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短編小説 心のリサイクル

「ふぅ、飲みきった」
空になったペットボトルを手に取る。
ぐしゃぐしゃ。
両手で握り潰すと、ペットボトルは簡単に形を変えた。
「ただのゴミだよな」
そう思って、ゴミ箱に入れようとした。
そのとき、ふと目に入った。
「リサイクル?」
ラベルに書かれた文字を眺める。
捨てられたペットボトルは、もう一度生まれ変わって形を変えて、また誰かの生活の中で使われる。
「へぇ」
僕は、さっきまでゴミだと思っていたものを見つめた。
その瞬間、なぜか自分のことを考えた。
失敗して、落ち込んだ日。
何をやってもうまくいかなくて、布団から出たくなかった日。
もう無理だと思ったことも、一度や二度じゃない。
それでも次の日には起きて、学校へ行ったり、仕事へ行ったりしていた。
別に、心が元気になったわけじゃない。
昨日の自分と何かが変わったわけでもない。
ただ、少しずつ考え方を変えていた。
「次はどうすればいいんだろう」
そうやって何度も考えているうちに、いつの間にか前を向いていた。
「僕も同じなのかもな」
昨日までの自分を捨てるんじゃない。
失敗も、悲しさも、悔しさも抱えたまま、少しずつ形を変えていく。
そうして、また今日を生きている。
ペットボトルを見つめていると、なぜか涙がこぼれた。
「なんだよ」
自分でも、どうして泣いているのかわからなかった。
でも、少しだけ心がらくになった。
僕はペットボトルをゴミ箱に入れた。
「僕も、そうやって生きていけばいいんだ」
捨てることは、終わりじゃない。
形を変えて、また誰かの役に立つことができる。
人間だって同じだ。
失敗したときは、全部を投げ出すんじゃなくて、心のリサイクルをすればいい。

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