三題噺ショートショートvol.72_ジェスチャー
落語家もすなる三題噺といふものを、コジも、してみむとてするなり。
企画もの、大の苦手なのである。
どんな親しい人の企画ものでも、なかなか素直には乗れない。
私は、「ルール」とか「決まり事」とか「期限」とか「締め切り」とかという制限事項が世の中で一番嫌いなのだ。
いくつになろうが、聞かん坊の悪ガキ。それが、私、kojuroだからである。
え?落語?三題噺?ヤスシさん?

《今週の三題噺》
1.送迎バス
2.リップサービス
3.カレーライス
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
コジ、別名、天の邪鬼志朗だろ。「もし書けなかったとしても、それはそれでOK。でも、やってみなきゃ、もったいない!」なんてこと言われたら、逆に書きたくなるんじゃないの?
なんのはなしですか。

わかったよ、書くよ。書く書く。書けば良いんでしょ、リトル。それで、いいんだろ?
ブラックホールよりも重い重い重い腰を上げて、半ば自暴自棄に筆を執る。
さて。では、三題噺ショートショート「ジェスチャー」まいりましょうか。

食堂のオバちゃんは優しい人が多くて。
詰め襟姿を見て体育会系のヤツだと思ったのだろう。何も言っていないのに大盛にしてくれる。
俺は縁起を担ぐのが好きで、昼はカツカレーと決めていた。オバちゃんは、ご飯もルーも大盛。カツも1切れ余計におまけしてくれた。
ところが、だ。
学食のカレーライスは、特段にマズいのだ。
野菜も多く油は少なめで、贔屓目に言うとヘルシーなのだが、全く味がしない。
バカ舌の俺でも、大きく首を傾げるほどに。
それでも俺は、淡々と食べ続けたのだ。
ある日、都市対抗野球常連チームのグラウンドまで送迎バスで向かっていると、信号待ちで偶然、自転車に乗っているオバちゃんを見かけた。
向こうにも俺がわかったようで。
窓から合図を送った。
不二家のペコちゃんのように舌をペロリと出してスプーンで掬って大口を開けて食べる仕草で。
俺のリップサービスに、オバちゃんは満面の笑みで大きく手を振り、俺たちの送迎バスをいつまでも見送ってくれていた。

そんなこんなを家内と語らおうとしてソファーに目をやると、家内が脚を指さしてニッコリと笑っていた。
「コジくん、私のカレーは美味しいって子供たちに大人気だから。マッサー(注1)してね。」
「…」
マッサージをすると、家内は、上機嫌である。
家内が上機嫌だと、我が家は平和である。
だから。
これで、いいのだ。

(注1)マッサーとは、マッサージのことである。家内のさっちゃんがそうやって、略して言うのである。さっちゃんへのマッサーは私の最重要の日課である。
今日の投稿を入れて、72作。俺にしちゃあ、三題噺もけっこう書くには書いたが。これ、どこまで続くの?
いつまで書くの?
初回から一年を超え、まだまだお題を発してくれるヤスシさんとの根競べだ。

