自社の文化を一番正確に知っているのは、入ったばかりのスタッフです
私がこれまでの経営経験をもとにまとめた書籍です。
「最強の社風と成長の原理 小さな会社だからこそ理念は力になる Real Style ISM」
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入って2週間の人が、一番よく見えています
先日、あるクライアント先で、中途で入ったばかりの方と話す機会がありました。
課題を聞き出そうとしたわけではありません。世間話の延長です。その中で、こんな言葉が出てきました。
「この会社、決まるのが早いですね。前のところなら、同じ話で3回は会議をしていました」
面白いのは、社長がそれを強みだと思っていなかったことです。むしろ「うちは行き当たりばったりで」と言っていたくらいでした。
このズレが、文化を考えるときの入口になります。
文化は、中にいる人ほど見えなくなります
会社の文化を、掲示してある言葉だと思っている経営者は少なくありません。
ただ、実際に文化として機能しているのは、言葉ではなく反応のほうです。
誰が褒められて、誰が注意されるか。悪い報告が上がってきたときに、社長が最初に何を言うか。会議で最初に口を開くのが誰なのか。
こういうものは、毎日繰り返されるうちに空気になります。空気になったものは、中にいる人には感じ取れません。
つまり、自社の文化を一番正確に説明できるのは、まだその空気に慣れていない人です。
入って2週間の人は、前の職場という比較対象を持っています。この比較対象を持っている期間は、驚くほど短いです。
驚きは、3か月で消えます
新しく入った人が「変だな」「珍しいな」と感じたことは、だいたい3か月で口に出なくなります。
慣れるからです。慣れるというのは、良いことでもあります。仕事が回るようになった証拠です。
ただ、慣れた瞬間に、その人は自社を外から見る目を失います。
そう考えると、聞くタイミングはかなり限られています。私は、入社から2週間から1か月のあいだが一番いいと思っています。
早すぎると、まだ何も見えていません。遅すぎると、もう驚かなくなっています。
「何か気づいたことある?」では、何も出てきません
ここで多くの会社がつまずきます。
「何か気づいたことある?」と聞いても、返ってくるのは「特にないです」です。新しく入った人が、自分から会社の欠点を言うわけがありません。
聞き方を具体的にする必要があります。私がクライアントに勧めているのは、次の3つです。
・前の職場と違って、良い意味で驚いたことは何ですか
・逆に、戸惑ったことや、やりにくいと感じたことは何ですか
・入る前のイメージと、実際とで違ったところはどこですか
良いほうから先に聞くのがポイントです。悪いところだけを聞くと、告げ口をさせているように受け取られます。
そして、この3つは口頭で聞くほうがいいです。アンケート用紙にすると、当たり障りのない答えしか集まりません。
出てきたものを、直すか残すか決めます
聞いたあとが本番です。
多くの場合、出てきた違和感を全部直そうとして、途中で止まります。それでは意味がありません。
やることはシンプルです。出てきた項目を、直すものと残すものに分けます。
直すものは、単に誰も見直していなかっただけの手順です。これは早めに手をつけたほうがいいです。
残すものは、意図があってそうしているものです。この場合、大事なのは残す判断そのものではなく、理由を説明できるかどうかです。
説明できるなら、それは文化です。説明できないなら、ただの惰性です。
この線引きをすると、自社の文化がどこにあるのかが、経営者自身にも見えてきます。
聞いた内容は、必ず残しておきます
一度聞いて終わりにすると、次に人が入ったときに同じ話を最初から始めることになります。
聞いた内容は、簡単なメモで構わないので残しておきます。半年後に読み返すと、直したものと放置したものがはっきり分かれています。
放置されたまま何人からも同じ指摘が出ている項目は、優先順位が高い課題です。一人の意見なら好みの問題かもしれませんが、三人から同じ話が出たら、それは構造の問題です。
新しく入った人の声を集めていくと、この判別が自動的にできるようになります。
まとめ
・自社の文化を一番正確に知っているのは、入ったばかりのスタッフです
・文化は掲示された言葉ではなく、日々の反応として存在しています
・中にいる人は空気に慣れてしまうため、自社の文化を説明できません
・新しく入った人の驚きは、およそ3か月で消えてしまいます
・聞くタイミングは、入社から2週間から1か月が適しています
・「何か気づいたことある?」では何も出てきません。良い驚きから具体的に聞きます
・出てきた項目は、直すものと残すものに分けます
・残すと決めたものは、理由を説明できるかどうかで文化か惰性かが分かれます
・聞いた内容を残しておくと、複数人から出た指摘が構造の課題として浮かび上がります
このあたりのテーマは、コンサルの現場で扱っている内容そのものです。
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