いくつもの入り口

私の家は、たくさんの別荘地域に囲まれています。
今は新緑の季節で、別荘の森を歩くと、とても気持ちが穏やかになります。
そしてたくさんの緑の道には、それぞれ名前のついたものが多くあります。
私が子供の頃から名付けられているものもあれば、いつの間にかそう呼ばれるようになった場所もあります。
落葉末の小路
御幸通路
こぶしの小径末
並木通り
塩沢通り
離山通り
紅葉の小路
一の通り
短い間にたくさんの道を辿りながら歩きます。


それぞれの道は、似たような緑に包まれているのに、
なぜか空気が違います。
毎日歩いていると、
その名前がついた理由が、
少しだけわかるような気がしてきます。
鳥の声。
風の音。
木々たちのヒソヒソ話。
静かな道を歩いていると、
この場所もまた、
どこか別の世界へ続く入り口のように思えてきます。
そして家へ戻ると、
裏庭の苔の中に、
小さな茸が顔を出していました。
遠くへ行かなくても、
世界の入り口は、
こんなすぐそばにもあるのかもしれません。

