採用計画が毎年ズレる会社に共通する、事業計画との「断絶」
「今期も、計画通りに採用できませんでした。」
期末になると、あちこちで聞こえてくる言葉です。
年初に「10名採用」と掲げたのに、実際に採れたのは5名。
あるいは、採用はできたのに、必要だった部署には配属できなかった。
なぜ、採用計画は毎年ズレるのでしょうか。
「採用市場が厳しかったから」
「いい人がいなかったから」
そう説明されることが多いのですが、私はもっと根本的な原因があると考えています。
それは、採用計画が、事業計画から切り離されて立てられていることです。
「何人採るか」から始まる計画は、必ずズレる
多くの会社の採用計画は、人数から始まります。
「去年10人辞めたから、今年は12人採ろう。」
「各部署に希望を聞いたら、合計15人だった。」
一見、合理的です。
しかし、この数字には「なぜその人数なのか」という根拠が抜けています。
事業をどこまで伸ばすのか。
そのために、どの機能を、いつまでに、どれだけ強化する必要があるのか。
ここから逆算されていない人数は、ただの希望の足し算です。
そして希望の足し算は、市場の現実にぶつかった瞬間、簡単に崩れます。
採用計画は、事業計画の「翻訳」である
本来、採用計画は独立して存在するものではありません。
事業計画を、人の言葉に翻訳したものです。
「来期、新規事業を立ち上げる」
これを翻訳すると、
「立ち上げをリードできる事業責任者級を1名、10月までに。その下で動く実務者を2名、年明けまでに」
となります。
「既存事業を海外展開する」なら、
「語学と現地経験を持つ人材を、いつまでに、どのポジションに」
という具体に落ちます。
事業の意思決定と採用の意思決定が地続きになって初めて、採用計画は「意味のある計画」になります。
逆に言えば、事業計画が曖昧な会社は、採用計画も必ず曖昧になるのです。
「断絶」はどこで起きているのか
では、なぜ事業計画と採用計画は断絶するのでしょうか。
現場を見てきて感じるのは、多くの場合、登場人物が分かれていることが原因です。
事業計画を立てるのは、経営陣。
採用計画を実行するのは、人事。
この2者の間で、密な対話がないまま数字だけが受け渡される。
人事は「なぜこの人数なのか」を知らされないまま採用目標を追い、
経営は「採用がどれだけ大変か」を知らないまま事業計画を描く。
この構造がある限り、両者はズレ続けます。
以前の記事で「採用は経営戦略だ」と書きましたが、それはつまり、
採用計画づくりの場に、経営が座っていなければならないということです。
計画がズレる会社の、もう一つの共通点
事業との断絶に加えて、もう一つ共通するパターンがあります。
計画を「立てっぱなし」にしていることです。
年初に立てた採用計画を、期の途中で誰も見返さない。
四半期が過ぎて「あれ、全然採れていない」と気づいたときには、もう手遅れ。
採用は、リードタイムの長い活動です。
母集団形成から入社まで、職種によっては半年かかることもあります。
だからこそ、月次で進捗を追い、事業の変化に合わせて計画を修正し続ける必要があります。
事業計画がローリングで見直されるなら、採用計画も同じ頻度で見直されるべきなのです。
明日からできる、断絶を埋める問い
大がかりな仕組みは必要ありません。
採用計画を立てるとき、次の問いを経営と人事で一緒に考えるだけで、断絶は大きく埋まります。
① この採用は、どの事業目標につながっているのか。
② その目標達成に、この人材は「いつまでに」必要なのか。
③ もし採用できなかったら、事業計画のどこに影響するのか。
特に③が重要です。
「採れなかったら事業がどうなるか」を経営が自分ごととして理解すると、採用は人事だけの仕事ではなくなります。
面接への協力も、予算の判断も、優先順位づけも、変わってきます。
Sync Ascentが考えること
採用計画のご相談をいただいたとき、私たちがまず伺うのは、採用の数字ではありません。
「御社は、これからどこへ向かうのですか。」
という、事業の問いです。
一見遠回りに見えますが、ここが曖昧なまま採用計画だけ精緻にしても、必ずどこかで破綻します。
私たちは、採用計画を「人事の計画」ではなく「経営計画の一部」として設計するお手伝いをしたいと考えています。
採用は、事業の未来を先取りする活動です。
半年後、一年後の会社の姿は、今の採用計画の中にすでに書かれているのです。
まとめ
採用計画が毎年ズレるのは、市場のせいでも、運のせいでもありません。
事業計画との断絶が、原因です。
・人数からではなく、事業目標から逆算する
・計画づくりの場に、経営が座る
・立てっぱなしにせず、事業と同じ頻度で見直す
採用計画は、来期の事業計画を人の言葉に翻訳したもの。
その翻訳が正確な会社だけが、計画通りの組織をつくれるのです。
Sync Ascent(シンクアセント)について
採用コンサル・RPOのプロフェッショナルファーム https://sync-ascent-inc.com/
