【ショートショート】第二十話『二枚』
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2026年8月13日(木)の深夜。
ふと、我にかえると、
時計の針は深夜12時を
跨ごうとしていた。
コンビニへ向かった。
別に、
何か買いたいものが
あったわけではない。
ただ。
この前のことが、
少し気になっていた。
レシートには、
まだ起きていない予定が
残る。
そして、
現実が追いつくと、
消える。
もし本当にそうなら。
もう一度、
確かめてみたくなった。
缶コーヒーを一本。
レジで会計を済ませる。
受け取ったレシートを、
その場では見なかった。
店を出てから、
ゆっくり取り出す。
購入商品。
缶コーヒー。
その下に、
いつもの文字。
《次回購入予定》
そして──
一行。
証明写真 2枚
……。
思わず、
レシートを二度見した。
証明写真?
今、
そんなものは必要ない。
免許の更新でもない。
パスポートも、
作る予定はない。
期限は切れているが。
そもそも、
なぜ二枚?
僕は、
しばらくレシートを
握ったまま歩いた。
未来を予告している。
そう考えるなら、
そのうち、
何か理由ができるのだろう。
でも。
証明写真を二枚。
いったい、
何のために?
──深夜。
財布からレシートを出して、
机の上に置いた。
《次回購入予定》
・証明写真 2枚
もう一度見る。
消えていない。
まだ、
何も起きていない。
僕は、
その文字を見つめた。
ふと、
妙なことを思った。
証明写真は、
自分を証明するための写真だ。
名前。
顔。
本人であること。
つまり、
「僕は僕です」
と証明するためのもの。
……。
じゃあ、
もし。
二枚の写真に、
同じ僕が写っていたら?
それは、
何を証明するんだろう。
《次回購入予定》
・証明写真 2枚
翌朝。
コンビニの前を通った。
足が止まった。
店内を見る。
マルチコピー機。
証明写真の案内。
僕は、
しばらく立っていた。
別に、
スマホのデータを
転送するつもりもない。
それでも。
レシートに書かれた、
「2枚」
という数字が、
頭から離れなかった。
店に入る。
コピー機の前に立つ。
画面を見る。
証明写真。
ボタンを、
ふと押してみる。
一度だけ。
……
えっ。
写真が出てきた。
「2枚」
僕は、
それを手に取った。
一枚目。
いつもの僕。
……。
二枚目。
僕は、
固まった。
同じ顔。
同じ服。
同じ表情。
なのに。
背景だけが、
違った。
一枚目の後ろには、
コンビニの白い壁。
二枚目の後ろには──
薄暗い場所。
見覚えのある床。
古びた照明。
そして、
奥にある、
エレベーター。
僕は、
写真を裏返した。
何も書いていない。
もう一度、
表を見る。
その瞬間。
二枚目の端に、
小さく写り込んでいるものに
気づいた。
エレベーターの表示。
『B3F』
僕は、
写真を握りしめた。
《入手済み》
・証明写真 2枚
《A Drop Remains.💧》
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