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ロコモコとタコライスとボサノバ。90年代のカフェ

昨日のカツ丼から、90年代カフェへ

昨日のnoteで、カツ丼から、天丼と親子丼への愛を綴りました。

今日は、マイキーさんが企画されている#エッセイしりとりに加わって、「ろ」から始まる「ロコモコ」のエッセイを書きます。私らしく、女子会論にもちょっとふれちゃったりして。

和風が好きな私は、ずっと丼を愛してきたようですが、一時期のカフェブームで、異国情緒あふれるワンプレートやボウルばかり食べて、丼物から遠ざかっていた時期があることを思い出しました。

90年代後半のカフェブーム。
女子は猫も杓子もカフェ。夜お茶が流行った時代です。
私は大学を卒業して、社会人になった頃。

大学生の頃からカフェはあって、キーマカレー、グリーンカレー、ガパオライスなんかをワンプレートで出すお店でランチをすることはありました。
90年代に沸いていたエスニックブームと呼応するメニューが多くて、キーマもガパオもグリーンカレーも、カフェで知りました。女子大生の私は、カフェを入り口にエスニック料理を知ったのかもしれません。

タイを旅行して本場を食べたら、日本のカフェってずいぶん日本風にアレンジしてるのねってことがわかりました。ガパオライスってしっかり辛いし、グリーンカレーもパンチが違う。
でも、悪くない。
ランチに本格的に辛いエスニックはtoo muchだもの。カフェは東京にぴったりにしてるのね。

社会人になった90年代後半から、宇田川町系のカフェから、神泉、渋谷、表参道へとさらにおしゃれなカフェが広がっていきます。

90年代後半、カフェにイノベーションが起こった

渋谷の宇田川町などを中心に、DJブースや輸入ソファを備えたカフェが生まれたのが90年代後半、しい。渋谷系音楽や裏原宿ファッション、デザイン雑誌など、ミレニアムのイケてる若者文化の発信地だった記憶です。
90年代のカフェブームは、それまでの静かにコーヒーを飲む喫茶店から、音楽・デザイン・食文化を楽しむ空間へとカフェの概念が大きく変わった時代でした。

居心地にイノベーションが起こります。
懐かしいようで新しいミッドセンチュリー家具や、ヴィンテージが置かれた空間で「長居すること」自体がスタイルとなりました。

「カフェ飯」が誕生したのもこの頃でしょうか。
ワンプレートやボウルに盛られた無国籍なメニューが並びます。ロコモコやタコライス、ちょっと前から親しまれていたガパオライスなど。それらがおしゃれに盛り付けられているのがカフェ。
そして、ラテ系メニューが、コーヒーだけでなく抹茶やほうじ茶で再現されていたり。

90年代後半からミレニアムのカフェは、おしゃれでした。

カフェは、マシンガントークをする場所ではなかった

カフェはゆったり、まったりくつろぐところ。
マシンガントークをする場所でも、昔懐かしい思い出をぴーちくぱーちく語る場所でもありません。悪口は軽めに。
コンクリート打ちっぱなしの壁、ボサノバ、背もたれまでやや遠いソファでは、低めのテンションでおしゃれなことを話す場所でした。

映画の話とか、代官山で買ったヴィンテージのバッグの話をするところ。あんまり知らないけど、カヒミ・カリイやカーディガンズについて語る場所。
ミラノからバスでPRADAやGUCCIのアウトレットに行って爆買いした話とか、仕事のおじさんの愚痴は話題にしない(存在しないことにしている)。それは居酒屋とか、わいわいしたダイニングでしゃべるべき話題です。もしくは、カツ丼をかき込みながら話せばいいのです。

渋谷のシネマライズで「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」を観たあとに、キューバ音楽っていいよねなんてしたり顔で話しながら、カフェに流れるラテンやラウンジ・ミュージックに浸ったり、
ソフィア・コッポラの「ヴァージン・スーサイズ」を観て、淡くドリーミーな映像美とファッションの世界観に感化されて、白いドレスを買おう、どこがいい?やっぱヴィンテージかな?なんて話したりしました。

おしゃれに守られたロコモコとタコライス

そんなときには、おしゃれに“守られた”ロコモコや、タコライスを食べて。
どのプレートにも、とりあえずアボカドが乗っていて、トマトの赤と対をなす。サラダには紫玉ねぎとフリルレタス。

まだ写るんですの時代だったから、ロコモコもタコライスも写真を撮っていなかったけれど、映えていました。カフェで出会ったメニューは、おしゃれメニューとして記憶されました。

ハワイに行ったときに食べたかったものは、ローカルのロコモコ。ロコガールはどんなロコモコを食べてるのかしら。

ワイキキから、ローカルバスを乗り継いでカイルアビーチに行った日に、ロコばかりのレストランで、ロコモコを注文しました。

え。
ご飯の上にドカンとハンバーグと目玉焼きが載ってグレービーソースがかかってる。
デカいんですけど!
ロコモコって、カフェ飯じゃなくて、がっつり系だったの?アボカドもトマトものってないの?
東京のカフェで食べるロコモコとは、見た目も味は違うし、味も肉肉しい。たまげました。
食べすぎるとお腹が出ちゃう。でも残すのは、よくないよ。
全部食べたら、ビキニのお腹がぽんぽこりんになりました。

沖縄で食べたタコライス。
これもまた、ドカンとした佇まい。レタスもトマトもタコミートも溢れてる。豪快飯とでも言いましょうか。カフェのタコライスとは、味は似てるけど、見た目は完全に違う。ぽんぽこりんになりました。

おしゃれカフェで、おしゃれソファに座り、おしゃれボサノバとともにいただいていたカフェ飯とローカル飯は、だいぶ違うことが分かりました。

どっちも好き♡

本家にはリスペクトっていうか、ふだんの私はローカル飯寄り。
ローカル飯を90年代の東京の雰囲気で翻訳したカフェ飯もいい。あの瞬間は、カルチャーであり、私の中の歴史です。

あれは、私の青春の一つだった

カフェに寄せたおしゃれをして、慣れた風にボサノバを聴き、したり顔で単館映画の作品を語る。あれは、私の青春の一つでした。
丼ものでは味わえない時間が、そこにはあったのです。

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さて、#エッセイしりとり
カナダにお住まいのヴィオラさんから、渡されたバトンは「ろ」。
あれ、難しいじゃん?「ろ」から始まる日本語?笑

バトンをお渡しする相手は、椎名へろんさんです。
うっかり電車では読めないエッセイの書き手。すごく浅いことも、やけに深いことも自らの筆で書かれている。AIには書けない“間”があるエッセイには、余韻があります。

椎名へろんさま、
この記事のタイトルは『ロコモコとタコライスとボサノバ。90年代カフェ』なので、「フェ」「エ」「ぇ」で始まるタイトルの記事を一本、お願いします。
バトン、お渡ししました。

よろしくお願いします♡

#エッセイしりとり


⭐︎ヴィオラさんが、出版した本です。翻訳のプロが見る現場とその裏側、プロとしての矜持が除けます。



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