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三題噺ショートショートvol.62_奥

落語家もすなる三題噺といふものを、コジも、してみむとてするなり。

企画もの、大の苦手なのである。

どんな親しい人の企画ものでも、なかなか素直には乗れない。

私は、「ルール」とか「決まり事」とか「期限」とか「締め切り」とかという制限事項が世の中で一番嫌いなのだ。

いくつになろうが、聞かん坊の悪ガキ。それが、私、kojuroだからである。


え?落語?三題噺?ヤスシさん?

ヤスシさんの記事より

三題
①セルフレジ
②非常口
③こんにゃく

心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、つぶやいた。

コジ、別名、天の邪鬼志朗あまのじゃくしろうだろ。「もし書けなかったとしても、それはそれでOK。でも、やってみなきゃ、もったいない!」なんてこと言われたら、逆に書きたくなるんじゃないの?


なんのはなしですか。

書くの?書かないの?どっちなんだいっ!



わかったよ、書くよ。書く書く。書けば良いんでしょ、リトル。それで、いいんだろ?


ブラックホールよりも重い重い重い腰を上げて、半ば自暴自棄に筆を執る。

さて。では、三題噺ショートショート「奥」まいりましょうか。


中学卒業の年末。鍋を我が家で用立て、チームメイトと囲んだ。

あろうことか糸こんにゃくを買い忘れていて、俺が近くのコンビニに買いに行ったのだ。





店の前で嫌な空気を感じたのだが。


自動扉が開いた。


レジの前で、目出し帽をかぶった男が刃物を突き付けて店員に指図をしていた。

男と、ハッキリと目が合った。




「ぶっ殺す!」

男がこっちへ走り込んで来る!

俺は咄嗟に非常口を見た。





気づけば、パトカーと救急車が来ていて。多数の野次馬とマスコミに店は囲まれていた。



全く記憶が無いのである。



報道によると、俺は咄嗟に缶コーヒーを男の額に投げつけて命中。一件落着となったという。

レジのバイトは、俺が進学する高校の野球部のマネージャーだった。






俺は、大した戦績をあげたクチではなかったが。大学に入って最後の秋、3部リーグで最優秀投手には選ばれた。






店はすっかり変わってしまい。今ではセルフレジが並んでいる。








帰宅すると奥から声がした。


「おかえり!風呂、沸いてるよ!」


《余滴》

さて。
今週の三題噺には、余計な解説を加えてみます。

今回のお題は、

・セルフレジ
・非常口
・こんにゃく

でした。

最初に思い付いたのは「鍋」。で、その中の、糸「こんにゃく」でした。昔の私は「いとごんにゃく」と、発音が濁っていたような気もします。

味が染みた糸こんにゃく。私は、好きでして。その糸こんにゃくが入っていない鍋なんて、ちょっと考えられません。

そこからスタートしたわけです。




ところが人生というものは不思議なもので。

ほんの些細な出来事が、その後の人生を大きく変えてしまうことがあります。

今回で言えば、糸こんにゃくの買い忘れです。




もしも、買い忘れていなかったら。

もしも、別の店に行っていたら。

もしも、その日に鍋をしていなかったら。

もしも、バイトが違うシフトだったら。

主人公の人生は全く違うものになっていたかもしれません。




また、「非常口」というお題も、単なるお題としてではなく、彼が本能的に「逃げ道」を探した瞬間の証として使いました。

彼は決して正義の味方やヒーローなんかじゃありません。

むしろ弱虫の、普通の中学生です。



怖かったから非常口を見た。

それでも人生は、思いもよらない方向へ転がっていきました。






そして最後の「セルフレジ」。

時代の変化を感じるツールとして置いてみました。



昔、人がいた場所に機械が並ぶ。

街は変わる。

店も変わる。

人も歳を重ねる。

時代は流れる。

けれど、変わらず根底に流れ続けるものもあります。





今回のタイトルは『奥』です。

奥さんの「奥」。

店の奥。

記憶の奥。

そして人生の綾の、その奥。

そんなものを絡めて、意識しつつ書いてみました。






解説はここまでです。





何ですと?

そんな奥深いことを考えて書いていたのかって?




もちろんです。

ウソです。

後付けでコジつけました。コジだけに。笑

そんなこんなを家内と語らおうとしてソファーに目をやると、家内が脚を指さしてニッコリと笑っていた。

「コジくん、マッサー(注1)してね。この奥様に」


「…」


マッサージをすると、家内は、上機嫌である。


家内が上機嫌だと、我が家は平和である。



だから。



これで、いいのだ。

コロッケの残骸ばっかりだったので、回収したつもり


(注1)マッサーとは、マッサージのことである。家内のさっちゃんがそうやって、略して言うのである。さっちゃんへのマッサーは私の最重要の日課である。


今日の投稿を入れて、62作。俺にしちゃあ、三題噺もけっこう書くには書いたが。これ、どこまで続くの?


いつまで書くの?





初回から一年を超え、まだまだお題を発してくれるヤスシさんとの根競べだ。


私の三題噺は、いくつ書いても上達しないって、話

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