「常識の呪縛」を脱ぎ捨てるとき
ドラッカーは1993年に出版した『ポスト資本主義社会』の冒頭で、とても興味深いことを言っています。
「西洋の歴史では、数百年に一度際立った転換が起こる。世界は歴史の境界を越える。社会は数十年をかけて次の新しい時代に備える。世界観を変え、価値観を変える。社会構造を変え、政治構造を変える。やがて50年後には新しい世界が生まれる」
その事例として、13世紀ヨーロッパでの都市の発展や文化や学問の興隆、1455年のグーテンベルクによる印刷革命から1517年のルターによる宗教改革までの60年間に起きたルネッサンス、18世紀末からの産業革命からの40年間の動きなどを挙げています。
この転換期の中で生まれた子供が成人を迎えるころには、父母の生まれた世界は想像すらできないものとなっています。
つまり、世界の歴史は長い「継続の時代」から、数百年に一度の「断絶の時代」を経て、新たな「継続の時代」へと移っていき、その「断絶の時代」前後の世界では常識や価値観が変わるということです。
ドラッカーは『ポスト資本主義社会』に遡ること24年前の1969年に、『断絶の時代』を著し、「いよいよ断絶の時代に入った」(4p)と宣言しています。
この本の原題は『The Age of Discontinuity』、すなわち『非連続の時代』です。
断絶前の時代と後の時代は「非連続」になるという意味です。
60年代のどこかの時点から、世界は新たな断絶の時代、つまり歴史的大転換期に入ったということについて、『ポスト資本主義社会』にはこう書かれています。
「われわれがこの転換期にあることは明らかである。もしこれまでの歴史どおりに動くならば、この転換は2010年ないし2020年まで続く。しかもこの転換は、すでに世界の社会、政治、経済、倫理の様相を大きく変えた。1990年に生まれた者が成人に達する頃には、父母の生まれた世界は想像すらできないものになっているはずである」
私は1960年生まれで次男は1990年生まれです。
常識がまったく違うのは我々個人のせいではなく、時代のなせる技だったのです(笑)
そして時代は不可逆的です。
すでに新しく始まっている継続の時代に、われわれの古き時代の常識や倫理を当てはめるのは、滑稽この上ない姿です。
われわれが身につけた常識を変えなければならない時代です。
もちろん、そんな必要はない、という人はそれはそれでいいでしょう。
キャリア形成についても同じです。
私たちがもっていた常識。
ひとつの会社に定年まで勤め続けるべきだ。
会社の辞令に逆らうことはできない。
真面目に勤めていれば会社が面倒を見てくれる。
長く勤めていればとりあえず課長くらいまでは昇進できる。
男性が育児休暇をとるなんてできない。
全部古い時代の呪縛です。
その呪縛を手放さないかぎり、望むセカンドキャリアは手に入りにくくなります。
その呪縛が新しい行動の阻害要因になっている可能性大だからです。
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