水が燃えるとき 【詩/生態詩】
一晩中
川が流れていた
一晩中
水に溺れていた
毛布をかぶり
眼をつむり
水そのものになって
ほつれていく
手 足 首
やわらかな川藻が
からまっていく
一晩中
闇の奥で
鳴動する水音
×
朝になって
川を見に行く
空気は冷たいのに
喉が渇いた
硫黄がにおいたった
水に入っていくと
水はたくさんあるのに
触れることができない
水はとても冷たいのに
乾ききった骨
乾ききった眼
黄色い泡のなかで
溺れている
水に触れることができない
飲もうとすると
黄色くなって
燃えひろがる
× ×
横たわったまま
髪の毛をかき上げると
真っ白な紐が手指に絡みついた
線虫が首筋を這い
川藻を舐めていた
黄色く濁った液体が
激しく流れ落ち
岩のあいだで白くなる
渦をつくっている
衣をほどくと
紐がとけていった
水にからだを浸すと
焦げ臭いにおい
流れる水のなかで
式部の胸びれが
ほどけていく
やわらかな川藻が
いちめんに燃えひろがる
※ ヘッダー画像 by うちゅ。
