「手持ちのカード」で生きる!と決めた
カードゲームでカードを配る人を、ディーラー(Dealer)と言います。
最初に配られるカードを、プレーヤーが替えることは出来ません。
各プレーヤーの手持ちカードの良し悪しは、カードを配るディーラーのカードシャッフルに委ねられます。
生きづらさを抱える人は自分の手持ちカードは、ロクなものでは無い、と思っています。
賢くない、というカードを持ってしまっていると思っています。
美しくない、というカードを持ってしまっていると思い込んでいます。
優しくない、というカード、
意気地なし、というカード、
劣っている、というカード、
をことごとく持ってしまっていると固く決めつけています。
本人には、ロクでもないカードばかり…、と感じている自覚は薄い場合が少なくありませんが、
その人の心の奥の奥に、無価値感として、劣等感として、罪悪感として横たわり、
時に、自信の無さや、焦り、虚しさを、その人に突きつけます。
突きつけられて、そのまま自信無さ気な態度になったり、落ち着きの無さとして現れたり、無気力な様子が滲み出たりする人が居る反面、
反動形成で逆に、自信のある自分、落ち着いた自分、気力や活力に満ち溢れる自分、を半ば無意識に演じる人も在ります。
どの様な現れ方をしても、その人の心の奥には無価値感、劣等感、罪悪感などのネガティブな感情が、折り重なる様に横たわっており、
それこそが其の人が抱える、生きづらさ、だと言えます。
どうして其の人は自分の手持ちカードは、ロクでもない、と思い込んだのでしょうか?
カードを配ったのは、その人の親です。
ディーラーは親なのです。
親はカードを其の人の前に置き、言葉で態度で、醸し出す雰囲気で、
お前のカードはロクでもない、と擦り込みます。
言語で非言語で、擦り込まれた其の人は、無価値感、劣等感、罪悪感に苛まれます。
親自身が、無価値感、劣等感、罪悪感に苛まれる人であり親は、
自分よりも無価値な存在が欲しいのです。
自分よりも劣等な存在が必要なのです。
罪悪感で縛り付けないと安心出来ません。
だから、ディーラーの立場に立った時、プレーヤーである幼い其の人に擦り込みます。
親にとって其の人の手持ちカードが、本当にロクでもないか否かはさしたる問題ではありません。
ロクでもない、と擦り込むことが大切なのであって、
そもそも其の人の手持ちカードには興味が無いのです。
親の興味は常に、自分、に向いています。
どうして擦り込むことが大切なのか、というと、
その子が自信を持って、活き活きと人生を歩み始めたら、親である自分は存在価値が失くなってしまう様に、その親は感じているから、です。
その親は前述しました様に、無価値感、劣等感、罪悪感に苛まれる人です。
健康的な心理状態に在る親であれば子どもが、自分として、自分の人生を意気揚々と歩むことは望ましく喜ばしいことです。
しかし、無価値感、劣等感、罪悪感に塗れた親は子どもに、
自分よりも無価値な存在であることを望みます。
自分よりも劣った存在であること、
いつも心の奥に、引け目、を感じることを望むのです。
擦り込みに成功すれば子どもは、
無価値感によって親に依存します。
劣等感によって自分を信頼しなくなります。
罪悪感によって自分の人生に踏み出すことが出来ません。
擦り込みに成功すれば、子どもがやがて大人になっても、親は絶対的な支配者で在り続けることが出来ます。
つまり親は子どもを使って生涯、自分の価値を感じようと企てます。
そう言うと、「親は自分に優れた子になる様に求めた」と反論する方も少なく無いかと思います。
だから、勉強させられた、
だから、習い事をさせられた、
だから、気の利いた立ち居振る舞いを求められた、
そうかも知れません。
しかしそれは親が、世間から認められたくて、対外的に優れている子、を求めただけのこと、です。
子の為を思って、優れた子、になることを求めた訳では無い、のです。
あの勉強が出来る子のお母さん、
あのピアノが上手な子のお父さん、
あの優秀な子の親御さん、
と、親が世間から褒めてもらいたいから求めたまでのことなのです。
子どもに、世間的に優れていることを求めながら同時に、
親より劣っていることを求めるという、矛盾した要求は、子どもの心を真っ二つに引き裂きます。
親は、子どもがペーパーテストで98点を取っても褒めません。
2点の減点ポイントについてダメ出しをします。
褒めたら親よりも優秀だと感じた子どもが、自分という存在に自信を持ってしまうから褒めません。
親は、子どもがピアノの発表会で喝采を浴びても褒めません。
褒めて自信を深めたら、子どもが自分の人生を歩み始めるかも知れないから褒めません。
親の子どもに対するそういった冷たい言動は、自らが抱える重大な、無価値感、劣等感、罪悪感が根底に有って、
それ等のネガティブ感情に突き動かされた結果なのですが、
簡略的に言うならば其れは、嫉妬、とも言えます。
親と子どもが同性である場合、嫉妬による、貶し、は顕在化し易く、
特に多く見られるのが、母と娘である場合です。
重大な無価値感、劣等感、罪悪感に苛まれる母親にとって、
娘が、若い、という事実すら嫉妬の対象です。
もしも娘が評判の美人であったとしたら尚更です。
母親は、娘の若さや容姿に嫉妬します。
殊更に娘の容姿について、娘が自信を失う様な言葉を浴びせます。
口元がどうだとか、鼻がどうだとか、スタイルがどうだとか、
娘が幼い頃から、それこそ「お前の手持ちのカードはロクでもない」と擦り込みます。
幼い頃、子どもにとって親は世界であり、全てです。
その親からの擦り込みは、娘の心の奥底に突き刺さり、
口元も鼻もスタイルも、美しかったとしても、
場合によっては生涯に渡るコンプレックスとなって、娘の憂鬱の種になります。
勿論、ネガティブ感情に翻弄される親は、娘であろうと息子であろうと、
優れていることを求めながら同時に、親より劣った存在であることを求め、
子は親の嫉妬の感情の標的にされますが、
私の肌感覚としてその傾向が顕著に現れるのが、母と娘の関係性である様に感じておりますので、取り上げさせて頂きました。
まとめますと、無価値感、劣等感、罪悪感に苛まれる親は、
自分の為に、子どもに対外的に優れていることを強く求めながら、
嫉妬から、子どもの手持ちカードを徹底的に、そして執拗にケナしてクサして貶めます。
貶め方は直接的であることもあれば、親しいからこその冗談であるかの様に粧うこともあれば、
遠回しで回りくどい場合もあります。
根本的には、親が子どもを利用して、
自らが抱える無価値感、劣等感、罪悪感を誤魔化す為に、
対外的に優位性を誇示したい訳ですが同時に、
子どもが自分よりも優れた存在になって、親の支配下に留めることが出来なくなることを恐れて、
優れた存在になってゲームに勝ちなさい、と子どもの尻を叩きながら、
お前の手持ちカードはロクでもない、と子どもの自信を砕きます。
擦り込まれ始めたのは、子どもの人生の最初に、カードが配られた時から、です。
其の人が幼く、親が無くては生きて行けない頃の出来事です。
抗うことも、疑うことも出来なかったのです。
抗うことも疑うことも出来ない其の人の心は、二つに裂けてしまいます。
心が二つに裂ける、と言うと、
比喩的な表現だと思われるかも知れませんが、決して例え話だけには収まらず、
他者から誉められたら舞い上がり、他者から批難されれば何処までも落ち込むという、
自分が優れているのか、劣っているのかが全く解らない人に、其の人はなってしまう場合が多いのです。
まるで一人の中に、優れた自分、と劣った自分、が同居しているかの様な不安定な心理状態に陥ります。
更に言うなら、お世辞に弱くズルい他者に騙され易い傾向が強い様に思います。
対外的に優れていることを求める親は、心から誉めてはくれなかったけれど、コントロールする為に、おだてる、ことはよく有ったからです。
つまり其の人は親子関係に於いて、コントロールする為に、おだてられる、ことは有っても、
愛情から誉められたことが無いから、ズルい他者の見え透いたお世辞やおだてが解らない人になってしまいます。
ズルい他者を見分けられない、ということは、他人の優しさも解らない、ということです。
その人の親は、自分の為に子どもの手持ちカードを、ロクでもない、と擦り込むズルい人だったので、
その人は大人になっても慣れ親しんだ親に似た、ズルい人、に惹かれ、
馴染みの無い、優しい人、を遠ざけ、
見え透いたお世辞に騙され、
本当の優しさを拒絶して、
生きる程に苦しい人生になりがち、です。
他者の評価によって時に、優れた自分、であるかの様に感じて舞い上がり、
他者の言葉によって時に、劣った自分、であるかの様に感じて落ち込む、
ジェットコースターの如き自己評価に苦しんでいたり、
転校しても転職しても必ず同じ種類の、イジメる人、貶める人、に出逢うなら、
手持ちのカードを、ロクでもない、と決めつけてはいないかよく考えてみて欲しいのです。
親は、思慮深い、というカードを、ノロマ、だと擦り込みました。
優しい、というカードを、意気地なし、だと擦り込みました。
親しみやすい顔立ちを、美しく無い、と擦り込みました。
幼い頃に始まって永く続いた擦り込みによって、手持ちカードはぜんぶ、ロクでもない、と思い込み、
その人は自分が嫌いになりました。
擦り込みは言わば、いわれのない言いがかり、です。
ノロマじゃない、思慮深いんです。
意気地なしじゃない、優しいんです。
美しく無い、いいえ親しみやすくて可愛らしいんです。
今、生きづらいなら、
手持ちのカードをめくって、
一枚一枚確かめてみて下さい。
短所だと決めつけられたものは、
実は長所です。
親は、自分に自信が有りません。
子どもに長所が有っては、
支配出来なくなるから、
手持ちのカードはぜんぶ、
ロクでもない、と擦り込みました。
親の保身であり、親の嫉妬です。
だから今、一枚一枚めくって、
カードを肯定的に見つめ直します。
真実が見えたなら、
あれ程嫌った自分が好きになります。
好きになったなら、
この愛すべき、
手持ちのカードで生きる、
と決めて下さい。
きっと活き活きと、
ずっと軽やかに、
自分の人生に、
歩み出すことが出来るはず、です。
読んで頂いてありがとうございます。
感謝致します。
伴走者ノゾム
