小川のせせらぎは、入り口
イリスの地図シリーズ
|第10回|水の音に導かれて
集中できない時や、心が揺れている時。
過去のことや、まだ来ていない未来に
気持ちが囚われてしまう時。
そんな時、私は、家の近くを流れる小川へ、
せせらぎの音を聴きに行きます。
今もせせらぎの音を胸に残したまま、
部屋に戻ってきました。
この小川は私が子供の頃から何度も
訪れた場所です。
不思議なことに、景色は昔とほとんど
変わっていません。
変わらない風景に身を置いていると、
心は静かになり、意識は自然と子どもの頃へと戻っていきます。
今の軽井沢は新緑の季節。
眩しいほどの緑に包まれ、
耳を澄ませると、小川のせせらぎに混じって、
鳥たちの歌声が聞こえてきます。
こうした場所を、
私はいくつか大切に持っています。
そして、その流れは、
これまでお話しした湖や沼とどこかで静かにつながっています。
水の流れは、目に見えている時はその行方がわかります。
けれど、いつか見えないところへ消え、
思いがけない場所に、再び姿を現します。
それはまるで、
現実の世界と幻想の世界を結ぶ、
見えない水路のようです。
イリスの地図には、
そんな場所をひとつずつ記しています。
そして、その場所から受け取った記憶や感情が、
私の絵の中にも静かに流れ込んでいます。
これからも、
イリスの地図とともに、
そこから生まれた作品を少しずつご紹介
できたら嬉しいです。
