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歴史は繰り返す。形を変えて

「歴史は、繰り返す」

そう言われても、
ピンとこないかもしれない。

でも、
繰り返しているのは、
出来事そのものではない。

その「構造」だ。

争い
金融危機
交換の道具
文化
思想

形を変えながら、
同じパターンを、
何度も、なぞっている。



争いは、形を変えて繰り返す



1914年、
第一次世界大戦が始まった。

その25年後、
第二次世界大戦が起きた。

1980年には、
イラン・イラク戦争が、
8年にわたって続いた。

時代も、
場所も、
違う。

でも、
起きていることは、
似ている。

政治学者グレアム・アリソンは、
2017年の著書の中で、
過去500年の歴史を調べた。

新しく台頭する国と、
それを恐れる既存の大国。

この構図が生まれた16の事例のうち、
12回が、
戦争に至っていた。

75%という数字が、
物語っている。

争いは、
偶然の産物ではない。

構造が、
繰り返させている。



金融危機は、形を変えて繰り返す


1637年、
オランダで、
チューリップの球根が、
熱狂的に売買された。

一つの球根が、
家一軒分の値段になったこともある。

やがてバブルは弾け、
多くの人が、
財産を失った。

2008年、
リーマン・ブラザーズが破綻し、
世界中の金融機関が、
連鎖的に危機に陥った。

経済学者チャールズ・キンドルバーガーは、
1978年の著書の中で、
チューリップ・バブルから、
現代の金融危機まで、
数百年分の事例を分析した。

熱狂、
パニック、
崩壊。

このリズムは、
時代を超えて、
繰り返されている。



貨幣は、形を変えて繰り返す


人は、
価値を、
何かに託して、
交換してきた。

古代ローマでは、
兵士への給料が、
塩で支払われていた

「サラリー」という英単語は、
「サラリウム」
つまり塩の代金、
という言葉に由来する。

植民地時代のバージニアでは、
1618年から、
タバコの葉が、
公式な通貨として使われた。

借金の返済も、
税金の支払いも、
タバコで行われていた。

人類学者デヴィッド・グレーバーは、
2011年の著書の中で、
貨幣は物々交換から生まれたのではなく、
むしろ「負債」との関係性から生まれた、

と論じている。

「信頼に基づく負債の関係」
まず先にあり、それを記録・清算する
手段として貨幣が後から形になった


タバコ
貝殻
紙幣
仮想通貨

形は変わっても、
「価値を託して交換する」という営みそのものは、
変わらない。



文化は、形を変えて繰り返す


過去に流行ったものが、
なぜか、また流行る。

ファッション研究者ジェームズ・レイヴァーは、
1937年の著書の中で、
ある法則を示した。

流行っているときは「粋」
少し前は「時代遅れ」
さらに前は「醜い」
そしてある年数が経つと、
再び「美しい」と感じられるようになる。

レイヴァーの法則、
と呼ばれるこの周期は、
今も、様々な分野で観察されている。

音楽
インテリア
言葉遣い
ファッション

一周回って、
新しく見えているだけ。



思想は、形を変えて繰り返す


完璧なものでなく、
不完璧なものに、美しさを見いだす。

千利休は、
16世紀の日本で、
「わびさび」という思想を完成させた。

茶室の席で、
彼は、
道具を極度に切り詰めた。

簡素でありながら、
深い。

龍安寺の石庭は、
砂と石だけで、
宇宙を表現しようとした。

何もないことが、
何かを語る。

デザイナーのレオナード・コーレンは、
1994年の著書の中で、
侘寂わびさびという美意識を、
西洋の言葉で説明しようと試みた。

不完全であること
一時的であること
未完成であること

そのすべてに、
美しさが宿る。

現代のミニマリズムも、
この思想の延長線上にある。

引き算することで、
残るものがある。



なぜ、形を変えて繰り返すのか


争い
金融危機
貨幣
文化
思想

表面的な形は、
まったく違う。

でも、
奥にある構造は、
驚くほど似ている。

人間の欲望
恐れ
美意識

時代が変わっても、
そう簡単には変わらない。

だから、
同じ構造が、
違う衣装をまとって、
何度も現れる。



今日からできること


ニュースで、
何か新しい出来事を見たとき、
「これは、過去の何かに似ていないか」と、
一度、考えてみる。

それだけで、
表面的な情報の奥にある、
構造が見えてくる。

歴史を知ることは、
過去を懐かしむことではない。

今起きていることの、
正体を知ることだ。


こうした「同じ構造が形を変えて繰り返す」
という視点は、以前、
「何事も爆発前に最大のピークを迎える」
という記事でも書いた。

積み上がった末に崩れるという構造も
歴史が繰り返す構造の一つと言える。

興味があれば、こちらもあわせて読んでみてほしい。

過去の記事 :➡️「何事も爆発前に最大のピークを迎える



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~今日の忘れたくない言葉~


「過去を記憶できない者は、それを繰り返す運命にある」

「形が変わっても、構造は繰り返す」


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参考

Allison, G. (2017). Destined for War: Can America and China Escape Thucydides's Trap? Houghton Mifflin Harcourt.

Kindleberger, C. P. (1978). Manias, Panics, and Crashes: A History of Financial Crises. Basic Books.

Graeber, D. (2011). Debt: The First 5,000 Years. Melville House.

Laver, J. (1937). Taste and Fashion. George G. Harrap & Co.

Koren, L. (1994). Wabi-Sabi for Artists, Designers, Poets & Philosophers. Stone Bridge Press.

Santayana, G. (1905). The Life of Reason, Reason in Common Sense. Charles Scribner's Sons.


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