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蚊よ。君は私の家族ではない。

ゆきごろうと申します。

小学生の息子と、保育園の娘を育てる
ワーキングマザーです。


今日のテーマは蚊だ。

あの酷暑の時期には鳴りを潜め、
涼しくなると、現れる。忌々しい虫よ。

さては、夏の虫から秋の虫へ、
シレっと鞍替えを企んでいないか。



蚊よ。君は私の家族ではない。

なのになぜ、いつも帰宅するときに、
家族のような顔で、家に入ってくるか。

人間だったら、犯罪だ。だが、
蚊を取り締まる法は、今のところ存在しない。

娘「ただいま〜!」

息子「ただいま〜!」

私「ただいま〜!」

蚊「プーーン(ただいま〜!)」

ではない。君を招いた記憶はない。


いざ、連れてこようものなら、
和やかな団らんの時は消え失せ、
家族全員、スナイパーへと変貌する。

蚊を誰が最初に見つけて仕留めるか、
争いが始まる。

パン!!

息子が両手を強く叩く。
甲高く、鋭い、ムチのような打撃音。
だが、蚊はスルリと息子の前を飛んでいく。

パン!!

今度は私が両手を打つ。
だが、蚊は私たちを嘲笑うように逃げていく。
そうこうするうちに、蚊を見失った。

お前はどこにいる?
蚊は姿を潜め、私たちは周囲をじっと見回す。
天井、棚、足元、蚊の姿はない。

しばしの静寂。

悔しいが、仕方がない。
いつまでも玄関に留まるわけにも、いかない。

リビングに入り、くつろいでいると、
忘れた頃にまた、現れる。

あっ!

息子が声を上げた。指を指したその先は、
娘の腕。今、まさに血を吸っているようだ。

この野郎。
可愛い娘の腕に馴れ馴れしく止まって。
母親として憎悪を掻き立てられる。

ちなみに、この野郎と書いたが、
血を吸う蚊は100%、産卵前のメスだ。

産卵か。私も妊娠出産したけども、
鉄分とか、栄養、大事だよな。


なんて、同情でもすると思ったか?

私が躊躇している理由は、他にある。
私は娘の腕を叩いて蚊を仕留めるか、
泳がせて、そこを叩くか、それだけだ。

娘の腕を叩いて、仕留め損ねたら、
私はただ、娘の腕を叩いただけの人になる。

ここで逃がして、仕留め損ねたら、
娘の腕には間違いなく、虫刺されができる。

蚊は自由を手にし、さらなる生贄を探すだろう。私は躊躇うのをやめた。

ぎゅ!

娘の腕を素早く掴んだ。私の計算が確かならば、この手のなかに蚊がいるはずだ。

祈るように腕から手を離す。
手のひらに鮮血の赤い点と黒い亡骸があった。
私はその手のひらを息子に見せた。

「やった!倒したね!」

息子は共闘した同志として、私を讃えてくれた。
私の心も一仕事を終えた、充実感に満ちている。


今日の戦いは、ひとまず終わりだ。

また次の戦いに備えて、ゆっくり休もう。

明日の朝、娘の腕に赤みが出ないことを祈る。




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