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yueise
短編小説 消しゴム人生
僕は今日も、消しゴムを使った。
ノートに書いた文字を、何度も何度もこすっていく。
書いた文字が、少しずつ薄くなっていく。
「消えた」
僕は小さく呟いた。
消しゴムってすごい。
間違えても、なかったことにできる。
でも、人生には消しゴムがない。
あのとき言ってしまった言葉も。
誰かを傷つけてしまったことも。
後悔したことも。
いくら思い返しても、完全には消えてくれない。
だから僕は、ずっと過去を消そうとしていた。
「あのとき、違うことを言っていれば」
「もっと頑張っていれば」
「やり直せたらいいのに」
そんなことばかり考えていた。
ある日、使い古した消しゴムを見つめていた。
角は丸くなり、黒い跡がたくさんついている。
それでも、まだ文字を消すことができた。
傷ついたから終わりじゃない。
失敗したから終わりじゃない。
過去を消すことはできなくても、
これから書く文字は、自分で選べる。
消しゴムは、過去を消すためだけにあるんじゃない。
次の一文字を書くために、余白を作ってくれる。
僕は新しいページを開いた。
そして、ゆっくりとペンを握った。
過去は消えない。それでもこれからの人生まで、過去に決めさせなくていい。
僕は今日も、新しい一文字を書いていく。
ご覧いただきありがとうございます!
