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変えなくていい私まで、変えようとしていた。


人といる時、

私はいつも、
少しだけ明るい。


よく笑う。

声も少し高くなる。



「大丈夫。」

その言葉も、
自然と口から出てくる。


誰かを安心させたくて。

その場の空気を、
少しでもやわらかくしたくて。


気づけば、

いつも同じ私が、

前に立っていた。


だから、

明るくいることは、

いつしか癖になっていた。


家に帰る。

玄関のドアを閉めた瞬間、

ふう、と
大きく息を吐く。


靴を脱いで、

バッグを置いて、

そのままソファに座る。


まだ何もしていないのに、

体だけが、
ぐったりしていた。


「今日も、頑張って笑っていたな。」

そんな日が、

何度もあった。


楽しくなかったわけじゃない。

笑顔も嘘ではなかった。

それでも、

どこかで

少しだけ力が入っていた。


沈黙が続かないように。

誰かが困らないように。

会話が途切れないように。


気づけば、

そんなことばかり

考えていた。


ある日、

ふと思った。


「私は、本当はどんな人なんだろう。」


明るい私もいる。

静かな私もいる。


何も話したくない日もある。

誰にも会わず、

好きな音楽だけ聴いていたい日もある。


疲れて、

ぼんやり窓の外を

眺めているだけの日もある。


その全部が、

本当の私だった。


それなのに、

人といる時は、

一つの私しか

見せていなかった。


だから、

一人になるたび、

出番のなかった自分が、

「ここにいるよ」

と戻ってくる。


その子を迎えに行く時間が、

私には必要だったのかもしれない。



もし、

明るくなくてもいい日があったら。

もし、

黙っていても
安心できる場所があったら。


きっと私は、

こんなに疲れなかった。


そう思ってから、

少しずつ変えてみた。


疲れている日は、

少し静かでいる。

無理に笑わない。

話題を探さない。

沈黙を、

急いで埋めない。


最初は、

少し怖かった。


「変わったね。」

そう言われるかもしれない。

嫌われるかもしれない。

そんなことばかり考えていた。


でも、

不思議だった。


離れていく人もいた。


けれど、

「今日は静かなんだね。」

と、

何も変わらず
話しかけてくれる人もいた。


言葉にはしなくても、

「そのままでいいよ。」

そんな空気で、

隣にいてくれる人もいた。



その時、

ようやく気づいた。


私は、

変われなかったんじゃない。


変えなくていい私まで、

変えようとしていただけだった。


静かな私も。

人を気にかける私も。

一人の時間が必要な私も。


どれも、

直すものじゃなかった。


だから、

明るい日は、

思いきり笑えばいい。


静かな日は、

静かなままでいい。


そのどちらも、

私だった。


本当に安心できる人は、

明るい私だけではなく、

静かな私も知っている人なのかもしれない。


そして、

一番そう思ってあげたい相手は、

誰でもない。


私自身だ。


今日は静かでもいい。

今日は笑えなくてもいい。


変わらなくても、

大丈夫。


そのままの私にも、

ちゃんと居場所はある。


今は、

そう思える。

明るい自分も、静かな自分も、両方見せられる相手がいたら。
そんな関係について、こちらの記事でも書いています。

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