「それ、スマホでよくない?」と言われたときに、私たちが心の中で小さく叫んでいること
正直に言います。
「それスマホでよくない?」と言われたら、
私は結構な確率で「そうですね」と答えます。
なぜなら本当にそうだからです。
今のスマホって本当にすごい。
普通に綺麗に撮れるし、夜景も撮れるし、
SNSに投稿するだけなら十分すぎるぐらいの
画質があります。
だから言っていることは間違っていません。
むしろ正論です。
でも、その言葉を聞いた時に、なんとなく
「あー、なんか違うんだよな」と思う自分もいるんです。
スマホがダメとかそういう話じゃありません。
たぶん、見ているところが違うんです。

例えば釣りをしている人に、
「魚ならスーパーで買えばよくない?」
と言ったら、きっと
「いや、そういうことじゃないんだよ」
となると思います。
キャンプをしている人に、
「ホテルの方が快適じゃん」
と言うのもそう。
ロードバイクに乗っている人に、
「車の方が速いよね」
と言うのもそう。
全部正しいんです。
全部正論。
でも趣味って、正論だけでは説明できないんですよね。

私が普段使っているミラーレスのGFX100IIやX-H2だって、スマホと比べたら十分不便です。
まず重い。荷物になる。
わざわざカメラバッグを持っていくこともある。
スマホならポケットから出してすぐ撮れるのに、カメラは首から下げたり、設定を確認したり、レンズを交換したりすることもあります。
冷静に考えたら、便利さだけなら
スマホの方が圧倒的です。
それでも私たちはカメラを持ち歩く。
そして、その極端な例がフィルムカメラなんだと思います。

Nikon F3だったり、CONTAX S2だったり。
普通に考えて、めちゃくちゃ不便です。
写真はフィルム1本で36枚しか撮れない。
撮った写真はその場で確認できない。
現像しないと結果も分からない。
しかもお金もかかる。
今の時代から考えたら、どう考えても非効率です。
スマホだったら何百枚でも撮れます。
失敗しても消せます。
その場で確認もできます。
便利さだけで考えたら勝負になりません。
でも不思議なんです。
フィルムカメラを持っていると楽しい。
むしろその不便さが楽しい。
36枚しか撮れないから考える。
この景色は本当に撮りたいのか。
ここでシャッターを切るべきなのか。
そうやって一枚一枚向き合う時間が面白い。
現像が上がってくるまでの時間もそうです。
今の時代なら撮った瞬間に結果が見れるのに、
わざわざ数日待つ。
でも待っている時間まで含めて楽しいんですよね。
だからたぶん、私たちは写真だけが
欲しいわけじゃないんです。
写真という結果だけならスマホで十分。
でもカメラが好きな人って、
その結果に辿り着くまでの時間も含めて
好きなんだと思います。

私は昔、もっと機材のスペックばかり見ていました。
画素数がどうとか。
AFがどうとか。
高感度性能がどうとか。
もちろん今でも気になります。
でも16年続けてきて思うのは、
結局そこだけじゃなかった。
カメラって、ただ写真を作る道具ではないんですよね。
持ち出したくなるか。
触りたくなるか。
撮りに行きたくなるか。
そっちの方が大事だったりする。
実際、最近はフィルムカメラを持って山中湖へ
行ったり、朝早く起きて撮りに行ったりしています。
もし効率だけを考えるなら、
スマホでも十分かもしれない。
でも、そうじゃない。
そのカメラを持って行きたいんです。
そのカメラで撮りたいんです。
だから最近思います。
「それスマホでよくない?」
という言葉に対して、
私たちが心の中で小さく叫んでいることは、
「スマホで撮れるかどうかの話じゃないんだよ」と
いうことなんだと思います。

たぶん私たちは、
写真だけを趣味にしているわけじゃない。
カメラを持って出かけること。
光を探すこと。
シャッターを切ること。
現像を待つこと。
写真を見返すこと。
その全部を含めて楽しんでいる。
だからスマホで十分な時代になっても、
カメラはなくならないんだと思います。
そしてたぶん、これからも誰かに
「それスマホでよくない?」
と言われたら、
私はきっと笑いながら「そうなんですけどね」と
答えると思います。
でも心の中では、やっぱりこう思っているはずです。
いや、そういうことじゃないんだよなと。

