【エッセイ】 児童文学作家から学んだこと やなせたかし先生
「のー友」マイちゃんの投稿で、朝から穏やかな気持ちになれた私。 ※のー友はnote友達の略
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小児医療の目線で「アンパンマン」の魅力を、的確に著しておられる。
幼い子供たちの永遠のヒーローの代表格だ。
マイちゃんの投稿から思い出したことを、書き綴ってみようと思った。
かれこれ40年程前になるが、児童文学作家の講演を拝聴した。
やなせたかしさん。

詳細は、Wikipediaなどでご覧になっていただきたい。
かつて私が講話から学んだことから、今も胸に刻んでいることと、現代の日本を見て思うことを、まとめてみる。
◉やなせたかしさんの児童文学
やなせ先生の児童文学の根底にあるのは、ご自身の悲痛な戦争体験から生まれた真摯な問いかけだ。
本当の正義とは何か?
生きる喜びとは何か?
優しさのヒーロー『アンパンマン』に代表されるように、「お腹が空いている人に自分の顔をちぎって分け与える」という、傷つくことを恐れない自己犠牲を一貫して描いた。
やなせ先生作詞の『手のひらを太陽に』も、小さな弱い命への慈しみが込められた歌詞だ。
子供のために紡がれた言葉の数々は、シンプルでありながら深く心に刺さる魅力を持っている。
戦時中の国策やプロパガンダを経験したことから、やなせ先生は考えていらした。
・正義の味方の武器は暴力であってはならない。
・正義が暴力で悪をねじ伏せるのは、一歩間違えれば戦争と同じになる。
アンパンマンはバイキンマンを殺さない。
パンチで遠くに飛ばすだけにとどめている。
世の中からバイキンが完全に消えたら、パン(食品)も作れない。
だからバイキンマンを絶滅させてはダメだと語った。悪を排除するのではなく、共生しながらバランスを保つことの大切さを説いていた。
「勧善懲悪」という言葉をご存知だろう。
善い行いを勧め、悪い行いを懲らしめるということである。
やなせたかしさんは「勧善懲悪」を否定した。
その背景は、戦前の日本の歴史が起因する。
お国のために戦うことが「善」だと教えられてきたのに、敗戦によって一瞬で覆った。
その欺瞞を肌で知るからこそ、都合のいい善悪の二元論で子どもを騙してはならない、という強い危機感を持たれていたのだと思う。
悪を倒して終わりではなく、悪であっても目の前で飢えている人を助けることを著した。
アンパンマンが、自らの顔(アンパン)を食べさせてあげるシーンは、自己犠牲の象徴なのだ。
子供たちに嘘をつきたくないという、誠実な姿勢があった。
私は「勧善懲悪主義」論者になるつもりはない。
だが今の日本は、何というか…。
過去の戒めを軽視しているように感じる。
善行を勧める……。
国として、善行する人々のサポートが出来ているのだろうか?
各地で発生している自然災害に、手弁当で向かうボランティアや地域の住民への支援は充分か?
過酷な作業に疲弊する心身へのケアはどうか?
一過性で終わっていないか?
悪を懲らしめる……。
国として、悪行を犯した者への懲罰は、適切な判断と罪量で行われているのだろうか?
被害者やご遺族が置き去りにされていないか?
再発防止として、充分な反省の時間を与え、2度と同じ悪行を繰り返さないと誓約させているのか?
白か黒か?
善か悪か?
私たちは目の前の事象を、安易にジャッジしてしまいがちだ。
やなせ先生がアンパンマンに託したのは、安易な二元論に逃げず、傷つきながらも目の前の命に向き合う覚悟だった。
マイちゃんの投稿から思い出した40年前の講話。
それは、混沌とした現代を生きる私たちへの、時間を超えた警鐘のように思えてならない。
了
几戸姶洛
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