不動産投資の失敗から学ぶ10の教訓|第4話空室リスクを考える
「現在満室」が将来の満室を保証するわけではない
不動産投資の物件資料で、
大家を安心させる言葉があります。
それが、
「現在満室」です🌻
すべての部屋に入居者がいて、
毎月、予定どおり家賃が入っている。
購入した翌月から、
満室分の家賃収入を受け取れる。
空室物件よりも、
安心して購入できそうですよね😊
私も「満室」という文字を見ると、
心の中で小さく拍手をします。
「素晴らしい‼️」
「すでに入居者がいるなら安心だ。」
「購入後も、この状態が続くだろう。」
しかし、
少し冷静にならなければなりません。
「現在満室」という言葉が表しているのは、
あくまで現在の状態です。
1か月後も、
1年後も、
10年後も満室であることを保証するものではありません🙅
満室とは、
長い賃貸経営の中の一枚の写真です。
その前に何があり、
この先どうなるのかまでは写っていません。
今回は、
満室物件にも存在する空室リスクと、
空室が発生しても経営を続けられる収支について考えてみます。
満室物件にも空室リスクはある
現在満室の物件でも、
購入後すぐに退去が発生する可能性はあります。
入居者さんには、
それぞれの生活があります。
✅転勤
✅就職・転職
✅結婚・離婚
✅進学・卒業
✅住宅の購入
✅家族構成の変化
大家の返済予定とは関係なく、
必要なタイミングで引っ越します。
大家としては、
もう少し長く住んでいただきたい。
せめて外壁工事が終わるまでは……。
そう願いたくなることもあります。
しかし、入居者さんから見れば、
大家の資金繰りは契約更新の判断材料にはなりません🤣
だからこそ、
満室だから安心するのではなく、
満室の中身を確認する必要があります。
満室になった時期を確認する
確認したいのは、
各部屋の入居時期です。
長期間安定して入居しているのか。
最近になって、
複数の部屋が一斉に埋まったのか。
売却前に募集条件を緩和して、
急いで満室にした可能性もあります。
もちろん、
新しい入居者が増えたこと自体は悪いことではありません。
ただし、次の点を確認します。
✅フリーレントを付けていないか
✅高額な広告料を使っていないか
✅敷金・礼金などの条件を緩和していないか
✅短期解約の可能性はないか
✅入居者募集にどのくらいの期間がかかったか
満室にするために、
どれくらいの費用や条件が必要だったのか。
そこまで見なければ、
購入後も同じ家賃収入を維持できるか判断できません。
満室はうれしい状態です。
しかし、
満室にした方法によっては、
見た目以上に費用がかかっている場合があります。
満室という結果だけでなく、
満室になるまでの過程も確認することが大切です‼️
レントロールの数字だけを見ない
物件を検討するときには、
一般的にレントロールを確認します。
レントロールには、
各部屋の家賃や共益費、入居時期などが記載されています。
満室であれば、
すべての部屋に家賃が並んでいます。
数字がきれいに埋まっていると、
それだけで安心したくなります。
しかし、
確認するのは合計金額だけではありません。
✅部屋ごとの家賃に大きな差がないか
✅長期入居者の家賃が相場より高くないか
✅反対に、極端に安い家賃の部屋はないか
✅駐車場代や共益費が収入に含まれているか
✅滞納している入居者はいないか
✅入居開始時期が一部に集中していないか
長期入居者の家賃が、
現在の募集相場より高い場合もあります。
その入居者が退去した後は、
同じ家賃で募集できないかもしれません。
今は月5万円の家賃が入っていても、
次の募集では4万5,000円になる。
1室では5,000円の差ですが、
年間では6万円です。
複数の部屋で家賃が下がれば、
物件全体の収入にも大きく影響します。
現在の家賃収入だけではなく、
退去後にいくらで募集できるか
という視点が必要です。
家賃設定と周辺相場を確認する
家賃は、
大家が自由に希望額を決めることができます。
しかし、
その家賃で入居者が決まるかどうかは、
市場が判断します。
購入前には、
対象物件だけでなく、
周辺の競合物件を確認します。
✅同じような築年数
✅同じような間取り
✅駅や学校、勤務先までの距離
✅駐車場の有無
✅設備や内装の状態
✅敷金・礼金・フリーレント
✅インターネット無料などの付加価値
家賃が同じでも、
競合物件の方が新しく、
設備も充実していれば、
入居者は競合物件を選ぶかもしれません。
反対に、
多少古い物件でも、
家賃や立地、駐車場などに強みがあれば、
安定した需要を得られる可能性があります🌻
周辺相場を調べるときには、
募集サイトに掲載されている家賃だけでなく、
実際に成約が見込める条件を管理会社へ確認します。
掲載家賃は4万8,000円でも、
フリーレント1か月や高額な広告料が必要なら、
大家の実質的な収入は少なくなります。
表面的な家賃だけで比較すると、
募集に必要な費用を見落としてしまいます。
私は高い家賃で募集されている物件を見ると、
「この家賃でも決まるのか‼️」
と前向きに考えたくなります。
しかし妻社長から、
「実際に、その家賃で決まったの?」
と聞かれると、
急に声が小さくなります。
募集家賃と成約家賃。
希望と現実。
似ていますが、
経営上は大きな違いです🤣
人口だけで賃貸需要を判断しない
賃貸需要を考えるうえで、
地域の人口は重要な情報です。
人口が減少している地域では、
長期的に住宅需要も減る可能性があります。
しかし、
市町村全体の人口だけで判断するのも十分ではありません🙅
人口が減っている地域でも、
特定の場所には賃貸需要が集まることがあります。
例えば、
✅大きな企業や工場がある
✅病院や福祉施設がある
✅大学や専門学校がある
✅官公庁や自衛隊施設がある
✅商業施設が集まっている
✅再開発や企業進出が進んでいる
反対に、
人口が増えている地域でも、
賃貸住宅が大量に供給されれば、
物件同士の競争が激しくなります😭
確認したいのは、
人口の増減だけではありません。
どのような人が住んでいるのか。
どのような理由で住むのか。
どのくらいの期間住むのか。
競合物件は増えているのか。
こうした内容まで考える必要があります。
「人口が多いから大丈夫。」
「近くに会社があるから大丈夫。」
一つの理由だけで、
需要があると決めつけないことが大切です。
その会社が移転する可能性もあります。
学生向け物件なら、
学校の募集状況にも影響されます。
一つの勤務先や学校だけに依存している物件は、
その需要が失われたときの影響も大きくなります。
立地は地図だけでは分からない
物件資料には、
駅まで徒歩○分。
スーパーまで○分。
学校まで○分。
といった情報が記載されています。
しかし、
地図上の距離だけでは分からないことがあります。
✅坂道が多くないか
✅道路が狭くないか
✅夜間は暗くないか
✅騒音や臭いはないか
✅車の出入りがしやすいか
✅駐車場の台数は足りているか
✅ごみ置き場や共用部は管理されているか
地方では、
駅からの距離よりも、
駐車場の台数や道路の使いやすさが重視されることもあります。
1世帯で車を2台所有する地域なら、
1戸につき駐車場1台では不足する可能性があります。
物件には空室がなくても、
駐車場が空いていないため、
次の入居者が決まらないこともあります。
立地は住所だけでは判断できません。
実際に現地を歩き、
できれば昼と夜、
平日と休日の様子を確認することが大切です。
不動産は動きませんが、
周辺環境は時間によって変わります。
昼は静かでも、
夜になると交通量が増える場合があります。
平日は問題なくても、
休日には周辺施設の車で混雑するかもしれません。
現地を見ずに地図だけで判断すると、
購入後に初めて気づくことがあります。
そして購入後の現地調査は、
残念ながら答え合わせにしかなりません😅
間取りと設備から入居者を想像する
賃貸需要を考えるときは、
「誰がこの部屋に住むのか」を具体的に想像します。
単身者向けなのか。
夫婦向けなのか。
子育て世帯向けなのか。
高齢者向けなのか。
想定する入居者によって、
必要な間取りや設備は変わります。
例えば、
単身者向けであれば、
✅インターネット環境
✅エアコン
✅室内洗濯機置き場
✅防犯性
などが重視されるかもしれません。
ファミリー向けなら、
✅十分な収納
✅駐車場の台数
✅学校や保育施設までの距離
✅使いやすい水回り
✅生活音への配慮
などが重要になります。
ただし、
設備は多ければよいわけではありません。
設備を追加すれば、
導入費用だけでなく、
将来の修理や交換費用も増えます。
流行している設備をすべて付けても、
地域の入居者が求めていなければ、
家賃には反映されません。
大切なのは、
その地域の入居者にとって、
本当に必要な設備を見極めることです。
管理会社へ、
次のように質問してみるとよいでしょう。
この地域では、どのような入居者が多いですか。
この間取りは、どの年代や世帯に選ばれていますか。
退去の理由として多いものは何ですか。
この設備がないことで、入居を見送られることはありますか。
地域の募集を日常的に行っている管理会社だからこそ、
分かることがあります。
ただし、
すべてを任せきりにするのではなく、
自分でも競合物件を確認することが大切です。
空室が発生しても耐えられる収支を作る
不動産投資の収支は、
満室だけで計算してはいけません。
例えば、
10室あるアパートで、
1室の家賃が月5万円だったとします。
満室であれば、
毎月の家賃収入は50万円です。
ここから、
管理費や共用部の費用、税金、保険、修繕費などに備える金額を10万円、
金融機関への返済を25万円とすると、
満室時に残るお金は15万円です。
家賃収入50万円
-運営費等10万円
-返済25万円
=15万円
ところが、
2室が空室になると、
家賃収入は40万円になります。
家賃収入40万円
-運営費等10万円
-返済25万円
=5万円
さらに4室が空室になると、
家賃収入は30万円です。
家賃収入30万円
-運営費等10万円
-返済25万円
=マイナス5万円
満室時には毎月15万円残る計画でも、
空室が増えれば簡単に赤字になります。
しかも実際には、
退去時の原状回復費や募集費用も必要です。
空室になると家賃が減るだけでなく、
次の入居者を迎えるための支出も増えるのです。
収支を作るときには、
少なくとも次のパターンを確認します。
✅満室の場合
✅1室空室の場合
✅想定空室率の場合
✅複数の退去が重なった場合
✅家賃を下げた場合
✅空室と修繕が同時に発生した場合
「そんなに悪い条件で考えなくても……。」
と思うかもしれません。
私も数字を厳しくすると、
物件の魅力が少しずつ消えていくので、
途中で計算をやめたくなります🤣
しかし、
数字を見ないからといって、
リスクがなくなるわけではありません。
購入前に厳しい数字を見る方が、
購入後に厳しい現実を見るよりも安心です。
損益分岐となる入居率を知る
その物件が、
どの程度の空室まで耐えられるのかを知るために、
損益分岐となる入居率を確認します。
簡単に考えると、
次のように計算できます。
必要な運営費・返済・修繕積立額
÷ 満室時の家賃収入
先ほどの物件で、
毎月必要な金額が、
運営費等10万円、
返済25万円、
修繕積立5万円の合計40万円だとします。
満室時の家賃収入は50万円なので、
40万円 ÷ 50万円=80%
入居率が80%を下回ると、
手元資金が減り始める計算です。
10室の物件なら、
3室目の空室が発生した時点で、
厳しくなる可能性があります。
この数字を事前に把握しておけば、
空室が出たときの危険度を判断しやすくなります。
ただし、
実際の支出には毎月一定でないものもあります。
税金や保険、修繕費なども含めて、
年間収支で確認することが大切です。
空室への備えは三つある
空室リスクへの備えは、
大きく三つに分けられます。
1.購入前に需要を確認する
人口、立地、間取り、設備、家賃相場を調べ、
入居者が見込める物件を選びます‼️
過去の入居率や退去理由、
平均的な空室期間も確認します。
2.空室を減らす経営をする
管理会社と定期的に募集状況を共有し、
家賃や募集条件、設備を見直します🌻
退去が発生してから慌てるのではなく、
競合物件の動きを日頃から確認します。
3.空室が出ても耐えられる現金を残す
どれだけ対策しても、
空室を完全になくすことはできません🙅
空室期間の返済や、
原状回復・募集費用を支払えるように、
手元資金を確保しておきます💰
空室をゼロにすることだけを目指すのではなく、
空室が出ても経営を続けられる状態を作ることが重要です。
満室はゴールではなく、経営の一場面
満室は、
大家にとってうれしい状態です。
家賃収入が安定し、
精神的にも安心できます。
しかし、
満室になったからといって、
賃貸経営が完成したわけではありません。
現在の入居者に長く住んでもらう。
退去が発生したら、
次の入居者を早く迎える。
家賃や設備を、
地域の需要に合わせて見直す。
満室を維持するためには、
購入後も経営を続ける必要があります。
物件を検討するときには、
「現在満室」という言葉だけで安心せず、
次の点を確認してください。
✅現在の入居者はいつから住んでいるか
✅満室になるまで、どのくらいかかったか
✅現在の家賃は周辺相場と合っているか
✅退去後も同じ家賃で募集できるか
✅どのような入居者に選ばれているか
✅競合物件と比べて強みがあるか
✅複数の空室が出ても返済できるか
✅空室期間を支える現金があるか
満室とは、
将来の家賃を保証する言葉ではありません。
現在、すべての部屋に入居者がいるという事実にすぎません。
だからこそ、
満室物件ほど、
退去後の姿を想像する必要があります。
空室は、
賃貸経営における失敗ではありません。
一定の退去が起こることは、
長く経営していれば避けられないことです。
本当の問題は、
空室が起こらない前提で物件を購入し、
何も準備していないことです。
「ずっと満室なら返済できる物件」ではなく、
空室が発生しても持ち続けられる物件を選びましょう。
次回は、
第5話。
「管理会社に任せきりにしない」
についてお伝えします。
管理を委託すれば、
日常の対応をお願いできます。
しかし、
経営判断まで管理会社に任せることはできません。
管理会社へすべて任せたまま、
大家本人が物件の状況を把握していない。
それではオーナーというより、
家賃が入ることを祈っている人になってしまいます🤣
次回は、
管理会社と良い関係を築きながら、
オーナーとして確認すべきポイントを考えていきます。
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