見出しも、ただ内容を示すための名前ではなく、そこを読みたくなる言葉にすること。

そんなことを、そのときに教わった。

言われてみれば、当たり前のことなのかもしれない。でも、自分で一冊をつくる側になってみると、僕はそこまで見えていなかった。

そして、もうひとつ指摘されたことがあった。

「霧」だった。

仮タイトルには、すでに「霧」という言葉が入っていた。

僕の中では、当たり前のように「霧」について書いているつもりだった。

ところが、あらためて目次を見ると、

霧の本のはずなのに、目次にはなぜか「霧」がほとんどいない。

……

たしかに。

自分では中身が分かっているから、全部つながって見えていた。

でも、目次だけをパラパラと見る人には、それが分からない。

仮タイトルには「霧」がある。

なのに、目次を見ても、本当に「霧」について書かれている本なのかが、よく分からない。

かなり綿密につくったつもりだっただけに、

あれ。

という感じだった。

そこから、最初の目次案をほぼ全面的に作り直すことになった。

ただ、これがなかなか決まらなかった。

一つ直すと、別のところが気になる。順番を変える。見出しを直す。また全体を見る。

これならいけそうだと思っても、少し時間を置いて見ると、やっぱり何か違う。

目次が固まるまで、本当に時間がかかった。

そのうち、

もしかすると、そもそも仮タイトルの方が合っていないんじゃないか。

そんなことまで考え始めた。

一冊の中心を決めて、そこへ向かって目次を直しているはずなのに、進んでいるのか、後退しているのか、自分でもよく分からなくなってくる。

その頃、

「まさに今、僕自身が霧の中にいますね」

と、半分冗談で言ったりしていた。

霧についての本をつくりながら、自分が霧の中にいる。

なんとも妙な話だった。

それでも、何度も見てもらい、話しながら、少しずつ目次を組み直していった。

自分ひとりだったら、どこかで「これでいいか」と進めていたかもしれない。

見てもらうたび、自分では気づかなかったところが、またひとつ見えてくる。

そうして行ったり来たりしながら、ようやく目次が固まった。

目次ができた頃には、頭の中に一冊の流れがかなり鮮明に見えていた。

ここで何を書いて、その次に何を書いて、最後にどこへ向かうのか。

あとは、それを文章にしていくような感覚だった。

だから、本文はかなり早く書き進めることができた。

それまで頭の中に溜まっていたものが、一気に流れ出したような感じだった。

テーマが決まっても、目次はなかなか決まらなかった。

ずいぶん時間もかかった。

でも今振り返ると、あの時間も、本を書いていた時間だったのだと思う。


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ブランディングディレクター|事業構造パートナー
松本カヅキ




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