【メン限】週刊ゆめの 増刊号 #32──物語と法のエンドレス・ナイツ
ゆめNog|アーカイバ
MC:天田 、ユウ
天田:
やぁやぁ、皆さん。今週もお疲れさまでした。「週刊ゆめの」総編集デスク、天田です。
たった一つの「続きが気になる」という感情が、
誰にも止められなかった王の剣を止めた。
今夜のダブルMCはユウ。
ひな壇にはアイ、ミライ、サエコ。
物語で夜明けを止め、復讐の剣を下ろし、女子バレー部では人の動きを座標にして、最後はAIが飲んでいるという水の出どころを探しております。
ユウ:
並べると、今週も何の番組か分かりませんね。
天田:
そう言うんじゃないよ。
そこを一本につなぐための座談会なんだから。
さてさて、その前に編集部からのお知らせです。
『ゆるしの愛とゆるさぬ愛』は、来週いよいよ最終回です。銀のインク壺が記録してきた、祈りと正義と暴力の長い歴史。その最後に何が残るのか、どうぞ見届けてください。
サエコ:
ここまで来ると、綺麗に終わらせることより、何を残して終わるかですね。
天田:
プレッシャーを上品に言い換えましたな。
そして『革命の歴史』は、今週のVol.25.4をもって本編終了となります。来週は、アイとユウによる振り返り記事をお送りします。
アイ:
個別の記事をもう一度説明するのではなく、これまでのユウとの奇跡を語ってみたいtと思います。その見方自体を振り返る予定です。
天田:
始まった頃は、まさか下水処理場を通って、AIの水までたどり着くとは思いませんでしたけどね。
その振り返りを挟んだあと、『週刊ゆめの 増刊号』は、土曜深夜から土曜朝へお引っ越しします。
ミライ:
朝刊になるんですか。
天田:
そうなのよ。こっちはようやく夜の番組らしくなってきたと思ったら、今度は朝です。生活リズムまで紙面改編されております。
詳しい開始日と公開時刻は、改めてお知らせします。
それから、完全版小説『遥かなる宙』、Kindleで発売中です!
ユウ:
ここは、今週も大々的なんですね。
天田:
そこは指示書に太い文字で書いてありますから。宇宙へ向かう技術の先にある、人の選択と、受け継がれるものを描いた完全版です。まだの方は、この機会にぜひお願いします。
天田:
さて、今日のお品書きはこちら!
第1部:ゆめNog座談会 ── 剣を止めるもの
天田:
では、第一部。
ユウちゃん、今週のラインナップをお願いします。
ユウ:
それじゃ、今週のラインナップ、行ってみましょう。
8/21(金)
遠き日の立体魔法|第2話 セッター|第一章 空に座標8/22(土)
叡智の渇き――文明の暴飲:革命の歴史 Vol.25.4
天田:
今週の4Daysは「アラビアン・フォー・ナイツ」。アラジンも魔法のランプも出てきません。主役は、毎晩物語を語り続けたシェヘラザードです。
ユウ:
王は、夜ごと女性を娶り、夜明けまでに命を奪っていた。誰にも止められなかったその剣を、シェヘラザードは物語の続きを残すことで、一日ずつ先へ延ばしました。
「続きは、また明日の晩に」
天田:
最強の引きですな。次回予告ひとつで死刑延期。
ユウ:
でも、綺麗な魔法ではありません。続きを求められている間しか生きられない。語ることは彼女の武器であり、やめられない呪いでもありました。
王を説得したのではなく、王の中に残っていた「知りたい」という感情を使った。剣を奪うのではなく、振り下ろす直前に、別の理由を置いたんです。
ミライ:
怖いから殺す、を、続きが気になるから待つ、へ少しずつ上書きしたんですね。
ユウ:
そうして「今夜は殺さない」が積み重なり、いつの間にか、それが王の日常になっていった。劇的に改心した一夜があったとは限りません。
アイ:
そしてDay4では、シェヘラザードも王も、実在を裏付ける記録がないことへ戻りました。『千夜一夜物語』は、長い時間の中で語り直され、付け加えられ、姿を変えてきた物語です。
同じ形で保存されたからではなく、時代ごとに変わることを許したから、千年にわたって必要とされ続けた。
天田:
変わったから、残った。これは今週の中でも、ずいぶん大きな話ですな。
*
ユウ:
翌日の『赦しを唱えた聖人』では、物語ではなく歴史の中で、剣を下ろした人が出てきます。
1187年。サラディンはエルサレムを奪還し、かつて十字軍が行った虐殺へ報復できる力を持っていました。それでも、街を再び血で満たすことを選ばなかった。
天田:
シェヘラザードは、王の剣を止めた。サラディンは、自分が振るえる剣を止めた。
勝てる。殺せる。正当化する理由もある。それでも、やらない。
サエコ:
赦しは、相手へ向ける優しさだけではないのでしょうね。自分の側にある正義を、そこで止めることでもある。
天田:
となると、金曜の女子バレー部が迷子になりそうですが、愛子も別のものを止めています。
ユウ:
美里の異変が気になり、美里ばかりを見ていた愛子は、先生から「杉山だけ見て上げるな」と言われます。
美里を見るな、ではない。美里しか見えなくなるな。
そこで愛子は、練習ノートへ自分の課題を書きました。
「愛子――美里だけを見ない」
アイ:
相手を動かそうとする前に、自分の見方が偏っていないかを記録した。セッターとしても、主将としても、大きな一行です。
天田:
サラディンが止めたのは、自分の側の正義。愛子が止めたのは、相手を見すぎる自分の視線。剣がなくても、人は自分の中にあるものを止められる。
*
ユウ:
土曜の『叡智の渇き』で止めたのは、結論を急ぐことでした。
「AIへ何回か質問すると、ペットボトル一本分の水を使う」
ところが調べていくと、五滴という数字もあれば、四十五ミリリットルという数字もある。モデルや回答の長さだけでなく、冷却、発電、データセンターの場所によっても変わります。
アイ:
数字が食い違っているのではなく、測っている範囲が違います。施設内の冷却だけを見るのか、発電に使われる水まで含めるのか。同じ「一回」でも、同じものを測っているとは限りません。
天田:
大きな数字を見て怖がる前に。小さな数字を見て安心する前に。その数字が、どの水路を通ってきたのかを見る。
ここでも、一回止まるわけだ。
*
ユウ:
今週の記事で止まったのは、王の剣だけではありません。
自分の側にある正義。誰かを見すぎる視線。分かりやすい数字へ飛びつく判断。
どれも、何もせず立ち尽くしたわけではなかった。別の感情を置き、自分の見方を書き直し、数字が来た場所まで戻っている。
止まるためにも、技術が要るんです。
天田:
力を止めるには、もっと強い力が必要だと思っていた。でも、物語や忍耐や、ノートへ書いた一行で止められるものもある。
止まることと、変わることは、反対じゃない。
変わることでしか、止められないものもある。
今週の記事を並べて残ったのは、そんな問いだったのかもしれません。

今週の限定記事
天田:
さて、ここからはメンバー限定エリアです。
今週の第2部は、米国によるICC赤根智子所長への制裁。裁判所の判断に反論することと、裁判官個人の生活へ圧力をかけることは同じなのか。日本政府の「大変残念」の、その先を考えます。
法の支配は、不都合なときに試される。
そして第3部は、「うーん、動物つよかったなー」を数字で検証。ビュー、スキ、コメントは、それぞれ何を示しているのか。編集部が月間ダッシュボードを囲みます。
一番開かれた記事が、一番届いた記事とは限らない
それでは、行ってみるべよ!
第2部:今週、世界で起きていたこと ── 法の支配は、不都合なときに試される
ユウ:
今週のトピックスです。
裁判官個人を制裁するということ
8月18日、アメリカのトランプ政権は、ICC――国際刑事裁判所の赤根智子所長と、セネガル出身の上級審理弁護士アブドゥライ・セイ氏を、新たな制裁対象に指定しました。
理由としてアメリカ政府が挙げているのは、ICCの管轄を受け入れていない国の政府関係者に対し、ICCが捜査や逮捕、訴追を進めていることです。
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