多丘歯目
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| 地質時代 | |||||||||||||||
| ジュラ紀 - 漸新世 | |||||||||||||||
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| 学名 | |||||||||||||||
| Multituberculata Cope, 1884 |
多丘歯目(たきゅうしもく、Multituberculata)は、絶滅した哺乳類のグループ。現生の齧歯目と類似した形態と、1億年以上にわたって生存した長い進化史を特徴とする[1]。
進化史
[編集]多丘歯目は、約1億6500万年前(中期ジュラ紀)までに出現し、白亜紀と古第三紀の間の大量絶滅を生き延び、約5500万年前(後期始新世)に絶滅した[2]。1億年以上にわたる生存期間中、食性では肉食性、雑食性、植物食性と推定される種が、体サイズでは10 g未満から5~8 kgまで成長した種が出現し、種の多様さおよび個体数において最も成功した哺乳類のグループの1つである[3]。とくに、多丘歯目は後期白亜紀では当時の哺乳類多様性の多くの部分を占め、続く暁新世では歯の形態多様性、属数、体サイズ多様性ともにピークに達した[4]。
分布
[編集]南アメリカでの僅かな例外を除き、多丘歯目の分布は北半球でしか知られていない。南半球に分布するグループ、ゴンドワナテリウム亜目はかつて多丘歯目に入ると思われていたが、今日ではその根拠は薄い。
白亜紀後期には多丘歯目は北半球に様々な種が分布し、典型的な動物相の哺乳類種の半数以上を占めていた。いくつかの系統は白亜紀の終わりに絶滅したものの、K-Pg境界を越え、暁新世に多様性の頂点に達した。彼らはヨーロッパと北アメリカでは暁新世のほぼ全ての間、アジアでは暁新世後期の頃、動物相の大部分を占めていた。その大きさも非常に小さなマウス大からビーバー大まで様々だった。
特徴
[編集]多丘歯目は、門歯、下顎の小臼歯、大臼歯それぞれの形態と、咀嚼運動に特徴がある[2]。
多丘歯目の門歯はヒトのように顎に対して垂直方向に生えるのではなく、齧歯目のように顎に対して斜め、かつ、体の前方に向かって突き出すように萌出する[2]。こうした門歯とその周辺の頭蓋骨の特徴から、多丘歯目は齧歯目と収斂した形態をもつとされる[1]。
多丘歯目の下顎には、plagiaulacoidと呼ばれる特徴的な形態の小臼歯が存在する。この小臼歯は前後方向に長く幅が先端に向かって薄くなる刃状で、その後方に続く大臼歯と比較して際立って大型化する場合がある[5]。なお、上顎の小臼歯はこうした特殊化を示さない。
多丘歯目の大臼歯には、咬合面にある小さなこぶ状の突起である咬頭が多数存在し、それらの咬頭は前後方向に列をつくっている[2]。このように、大臼歯に多数(multi-)の突起(tubercul-)をもつという特徴は、多丘歯目の学名の由来となった[6]。
多丘歯目の下顎は体に対して前後方向の運動をすることを基本とする[2]。また、食物を咀嚼するとき、上下の顎が咬み合わせられたのち、下顎は体に対して後方に動かされる[2]。現生の多くの哺乳類は、咀嚼の際に下顎を左右方向に動かすことを基本としており[7]、多丘歯目とは異なっている。また、齧歯目は多丘歯目と同じく下顎の前後運動による咀嚼を行う種が存在するが、齧歯目では、咬み合わせられた後の下顎は体に対して前方に動かされるため[8]、下顎が前から後ろへ運動する多丘歯目とは下顎の運動が逆向きとなっている。
多丘歯目の骨盤の構造から言える事は彼らの仔が今日の有袋類の様に未熟な状態で生れてくることである。名前の由来はその丘歯にあり、多くの歯尖が列をなしてあることから付いた。他に下の切歯が一対あり、犬歯はない(今日の齧歯類のように)。多丘歯目は今日のリスの様に樹木に棲んだ最初の哺乳類であった。
分類
[編集]ランブドプサリス、プティロドゥス、メニスコエッススなど80の属が知られている。
2001年のキエラン=ヤヴォロフスカとフルムの調査によれば、多丘歯目はプラギオラキド亜目 (Plagiaulacida) とキモロドン亜目 (Cimolodonta) の二つの亜目に分かれる。例外的にアルギンバータル属は二つの特徴を共有する。
プラギオラキド亜目は側系統群で、祖先とその子孫全てから成るわけではない非公式な分類群であり、より原始的な多丘歯目と考えられている。年代的に見るとジュラ紀中頃から白亜紀後期まで続いた。このグループは更に非公式な3つのグループ (Allodontid line, Paulchoffatiid line, the Plagiaulacid line) に分かれる。
キモロドン亜目は単系統群である。より進化した多丘歯目であり、白亜紀後期から始新世まで見られる。 ジャドクタテリウム上科、タエニオラビス上科、プティロドゥス上科およびパラキメクソミス類の分類が認められている。
加えてキモロミス科、ボフィウス科、エウコスモドン科、コガイオノン科、ミクロコスモドン科およびウズベクバータル属とウィリドミス属があり、これらの正確な位置づけは今後の発見・調査が待たれる。
参考文献
[編集]- Adams, N. F., Rayfield, E. J., Cox, P. G., Cobb, S. N., & Corfe, I. J. (2019). Functional tests of the competitive exclusion hypothesis for multituberculate extinction. Royal Society Open Science, 6(3), 181536. doi.org/10.1098/rsos.181536
- Grossnickle, D. M. (2017). The evolutionary origin of jaw yaw in mammals. Scientific reports, 7(1), 45094. doi: 10.1038/srep45094 (2017)
- Kielan-Jaworowska Z. and Hurum J.H. (2001), "Phylogeny and Systematics of multituberculate mammals". Paleontology 44, p.389-429.
- McParland, E. D., Mitchell, J. K., Laurence-Chasen, J. D., Aspinwall, L. C., Afolabi, O., Takahashi, K., ... & Gidmark, N. J. (2024). The kinematics of proal chewing in rats. Integrative Organismal Biology, 6(1), obae023. https://doi.org/10.1093/iob/obae023
- Weil, A., & Krause, D. W. (2008). Multituberculata. In Evolution of Tertiary Mammals of North America: Volume 2: Small Mammals, Xenarthrans, and Marine Mammals (pp. 19-38). Cambridge University Press. DOI: https://doi.org/10.1017/CBO9780511541438.003
- Wilson, G. P., Evans, A. R., Corfe, I. J., Smits, P. D., Fortelius, M., & Jernvall, J. (2012). Adaptive radiation of multituberculate mammals before the extinction of dinosaurs. Nature, 483(7390), 457-460. DOI: https://doi.org/10.1038/nature10880
- Most of this information has been derived from Multituberculata (Cope 1884)
外部リンク
[編集]- 1 2 Adams et al., 2019, Royal Society Open Science, p2.
- 1 2 3 4 5 6 Wilson et al., 2012, Nature, p457.
- ↑ Wilson et al., 2012, Nature, p459.
- ↑ Wilson et al., 2012, Nature, p458, Figure 2.
- ↑ Wilson et al., 2012, Nature, p457, Figure 1b.
- ↑ Weil and Krause, 2008, Evolution of Tertiary Mammals of North America: Volume 2: Small Mammals, Xenarthrans, and Marine Mammals, p19.
- ↑ Grossnickle, 2017, Scientific reports, p1.
- ↑ McParland et al., 2024, Integrative Organismal Biology, p2.