後悔しない人生は、選び続けた人生である― 後悔とは、失敗したことではなく、自分で選ばなかったことに残る。
人生を変える、本質。第5章
幸せとは、何を残すか。
幸せとは、何者かになることではない。
大切にしたいものを、大切にできたか。
前回、私はそう書いた。
では、後悔しない人生とは何なのだろう。
失敗しない人生だろうか。
遠回りしない人生だろうか。
すべてが思い通りに進む人生だろうか。
私は、そうは思わない。
人生に失敗はある。
遠回りもある。
思い通りにならないこともある。
それでも、後悔が少ない人生はあると思う。
それは、自分で考え、自分で選び、自分で引き受けてきた人生だ。
今回は、「後悔しない人生」について書きたい。
後悔しない人生を歩きたかった
若い頃の私は、後悔しない人生を歩きたいと思っていた。
失敗したくなかった。
間違えたくなかった。
損をしたくなかった。
遠回りしたくなかった。
できるだけ正しい道を選びたかった。
だから、正解を探していた。
どの会社に行けばいいのか。
どの仕事を選べばいいのか。
どの人についていけばいいのか。
どんな努力をすれば評価されるのか。
どうすれば、後悔しない人生になるのか。
でも、人生を歩いてきて分かったことがある。
後悔しない人生とは、間違えない人生ではない。
そもそも、最初から正解が分かる人生などない。
どれだけ考えても、選んでみなければ分からないことがある。
やってみなければ見えない景色がある。
失敗して初めて分かる自分がいる。
だから、後悔しない人生を歩くために必要なのは、失敗を避けることではない。
自分で選ぶことなのだと思う。
失敗よりも残る後悔
人生には、失敗がある。
私にも、数え切れないほどある。
判断を間違えたこと。
人を見誤ったこと。
言葉が足りなかったこと。
感情的になってしまったこと。
もっと早く動くべきだったこと。
もっと丁寧に向き合うべきだったこと。
思い出すと、今でも胸が痛むことがある。
でも、不思議なことに、本当に深く残っている後悔は、失敗したことだけではない。
むしろ、自分で選ばなかったことの方が残る。
本当は言うべきだったのに、言わなかったこと。
本当は挑戦したかったのに、踏み出さなかったこと。
本当は向き合うべきだったのに、逃げたこと。
本当は大切にしたかったのに、後回しにしたこと。
本当は変わりたかったのに、環境のせいにしたこと。
失敗は、時間が経てば学びに変えられる。
でも、自分で選ばなかった後悔は、心の中に残り続ける。
あの時、自分はなぜ選ばなかったのか。
その問いが、後から自分を苦しめる。
選ばないことも、人生をつくっている
人生は、選んだものでできている。
でも同時に、選ばなかったものでもできている。
挑戦することを選んだ人生。
安定を選んだ人生。
責任を背負うことを選んだ人生。
誰かを支えることを選んだ人生。
一方で、挑戦しなかった人生。
言わなかった人生。
動かなかった人生。
向き合わなかった人生。
それもまた、自分の人生をつくっている。
選ばないことは、中立ではない。
選ばないことも、一つの選択である。
だからこそ、怖い。
何もしなければ、傷つかないように見える。
決めなければ、責任を負わなくて済むように見える。
でも、決めなかった時間も人生である。
動かなかった時間も人生である。
逃げた時間も人生である。
人生は、自分が選んだものだけでなく、選ばなかったものの積み重ねでも形づくられていく。
安全な道が、後悔のない道とは限らない
人は、安全な道を選びたくなる。
失敗しない道。
批判されない道。
損をしない道。
傷つかない道。
その気持ちはよく分かる。
私もそうだ。
できれば失敗したくない。
できれば恥をかきたくない。
できれば批判されたくない。
できれば傷つきたくない。
でも、安全な道が、後悔のない道とは限らない。
むしろ、後から振り返った時に、
あの時、挑戦しておけばよかった。
あの時、言えばよかった。
あの時、引き受ければよかった。
あの時、もっと大切にすればよかった。
そう思うことがある。
人生において、本当に怖いのは失敗することではない。
自分の本心に気付きながら、選ばないことだ。
安全な道を選ぶことが悪いわけではない。
守るべきものがある時もある。
無理に挑戦すればいいわけでもない。
でも、それが本当に自分の意思なのか。
それとも、怖さから逃げるための選択なのか。
そこだけは、自分に問い続けなければならない。
後悔しないために、考える
私は、「考える」という言葉が好きだ。
でも、考えるとは、正解を探すことではないと思っている。
考えるとは、自分として未来を選ぶために向き合うことだ。
何を大切にしたいのか。
何を守りたいのか。
何を手放すのか。
誰のために選ぶのか。
十年後の自分は、今の選択をどう見るのか。
その問いに向き合うことが、考えるということだと思う。
考えずに選ぶと、流される。
周りに合わせる。
空気に従う。
誰かの期待に乗る。
楽な方へ流れる。
その時は楽かもしれない。
でも、後から自分に問われる。
それは、本当に自分の選択だったのか。
後悔しないためには、考えなければならない。
自分の人生を、誰かの判断に預けないために。
自分の選択を、自分のものにするために。
選んだ人生なら、失敗も引き受けられる
自分で選んだ人生には、責任がある。
うまくいかなかった時に、人のせいにできない。
環境のせいにもできない。
運のせいにもできない。
だから、重い。
でも、不思議なことに、自分で選んだ失敗は、どこかで引き受けられる。
あの時の自分は、本気で考えた。
あの時の自分は、逃げずに選んだ。
あの時の自分は、怖くても前に進んだ。
そう思えるなら、失敗しても学びに変えられる。
遠回りしても意味に変えられる。
苦しかった時間も、自分の人生の一部として受け止められる。
逆に、自分で選ばなかった人生は、うまくいかなかった時に誰かのせいになる。
会社が悪かった。
上司が悪かった。
環境が悪かった。
運が悪かった。
もちろん、そういうこともある。
自分だけではどうにもならないこともある。
でも、最後までそれだけで終わる人生は、苦しい。
後悔しない人生とは、すべてがうまくいく人生ではない。
うまくいかなかったことも、自分の人生として引き受けられる人生なのだと思う。
大切なものを、後回しにしない
後悔は、大きな選択だけに残るわけではない。
日々の小さな選択にも残る。
家族との時間。
仲間への感謝。
部下との対話。
健康。
自分と向き合う時間。
困っている人への一言。
謝るべき時の言葉。
ありがとうを伝えるタイミング。
そういう小さなことを後回しにしているうちに、いつか取り戻せなくなることがある。
忙しいから。
今は余裕がないから。
あとで言えばいい。
落ち着いたら向き合えばいい。
そう思っているうちに、時間は過ぎていく。
人生で本当に大切なものほど、緊急ではない顔をしている。
だから、後回しにしやすい。
でも、後悔はそこに残る。
もっと話しておけばよかった。
もっと感謝を伝えておけばよかった。
もっと一緒に過ごせばよかった。
もっと早く向き合えばよかった。
後悔しない人生を歩くためには、大切なものを後回しにしない勇気が必要なのだと思う。
後悔があるから、人は変われる
後悔は、悪いものだけではない。
後悔があるから、人は変われる。
あの時、言えなかった。
だから次は伝えよう。
あの時、逃げてしまった。
だから次は向き合おう。
あの時、大切にできなかった。
だから今度は大切にしよう。
あの時、自分で選ばなかった。
だからこれからは自分で選ぼう。
後悔は、自分を責めるためだけにあるのではない。
次の人生を変えるためにある。
大切なのは、後悔を見ないふりしないことだ。
あれは仕方なかった。
自分は悪くなかった。
誰かのせいだった。
そうやって片付けてしまうと、後悔は学びにならない。
後悔と向き合うから、自分の大切にしたいものが見えてくる。
後悔を通して、人は少しずつ生き方を変えていく。
最後に残る問い
人生の最後に、人は何を思うのだろう。
もっと成果を出せばよかった。
もっと役職を上げればよかった。
もっとお金を持てばよかった。
そう思うのだろうか。
もちろん、人によって答えは違う。
でも、私は最近、少し違うことを考える。
大切な人を、大切にできたか。
やりたいことに、向き合えたか。
怖くても、自分で選べたか。
信じてくれた人を、裏切らなかったか。
誰かの人生に、少しでも良いものを残せたか。
最後に残る問いは、そこなのではないかと思う。
人生の長さは、自分では決められない。
でも、今日何を選ぶかは決められる。
誰を大切にするかは決められる。
何から逃げないかは決められる。
何に時間を使うかは決められる。
だから、人生は今日の選択から変えられる。
後悔しない人生は、選び続けた人生である
後悔しない人生とは、失敗しない人生ではない。
間違えない人生でもない。
すべてが思い通りに進む人生でもない。
自分で考え、自分で選び、自分で引き受け続けた人生だ。
挑戦するのか。
守るのか。
向き合うのか。
逃げるのか。
伝えるのか。
黙るのか。
大切にするのか。
後回しにするのか。
その一つひとつが、人生をつくっていく。
私にも後悔はある。
今でも、あの時こうしていればと思うことがある。
でも、その後悔も含めて、自分の人生だと思いたい。
そして、これからの選択で、その後悔を意味に変えていきたい。
だから私は今日も、自分に問い続ける。
これは、本当に自分で選んでいる人生か。
大切なものを、後回しにしていないか。
十年後の自分は、今の選択をどう見るのか。
後悔とは、失敗したことではなく、自分で選ばなかったことに残る。
だからこそ、私はこれからも選び続けたい。
迷いながらでも。
怖さを抱えながらでも。
自分の人生を、自分の意思で歩いていきたい。
── Flow Thinker R.
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