一番賢いAIを使えばいい、と思っていた。ChatGPT WorkでSolからLunaに変えた理由
ChatGPT Workを使い始めた頃、私は単純にこう考えていました。
「せっかく使うなら、一番性能の高いモデルを使えばいい」
難しい仕事をAIに任せるのだから、性能は高い方がいい。
そう考えて、GPT-5.6の中でも高性能なSolを積極的に使っていました。
実際、Solはかなり優秀です。
曖昧な依頼を投げても意図をくみ取り、考え、調査し、必要ならファイルまで作ってくれます。
ところが何度か使っていると、別の問題に気づきました。
週間の利用枠が、思っていた以上の勢いで減っていく。
そこで試し始めたのが、軽量なLunaでした。
結果として、この経験が「AIは一番賢いモデルを使えばいい」という考え方を変えるきっかけになりました。
Solを使うと、利用枠の減りがかなり速かった
私はChatGPT Plusを契約しています。
ChatGPT WorkでSolを使って何度かタスクを実行すると、私の使い方では週間利用枠が目に見えて減っていきました。
1回ごとに数%程度減り、何度か使っていると5%、10%と消費していくこともあります。この消費は5時間の使用枠ではありません。1週間の使用枠です。
もちろん、Workの消費量は単純な「1回=○%」ではありません。
OpenAIの説明でも、使用量はモデルだけではなく、タスクの複雑さ、コンテキスト、Reasoning、速度、ツール利用などによって変わります。WorkとCodexは同じエージェント利用枠を共有しています。
とはいえ、このペースでSolを使い続けると、
「週間上限まで持たないのでは?」
と感じました。
そこで、同じ仕事をLunaで試してみました。
すると自分の利用では、利用枠の減り方が明らかに違いました。
Lunaを高いThinking Effortで使っても1%程度、場合によっては表示上ほとんど減らないこともあります。
ここで初めて、
「Workは全部Solでやる必要はないのでは?」
と考えるようになりました。
調べてみると、Lunaはかなり安い
この差が気になり、モデルの価格を調べてみました。
2026年7月30日、OpenAIはGPT-5.6 Lunaの価格を80%引き下げています。OpenAI自身もLunaをGPT-5.6ファミリーの中で「最も高速かつ低コストなモデル」と位置づけています。
2026年9月時点の料金を見ると、100万トークンあたりの標準料金は次のようになっています。
Sol:入力 $4.00 / 出力 $20.00
Terra:入力 $2.00 / 出力 $12.00
Luna:入力 $0.20 / 出力 $1.20
入力料金だけを見ると、SolとLunaでは20倍違います。
もちろん、API料金とChatGPT Workの利用枠消費がそのまま同じ比率になるわけではありません。
ただ、
高性能モデルほど計算資源を多く使い、軽量モデルほど大量の処理に向いている
という方向性は共通しています。
実際、OpenAIはLunaの値下げについて、WorkやCodexなど有料プランでの利用量のカウントにも反映すると説明しています。
つまり、クラウドAIでも「どのモデルを使うか」というコストの概念は無視できません。

しかもLunaは「安いだけ」ではなかった
最初は、
「安いモデルなのだから、性能や速度もかなり落ちるのでは?」
と思っていました。
ところが、Artificial Analysisのベンチマークを見てみると、印象が少し変わります。
Lunaは価格がかなり低い一方で、性能はしっかり残っています。
さらに面白かったのが速度です。
Artificial Analysisの計測値は日々変動していますが、私が確認してきた範囲では、Max設定の出力速度はおおよそ、
Luna:約120〜130 token/s
Sol:約70〜80 token/s
という水準でした。
2026年9月9日時点でも、Artificial AnalysisではLuna Maxが約120 token/s、Sol Maxが約70 token/sとなっています。
Sol自身もフロンティアモデルとしては比較的速いモデルですが、それでもLunaの方が出力はかなり高速です。
これはWorkやCodexのようなAIエージェントでは、意外と重要です。
AIエージェントは、
調査
↓
情報整理
↓
ファイル操作
↓
修正
↓
再確認のように、1回の依頼の中で何度も処理を繰り返します。
1回あたりの差は小さく見えても、何度もモデルが動けば差が積み重なります。
AIに仕事そのものを任せるようになるほど、「賢さ」だけでなく「速さ」も生産性に直結する。
そう感じるようになりました。
ただし、出力が速い=全部速い、ではない
ここには少し注意も必要です。
Artificial Analysisなどで表示されるtoken/sは、基本的に回答の生成が始まってから、どれくらい速く文章を出力するかという指標です。
Reasoningモデルの場合、その前に「考える時間」があります。
そのため、
Luna Maxが120 token/sだから、すべての処理がLuna Maxで最速
というわけではありません。
Thinking Effortを上げれば、回答を始めるまでの時間も長くなります。
ここでも、もう一つの「使い分け」が出てきます。
LunaはThinking Effortでも使い分けられる
Lunaには、Reasoningの強さを変える選択肢があります。
例えば、
Low
↓
Medium
↓
High
↓
XHigh
↓
Maxと段階的に計算量を増やせます。
ここでArtificial Analysisの結果を見ていて面白いと感じたのが、MediumからHighへの性能向上が比較的大きいことでした。
2026年9月時点のArtificial Analysis Intelligence Indexでは、
Low:22
Medium:26
High:33
XHigh:35
Max:38
となっています。
MediumからHighでは7ポイント伸びています。
一方、
High → XHighは+2
XHigh → Maxは+3
です。
もちろん、このベンチマークだけでモデルのすべてを判断することはできません。
それでも、
「Luna Highあたりが、性能・速度・計算量のバランスがいいのでは?」
と考える材料にはなりました。
そのため、今の自分の使い方では、Luna Highをかなり重視しています。
「LunaかSolか」だけではない
ここまで考えると、AIモデルの使い方は単純な二択ではなくなります。
例えば自分なら、今のところこんなイメージです。
軽い処理・大量処理
↓
Luna Low / Medium
通常の調査・整理・実装
↓
Luna High
難しい分析
精度をさらに上げたい
↓
Luna XHigh / Max
曖昧で難しい問題
高度な設計や判断
↓
Sol Highつまり、
モデルだけではなく「モデル × Thinking Effort」で考える。
最初からSolを選ぶ必要もなければ、Lunaだから常にMaxにする必要もありません。
仕事によって必要な計算量は違います。
さらにChatGPTでは「考えるAI」と「実行するAI」を分けられる

ここでもう一つ、自分の使い方で面白いと感じていることがあります。
ChatGPTでは、通常のチャットで使うReasoningの利用枠と、Work/Codexが共有するエージェント利用枠が分かれています。
Plusでは通常のChatでGPT-5.6 SolのMedium / Highを利用できます。一方、LunaやTerraは通常Chatでは選べず、プランによってWorkやCodexで利用できます。
この違いを利用して、私は次のような使い方をしています。
人間
↓
Chat / Sol High
・壁打ち
・課題整理
・要件定義
・タスク分解
↓
AIが実行しやすいタスク
↓
Work / Luna High
・調査
・実装
・ファイル作成
↓
成果物Sol Highには、考える仕事をしてもらう。
Luna Highには、整理された仕事を実行してもらう。
この役割分担です。
実は、前回の匿名化アプリもこの方法で作った
前回の記事では、350Mの小型ローカルLLMを使った個人情報の匿名化アプリを紹介しました。
このPythonのWebアプリを開発するときにも、似た使い方をしています。
最初はかなり曖昧でした。
「ローカルLLMを使って、個人情報を匿名化するWebアプリを作りたい」
というところからスタートしています。
そこでまず、ChatのSol Highと壁打ちしました。
話しながら、
Streamlitを使う
Ollamaと通信する
小型ローカルLLMを使う
長文は分割して処理する
Human in the Loopを入れる
設定はローカルの設定ファイルで持つ
といった内容を整理していきました。
最終的には「こんなアプリが欲しい」というアイデアではなく、かなり具体的な要件定義になりました。
その要件を、今度はWorkのLuna Highへ渡しました。
すると、
Luna Highが一発でアプリを実装してくれました。
ここで重要なのは、
Lunaがゼロから全部考えたわけではない
ということです。
Lunaへ渡した時点では、
曖昧なアイデア
↓
Sol High
↓
要件整理
↓
設計
↓
具体的な実装タスク
↓
Luna High
↓
実装という状態になっていました。
高性能AIで「仕事を簡単にしてから渡す」
この経験から、自分の中でAIの使い方が少し変わりました。
これまでは、
難しい仕事だから、一番性能の高いAIを使う
と考えていました。
でも別の考え方もできます。
高性能AIを使って、軽量AIでも処理できる仕事へ変換する。
例えば、
人間からの曖昧な依頼
↓
Sol High
・意図を整理
・条件を整理
・タスクを分解
・設計する
↓
明確になった仕事
↓
Luna High
・実装
・調査
・文書作成
・ファイル生成という使い方です。
これなら、最上位モデルを最初から最後まで動かし続ける必要はありません。
Solの高い推論能力が必要なのは、最初の難しい部分だけ。
仕事が整理されれば、そこから先はLunaでも十分こなせる可能性があります。
「軽量モデルの性能が足りない」のではなく、「軽量モデルに渡している仕事が難しすぎる」ケースもあるのではないか。
この視点は、自分にとってかなり大きな気づきでした。
Claude Proを使っていると、この違いも面白い
私はClaude Proも契約しています。
Claudeでは、ClaudeのチャットとClaude Codeなどの利用が同じ使用制限の中でカウントされます。Anthropicも、claude.ai、Claude Desktop、Claude Codeなどが同じ使用制限を共有すると説明しています。
一方、自分が使っているChatGPTでは、
Chat
Sol Highで考える
↓
別の利用枠
↓
Work / Codex
Lunaで実行するという使い方ができます。
チャットで考え、AIエージェントへ仕事を渡す
という使い方をする場合、この利用枠の設計まで含めてサービスを考えると面白いと感じています。
一番賢いAIを使い続ける必要はなかった
ここまで試してみて、最初の考え方からかなり変わりました。
以前は、
難しい仕事
↓
一番性能の高いAIでした。
今は、
曖昧で難しい部分
↓
Sol High
整理された通常業務
↓
Luna High
軽量・大量処理
↓
Luna Low / Mediumのように考えるようになっています。
大切なのは、
「一番性能の高いモデルはどれか?」
ではなく、
「この仕事には、どこまでの性能が必要なのか?」
を考えることなのだと思います。
そしてもう一つ。
AIにどんな仕事を渡すかによって、必要なモデル性能そのものを下げることもできる。
これは単なるモデル選びとは少し違います。
ここで、前回のローカルLLMと話がつながった
そして、この考え方をしていて気づきました。
これ、前回試したローカルLLMと同じではないか。
前回は、個人情報の検出・匿名化という仕事を限定することで、350Mという非常に小さなローカルLLMでも処理できました。
クラウドでは、通常の仕事をLunaに任せる。
さらに難しい仕事だけSolへ任せる。
すると、
個人情報の匿名化
↓
小型ローカルLLM
通常のクラウド処理
↓
Luna
高度な分析・設計
↓
Solという役割分担が見えてきます。
もはや、
「ローカルかクラウドか」
でも、
「SolかLunaか」
でもありません。
仕事を分解して、それぞれに最適なAIを配置すればいい。
ここまで考えたとき、
「これはAIモデルを選んでいるというより、人間の業務ワークフローをAIで設計しているのでは?」
と思うようになりました。
この話は、次回もう少し掘り下げてみます。
次回:ローカルとクラウドを組み合わせる
次回は、
ローカルLLMとクラウドAIを組み合わせた業務ワークフロー
を考えます。
例えば、

という構成です。
性能だけではなく、
速度
コスト
セキュリティ
必要なAI性能
まで含めて業務を組み直すとどうなるのか。
実際にローカルLLMを触り、SolとLunaを使い分ける中で見えてきた考えを整理したいと思います。
さらにその先では、「どのAIに仕事を任せるか」という判断自体をAIに任せる試作も進めています。
Sol、Terra、Lunaにそれぞれ別の役割を持たせ、複数のAIが仕事を分担する形です。
ただ、そこまで行くと話が長くなるので、それはもう少し先の回で。
※モデル価格、利用制限、ベンチマーク値は2026年9月9日時点で確認した情報です。クラウドAIの仕様やベンチマーク値は更新されるため、最新情報は各サービスの公式情報をご確認ください。
