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豊かさは、足すより掛けるものだった

どうも、33歳、3児パパ、1馬力で資産6,000万円を築き、副業で月30万円を稼いでいるトヨタ系会社員です。

僕は「会社依存を減らし、家族を守りながら、人生の自由度を上げる会社員OS」という考え方を、大切にしています。

とはいえ、これはきれいな理想を語りたいわけではありません。会社員を続けながら、資産形成や副業という形で、自分の生活の中で試している最中です。うまくいったこともあれば、いまだに迷っていることもあります。

その実践の中で、ずっと引っかかっていることがあります。

お金は、以前より増えました。生活も、大きくは崩れていません。それなのに、思っていたほど「自由になった」という感じがしないのです。

今日は、この静かなズレについて書いてみます。


増えているのに、軽くならない

数字は正直です。

預貯金、投資、退職金の見込み。並べれば、自分がどのあたりにいるかは分かります。だから資産形成の話になると、つい「いくら持っているか」だけを見てしまう。僕もそうでした。

もちろん、お金があることの安心は本物です。子どもの選択肢を守れる。急な出費があっても慌てない。仕事で嫌なことがあっても、すぐには追い詰められない。この土台があるだけで、呼吸はずいぶん楽になります。

ただ、ここからが不思議なところで。

お金が増えた分だけ、そのまま毎日が軽くなるかというと、そうでもないのです。

収入が上がったのに、平日は子どもが起きている時間に帰れない。役職がついたのに、その立場を手放すのが怖くて、身動きが取りにくくなる。暮らしは少し立派になったけれど、それを保つために、働き方を変えられなくなっていく。

家計簿の数字は、前に進んでいます。

でも、本人の感じている自由は、そんなに増えていない。

お金は選択肢を広げてくれるはずなのに、お金を得るための条件が、いつのまにか自分の首を少し絞めている。資産額を眺めているだけでは、この感覚は見えてきません。


富は、足し算ではなく掛け算だと思う

いろいろ考えて、僕はいま、豊かさをこんなふうに捉えています。

富 = 金融余力 × 時間主権 × 選択可能性 × 関係安全性 × 人生の意味

言葉が硬いので、少しほぐします。

金融余力は、資産の額そのものではなく、収入が一時的に減っても慌てずに考えられる余裕のこと。時間主権は、自分の時間の使い道を、ある程度は自分で決められること。選択可能性は、残る・異動する・休む・外で働くといった道を、現実に選べる状態。関係安全性は、困ったときに頼れる人がいて、家で安心して話せること。人生の意味は、何のために働き、何を守りたいのかを、自分なりに感じられていること。

数式にしたのは、正確に計算したいからではありません。

言いたいのは、これが足し算ではなく、掛け算だということです。

たとえお金が大きくても、自分で使える時間がほとんどゼロなら、掛け算の答えは小さくしぼんでしまう。時間があっても、誰にも相談できず孤立していれば、不安は消えない。人に恵まれていても、毎月の支払いに追われていれば、仕事を自由には選べない。

そして、お金も時間もつながりもあるのに、何のために日々を過ごしているのか分からなくなると、真ん中にぽっかり穴があいたような感覚になる。

一つを大きくしても、他の不足は埋めきれない。むしろ、一番小さくなっている数字が、人生全体の豊かさを静かに抑え込んでいる。

僕は、ここが資産額だけを見ていると、いちばん見落としやすいところだと思っています。


頑張っても満たされないのは、配分のせいかもしれない

会社員をしていると、一つの数字に力を寄せがちです。

年収、評価、役職、資産。どれも大事だし、家族を養う時期には、収入や安定を優先するのも自然なことです。責めるような話ではありません。

ただ、限られた時間と体力を一つの数字に全部注ぐと、静かに減っていくものが出てきます。

昇進で給料は上がったのに、家族と話す時間が消える。評価を守ろうとして、断ることができなくなる。資産を急ぎたくて、今しかない子どもとの時間まで削ってしまう。

これは、努力が足りないからではないと思うのです。

仕事と家庭を両方抱えていれば、使えるものは最初から限られている。何かを増やせば、どこかにしわ寄せがいく。だから「もっと頑張る」だけでは、この息苦しさから抜けにくい。

見たほうがいいのは、量よりも配分なのかもしれません。

いま自分は、五つのうち何を増やそうとしているのか。そのために、何を減らしているのか。減らしているそれは、あとで本当に取り戻せるものなのか。

この問いを一つ置くだけで、選び方は少し変わります。年収が一番高い道ではなく、時間の残る道を選ぶ。最速で増やすより、家族との時間を守る。それは後退ではなくて、掛け算全体を小さくしないための、配分の調整だと思っています。


増やした富を、暮らしがこっそり削る

要素を増やす話だけでは、まだ足りません。

せっかくつくった余裕を、暮らしの側からすり減らしてしまうものがあるからです。僕はそれを、こう表しています。

実質的な富 = 富 ÷ 固定された欲望

ここでの「欲望」は、何かを欲しがる気持ちそのものではありません。快適に暮らしたい、いい経験をしたい。それは自然なことだし、無理に我慢する話でもない。

厄介なのは、一度上げた生活水準や人からの見られ方を、「もう下げられない条件」にしてしまうことです。

この家より狭くはできない。この役職より下には戻れない。収入は毎年上がって当たり前。子どもには、まわりと同じものを持たせないと。

願いのうちは軽いのに、固定条件になった瞬間、それを保つためのお金も、時間も、働き方も、まとめて固定されます。

収入が2倍になっても、必要な生活費や見栄が3倍に膨らめば、選べる道はかえって狭くなる。会社が苦しくても、年収を落とせないから動けない。本当はそこまで欲しくないものを、比較のせいで手放せない。

固定費の見直しは、家計の話としてよく語られます。でも、その一歩手前に「自分は何を、下げられないと思い込んでいるのか」という問いがある。契約を一つ解約しても、また別の支出が埋めてしまうなら、縛っているのは金額ではなく、その思い込みのほうです。

資産形成は、増やすことだけじゃない。自分を縛る条件を、必要以上に増やさないこと。これも、同じくらい効くと感じています。


まず、ゼロに近い場所を探す

この見方を使うとき、最初に考えたいのは「どれを最大化するか」ではありません。

五つのうち、いまゼロに近づいているものはないか。そっちを先に探すことです。

お金はあるのに、自分で決められる時間がない。責任ある仕事を任されているのに、他の働き方が想像すらできない。家庭を守るために働いているのに、家で話す余力が残っていない。忙しさの中で、何を大事にしたかったのか、思い出せなくなっている。

掛け算では、大きい数字をさらに伸ばすより、小さくなりすぎた数字を戻したほうが、全体がぐっと大きくなることがあります。

もし金融余力が細いなら、まず生活を守るお金から整える。時間が足りないなら、稼ぎを増やす前に、引き受けている予定を見直す。選べる道が少ないなら、辞める前に、いまの経験が外でどう役立つかを小さく確かめる。話せる相手が減っているなら、一人で抱えず、その関係を守る。

全部を一度に直す必要はありません。同時にやろうとすると、それ自体が新しい負担になる。

増やすことより、ゼロに近づけないこと。僕は、これが家族を守りながら富を育てる、いちばん現実的なやり方だと思っています。


読者のみなさんへ

ここまで読んでくださって、ありがとうございます。

今日お伝えしたかったのは、たった一つです。豊かさは足し算ではなく掛け算で、一番小さくなっている数字が、全体を静かに決めている、ということ。

いまの自分にとって、一番小さくなっているものは、何でしょうか。お金か、時間か、選べる道か、安心して話せる関係か、それとも毎日を過ごす意味か。

すぐに答えを出さなくて大丈夫です。数字には表れないけれど、すでに持っている富もきっとあります。反対に、順調に見えて静かに減っているものもある。それに気づけただけで、今日はもう十分だと思います。

見え方が変わったあと、いざ自分の家計や働き方に落とし込もうとすると、もう少し具体的な順番がほしくなるはずです。そのあたりは、別の記事でゆっくり掘り下げています。気が向いたときに、のぞいてもらえたら嬉しいです。

あなたの暮らしで、いま「増やしたいもの」と「減らしたくないもの」は何ですか。よかったら、言葉にできる範囲で、コメントで教えてください。スキやフォローをしてもらえると、次を書く力になります。

今日も、がんばりましょう。


3児の父として、家族を守りながら、会社への依存を少しずつ減らしてきました。きれいごとではなく、苦労と試行錯誤のなかで得た実践知を、こちらにまとめています。
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