三題噺ショートショートvol.57_ハッピーエンド
落語家もすなる三題噺といふものを、コジも、してみむとてするなり。
企画もの、大の苦手なのである。
どんな親しい人の企画ものでも、なかなか素直には乗れない。
私は、「ルール」とか「決まり事」とか「期限」とか「締め切り」とかという制限事項が世の中で一番嫌いなのだ。
いくつになろうが、聞かん坊の悪ガキ。それが、私、kojuroだからである。
え?落語?三題噺?ヤスシさん?

心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
コジ、別名、天の邪鬼志朗だろ。「もし書けなかったとしても、それはそれでOK。でも、やってみなきゃ、もったいない!」なんてこと言われたら、逆に書きたくなるんじゃないの?
なんのはなしですか。

わかったよ、書くよ。書く書く。書けば良いんでしょ、リトル。それで、いいんだろ?
ブラックホールよりも重い重い重い腰を上げて、半ば自暴自棄に筆を執る。
さて。では、三題噺ショートショート「ハッピーエンド」まいりましょうか。

俺たちの高校は、田舎だが文武両道で知られていて。
我が野球部は、毎年ベスト4に進むほど強かった。
準決勝の前夜、事件が起こった。
文房具マニアの剛の筆箱の上に、俺のスイートポテトが落っこちたのだ。
大切なデニムの筆箱は、そこだけ色が落ちた。
準決勝での剛は、まるで電池切れのリモコンのように
サインを全く出さなかった。
ボコスカ打たれ、初回でバッテリーごと交替となった。
だが奇跡が起こった。
打線が大爆発し、打ち勝ったのだ。
試合後、女子マネの梓が言った。
「ガンバ、剛!」
剛はその一言で生き返った。
決勝での剛の采配は、冴え渡った。超強豪相手に最終回、ツーアウト満塁ながら1点リードで最後のバッターをも追い込んだ。
その時、梓がスタンドから大声を出した。
「輝ぁー!あと一球!」
サインは、ここに来てフォークボール。
信じて投げ込んだが、パスボール、後逸、ゲームセット。
今年の年賀状には、剛と梓が笑顔で映っていた。
アイツらふたりは、ハッピーエンド。

そんなこんなを家内と語らおうとしてソファーに目をやると、家内が脚を指さしてニッコリと笑っていた。
「コジくん、私に出会えて良かったね。感謝を込めてマッサー(注1)お願いしますね」
マッサージをすると、家内は、上機嫌である。
家内が上機嫌だと、我が家は平和である。
だから。
これで、いいのだ。

(注1)マッサーとは、マッサージのことである。家内のさっちゃんがそうやって、略して言うのである。さっちゃんへのマッサーは私の最重要の日課である。
今日の投稿を入れて、57作。俺にしちゃあ、三題噺もけっこう書くには書いたが。これ、どこまで続くの?
いつまで書くの?
初回から一年を超え、まだまだお題を発してくれるヤスシさんとの根競べだ。
